監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士
- フレックスタイム
フレックスタイム制とは、労働者が一定の単位期間の間に定めた一定の所定労働時間の労働を行うことを条件として、労働者が、1日の労働時間の始業時刻と終業時刻を定めることができる制度です。
このフレックスタイム制においては、出退勤のなされるべき時間帯(フレキシブルタイム)と出勤すべき時間帯(コアタイム)が定められることが多いです。そのような会社においは、労働者に対し、コアタイム外で就業命令を下すことはできるのでしょうか。
目次
コアタイム外の時間帯に就業命令を下すことは可能か?
フレックスタイム制を採用している場合、就労をすべきと定めているコアタイム外の時間に就業命令を下すことはできません。以下、説明します。
労働時間の指定はフレックスタイム制の趣旨に反する
そもそも、フレックスタイム制は、労働者が、1日の労働時間の始業時刻と終業時刻を自ら定めることができるという点が制度の根幹です。労働者が、自由に始業時刻と終業時刻を定めることができることから、1週および1日単位の法定労働時間を超えても、清算期間における労働時間が、平均週40時間(特例事業を除く)を超えなければ、時間外労働とならないとする制度です。
コアタイム外で、使用者が就業命令を下すことができると、労働者が自由に始業時刻と終業時刻を決定できるというフレックスタイム制の趣旨に反するため、このような就業命令を下すことはできないのです。
労働者本人の同意を得ることができれば可能
使用者が、コアタイム外に就業命令を下すことはできません。労働者が、コアタイム外の就労に同意するのであれば、その時間について就労してもらうことは可能です。厳密にいえば、会社の要請に合わせて、労働者が、始業時刻や終業時刻を決定したことになるでしょう。
フレックスタイム制における就業命令について
フレックスタイム制において、就業命令を出すことはできません。コアタイムを設けている場合、コアタイムについては、労働者は就労義務を負っていることから、就労していなければ就業命令を出すことは可能です。しかし、コアタイム外については、就業命令を出すことはできません。フレックスタイム制においては、就業命令を下すのではなく、労働者に当該時間帯に出社をするように依頼をして同意を得ることが必要です。
会議等がコアタイムをまたぐ場合
フレックスタイム制では、労働者は、コアタイム以外の時間については就労義務を負っていません。そのため、会議等の予定がコアタイムをまたいでしまう場合には、労働者に対して、事情を説明して、その会議等の間について出社することに同意を得る必要があります。
フレックスタイム制の仕組み
すでに述べましたが、フレックスタイム制とは、労働者が一定の単位期間の間に定めた一定の所定労働時間の労働を行うことを条件として、労働者が、1日の労働時間の始業時刻と終業時刻を定めることができる制度です。その仕組みについて、以下で解説します。
フレキシブルタイムとコアタイム
フレックスタイム制においても、24時間のうち、いつでも出退勤自由といった制度が設けられることはありません。通常は、出退勤をすべき時間帯が定められ、この時間帯をフレキシブルタイムといいます。また、必ず出勤すべき時間帯が定められることも多く、この時間帯をコアタイムといいます。
法定労働時間を超える場合は割増賃金の支払いが必要
フレックスタイム制では、1週及び1日の法定労働時間の制限はありません。しかし、労使協定で定めた1か月や3か月など一定の期間(清算期間)において、週平均40時間(特例事業を除く)を超えた労働時間については、時間外労働となります。使用者は、この時間外労働に対して割増賃金を支払う必要があります。
フレックスタイム制における就業命令でトラブルにならないよう、弁護士が最善な方法をアドバイスさせて頂きます。
フレックスタイム制は、労働者に自らの労働時間を決定させることを認めて、始業時刻と終業時刻の決定権を労働者に与えた制度です。そのため、フレックスタイム制を採用している労働者に対し、就業命令を下すことはできません。むしろ、特定の時間帯に勤務してもらいたいという労働者に対して、フレックスタイム制を採用していることが、そもそも適切であるのか検討する必要があります。
フレックスタイム外での就労の必要性が高い場合には、フレックスタイム制におけるコアタイムの見直しで対応するのか、フレックスタイム制の適用労働者の範囲を制限するのかなどの制度設計を見直す必要があります。フレックスタイム制の運用でお困りになられた場合には、是非、弁護士にご相談ください。
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