団体交渉で弁護士を入れることのメリット

公開日:2020年9月7日
  • 団体交渉、労働組合対策

団体交渉とは、労働組合等と使用者が労働者の待遇などについて交渉を行うものです。交渉する内容は、労働関連法規の規制を踏まえて決定すべき事項であり、相手方となる労働組合は、労働関連法規の知識を有したものが交渉にあたるので、使用者側にとって、労働関連法規の知識を有し、労働関連紛争の経験がある弁護士を団体交渉に関与させることは大きなメリットがあります。

以下に、その内容をご説明します。

団体交渉には専門的な知識と経験が必要

団体交渉で協議する内容は、労働者の待遇や労使関係のルールに関するものなので、労働関連法規の規制を踏まえた協議を行う必要があるので、これに関する専門的知識が必要です。使用者には労働者の代表者と誠実に交渉する義務があるため、交渉を正当な理由なく拒否したり、誠実な交渉を行わなかった場合には、労組法の禁止する不当労働行為に該当します。誠実交渉義務に違反した場合、使用者が、不法行為に基づく損害賠償が命ぜられることもあります。誠実交渉義務に反しないように、団体交渉を進めるには、団体交渉の経験があることが望ましいと言えます。

有利に進めるには弁護士の関与が不可欠

先に述べたとおり、団体交渉には専門的な知識と経験が必要となります。そのような知識と経験を有する弁護士が関与することが団体交渉を有利に進めるためには不可欠と言えるでしょう。

団体交渉における弁護士の役割

団体交渉に弁護士が関与する場合、使用者と打合せの上で、団体交渉にどのように対応するかの方針決定に大きな役割を果たします。団体交渉の交渉内容が労働関連法規の規制を受けることから、弁護士による法的規制に関する知識の助言なく、適切な方針決定をすることは困難でしょう。

また、実際の団体交渉の場に、弁護士が出席することで、会社の説明が労働組合に誤解を与えかねないような場合にフォローすることなどの役割も果たします。

団体交渉で弁護士に依頼することのメリット

団体交渉に弁護士を関与させることの一番のメリットは、専門的知識と経験に基づき適切な方針決定を行い、これに基づいて交渉を行えることです。

経験に基づく交渉戦略の立案

労働組合から団体交渉を申し込まれたとしても、使用者がその要求を飲まなければならないというわけではありません。通常の交渉であれば、交渉にそもそも応じない、形式的に話を聞いて交渉を打ち切るという行為に問題は生じません。

しかし、団体交渉に関しては、使用者に誠実交渉義務が課せられており、これに違反すると不当労働行為となります。

そのため、労働組合の申し入れを結果的に拒否するとしても、誠実交渉義務に違反しないように交渉を進める必要があります。

また、労働組合の要求を受け入れざるを得ない場合であっても、全面的に要求を受け入れるのではなく、使用者の立場を主張し、労働者との協議の落としどころを見つけることが重要となります。このような交渉は、弁護士が日常的に行っている業務であり、特に、団体交渉に関し経験がある弁護士であれば、より的確な交渉戦略を立案することが可能となるでしょう。

迅速な対応と最良な解決策の提案

団体交渉の申し入れは、労働組合から団体交渉の日時について指定をして申し入れをされることがほとんどです。労働組合の指定した日時に交渉に応ずる義務はありませんが、交渉の申し入れから実際の交渉開始までに時間がかかりすぎると、それ自体が誠実交渉義務に反すると主張されかねません。そのため、団体交渉の申し入れに対しては、迅速に対応を行う必要があります。団体交渉の経験のある弁護士が関与すれば、迅速な対応をスムーズに行うことができるでしょう。

また、解決策についても、労働関連法規の規制を踏まえて解決をする必要があるので、専門的知識を有する弁護士が関与することは、最良な解決策の提案を受けることにつながるでしょう。

事態の悪化・会社の不利益を防ぐ

団体交渉においては、労働者からの未払い賃金の請求など、団体交渉で解決されない場合には、労働審判、訴訟などの別手続きに紛争が移行するものが協議されることが多くみられます。 紛争が終了した後にみれば、訴訟まで争わずに団体交渉の時点での労働組合の申し入れを受け入れていた方がよかったというケースもあります。

団体交渉の時点から弁護士を関与させることにより、会社の不利益が拡大を防ぐことも可能となります。

弁護士が関与することで冷静な話し合いができる

弁護士が関与しない場合の団体交渉は、当事者である使用者と労働者が直接対峙することとなります。紛争一般にいえることですが、当事者間の交渉は、感情的な対立が激化しやすく、また、協議内容と関係しない当事者間の事柄について時間をとられることがよくあります。

そこで、第三者である弁護士が団体交渉に関与した場合、そもそも感情的な対立がない立場であるので、冷静な話し合いをすることができます。また、当事者間で協議内容が関連性にない事項に及んだ場合に、話し合いの内容を本来の協議内容に戻すことも容易です。

交渉中止や合意の落としどころを判断できる

団体交渉は、使用者に誠実交渉義務があるものの、誠実に交渉した結果、交渉が成立する見込みがないと判断できる場合に交渉を中止することができます。

しかし、交渉の中止は、交渉を中止された労働者側から、使用者が誠実に交渉を尽くさずに一方的に交渉を打ち切ったとして争われるリスクがある行為です。

実際の団体交渉に弁護士が関与すると、使用者による交渉打ち切りが誠実交渉義務に反するかどうかについてより正確に判断することができます。

また、協議に関して合意をする場合に、実際の交渉の現場に弁護士が関与して入れば、より正確に合意の落としどころを判断することができます。

労務トラブルを未然に防ぐ体制づくりをサポート

使用者が、団体交渉を申し入れられる内容の中には、事前の会社の対応が適切であれば、団体交渉を経ることなく紛争が解決できたと思われるものも少なくありません。

例えば、当初は労働者と使用者の間で話し合いが行われていたが、使用者の対応が適切でなかったため、労働者が労働組合に加入して団体交渉が申し入れられる場合があります。

このような事態を避けるためには、労働者から直接の要求があった時点で、専門家である弁護士に相談することが有用です。

また、会社の制度が問題なく運用されていれば、発生しないであろう労使トラブルが団体交渉にいたることもあります。このような紛争を回避するためには、会社の体制づくりに関しても、弁護士のサポートを受けることが望ましいと言えます。

団体交渉の根本的し解決を目指すなら顧問契約の締結を

労働組合から申し入れられた団体交渉を解決することは、対処療法であり、望ましいのは、団体交渉を申し入れられることない状態に至ることです。

そのためには、労働者から直接の申し入れ等をすぐに弁護士に相談したり、会社の体制を労使トラブルが発生しにくいものとすることが必要です。そのような体制をとるためには、実際に団体交渉が

申し入れられた際に、弁護士に依頼するだけでなく、弁護士と顧問契約を締結し、日ごろから相談をできる体制を作ることが有用であると考えます。

団体交渉に関するQ&A

団体交渉を申し入れられた場合、会社は必ず応じる必要があるのでしょうか?

使用者は、労働者の労働条件その他の待遇や当該労使のルールに関するいわゆる義務的団交事項については、団体交渉に応じなければなりません。複数の要求がなされる場合に、義務的団交事項以外の事項が交渉内容に含まれるケースもありますが、全く義務的団交事項を含まない団体交渉の申し入れがなされることは事実上ありません。また、義務的団交事項かどうかの判断か困難なものもあります。そのため、団体交渉には応じる必要があるとご理解ください。

恫喝まがいの団体交渉を受けたとき、弁護士に対応してもらうことは可能ですか?

団体交渉を行う労働組合の中には、恫喝まがいの団体交渉を行う組合が存在するのが実情です。このような組合との団体交渉についても、弁護士は対応することができます。

団体交渉が裁判に発展した場合、弁護士に代理人として出廷してもらうことは可能ですか?

団体交渉が訴訟化した場合、弁護士に依頼していただくと弁護士が出廷して訴訟に対応します。

団体交渉申入書の回答書の作成方法についてもアドバイスして頂けますか?

後に、使用者が誠実交渉義務を尽くしているかが争われる場合には、回答書の内容や回答時期も問題となりえますので、アドバイスを行います。

弁護士に依頼することで、団体交渉による不当労働行為を回避することは可能ですか?

弁護士が団体交渉に関与することで、誠実交渉義務に反する行為が行われようしている場合には、これを指摘することができますので、使用者の不当労働行為を回避することが可能となります。

顧問契約を依頼した場合、弁護士費用はどのくらいかかりますか?

通常の顧問契約は月額10万円で承っております。ただし、企業規模や対応内容により、3から5万円程度でお受けすることもあります。

弁護士に団体交渉を代理出席してもらった場合、社長本人の出席は必要ですか?

社長ご本人が団体交渉に出席する義務はありません。これは、弁護士に依頼されない場合でも同様です。ただ、全く権限のない人物を出席させた場合、誠実交渉義務に反すると判断される恐れがあります。したがって、社長が出席されないのであれば、人事労務に関する部門の責任者を参加させる必要があると考えます。

労働者側の交渉担当者についても、弁護士が担当することがあるのでしょうか?

通常、労働者側の団体交渉に弁護士がつくことはありません。労働者側に弁護士がつく場合には、団体交渉という場ではなく、労働者の代理人として、使用者と直接交渉をしたり、訴訟を提起するなどの関与となります。

弁護士と顧問契約した場合、就業規則の整備についても相談することは可能ですか?

ALGは、労使の紛争を未然に防ぐためには就業規則を整備することが重要であると考えており、精力的に就業規則の整備に関するセミナーも開催しておりますので、就業規則の整備についても、ご相談いただけます。

団体交渉のトラブルは深刻化する恐れがあります。早期解決のためにも弁護士に依頼することをお勧めします。

団体交渉で問題となるトラブルは、労働者の労働条件その他待遇に関するものが多く、労働者が労働関連法規により手厚く保護されている分野です。そのため、団体交渉が決裂し、労働審判、訴訟などの手続きに移行した際に、使用者側が敗訴するリスクは少なくないといえます。

訴訟まで至らなければ、より使用者に不利益のない条件でも紛争が解決できたという事案は数多くあります。また、団体交渉の時点で紛争解決することは、その後に訴訟などで解決にいたる場合に比べて、時間的にも弁護士の費用等の点からも経済的です。

団体交渉の申し入れを受けられた場合には、弁護士の関与のもとで紛争を解決することを是非ご検討ください。

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