飲食業

1 はじめに

飲食業と一口に言っても、個人経営から大手チェーン店、ファミレスや居酒屋等、規模や営業時間も様々であり、生じうる問題及びその対策は各企業・各店ごとに異なります。そこで、ここでは、労働者確保のためにアルバイトや外国人の雇用が増大している現況において、一般的に問題となりうる、外国人雇用に関する法律問題と従業員等のSNS利用問題を例にとって、弁護士事務所との顧問契約の必要性について述べていきたいと思います。

2 外国人雇用

人手不足といわれる飲食業界において、外国人労働者は、重要な労働力です。しかし、外国人は、日本人と異なり、その在留資格によっては就労することが認められていません。そのため、外国人を雇用する場合には注意が必要となります。仮に、就労を認められていない在留資格しか持たない外国人を雇用してしまった場合、その外国人が不法就労となるだけではなく、雇用主側も不法就労助長罪に問われる可能性があります。

まず、外国人を雇用する際には、その外国人の在留資格を確認することが必要となります。在留資格を持たない者、就労が認められない在留資格の者を雇用することは、不法就労助長罪になりかねないためです。

就労が認められる在留資格を持たない者でも、その人柄や能力から雇用することを希望する場合には、在留資格の変更が必要となります。

「留学」の在留資格は、就労を禁止されるものではありませんが、入国管理局に届け出が必要であることと、1週間当たりの就労時間に制約がありますので、雇用する場合には注意が必要となります。

このように外国人を雇用する場合には、採用の段階でも様々な問題があります。特に在留資格の変更は、その外国人の在留中の生活態度等によってはハードルが相当程度高い場合も多いため、申請手続きには十分な準備が必要となり、専門的知識も必要となります。

また、雇用後も、在留資格の有効期限切れ、在留資格が更新できなかった場合、外国人と連絡が取れなくなった場合等、問題は多岐にわたります。

このように日本人に生じうる問題の他にも問題が生じるのだとしても、今や飲食業界において外国人の労働力は欠かせないものとなっていると思われます。そのため、これらの問題に包括的に対応するためにも専門家としての顧問弁護士をつけることはメリットであるといえます。

3 SNS

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、インターネット上のコミュニケーション・ツールとして、世界的な規模で普及しており、現代人にとって不可欠なツールであるといっても過言ではありません。そして、誰もが自由に情報等を発信することが可能であるツールである上、発信された情報等は急速に拡散し、事後的に全ての記事等を削除することは事実上不可能です。

そこで、従業員による企業の秘密情報の拡散を防止することは当然、企業イメージを損なうような情報の発信も防ぐ必要があります。とりわけ、飲食店においては、食の安全に対する世間の関心の高まり等から企業イメージの低下によって被るダメージは非常に大きいものになります。このことは、飲食店で働くアルバイト従業員による不適切なツイッター投稿記事が炎上し社会問題にまで発展したことからも明らかです。

従業員による不適切な記事の投稿に対し、企業が従業員にSNSの利用自体を止めさせることは、表現の自由(憲法21条)等の観点から問題があるでしょう。また、物理的な問題としても、企業が、従業員がSNSを利用していないか、利用しているとして、その利用方法が適切かを完全に管理することは不可能と言えます。そのため、不適切な記事を投稿しないよう、企業内の明確なルールを作成し、従業員全員に周知徹底することが重要となってきます。具体的には、①SNS利用に関するガイドラインを作成する、②従業員にSNS利用に関する禁止事項等を個別に説明し、違反しない旨の誓約書を提出させる、③就業規則で規定する、などの対応が考えられます。適切なルールを作成し(①)、全従業員に個別に周知徹底することで危機意識を持たせ(②)、違反者に対する懲戒処分の根拠を定める(③)ことは、不適切な記事の投稿に対する抑止力となります。また、これらのルール等に反した従業員等に対して、損害賠償請求等事後的な救済措置を講ずるためには、正しく法的根拠となるルールを作成することが必要不可欠となります。

4 最後に

上記のとおり、飲食業において、労務管理やSNSの管理等は極めて重要な事項であると言えます。これらの問題については、事前に対応することで、そもそも問題が起きないようにしておくことが重要であることは当然です。また、仮に問題が起きた場合には、早期に対応する必要があるといえるでしょう。

このような問題に関して、弁護士が対応できる点は少なくありません。労務の管理においては、労働法を熟知している弁護士による就業規則のチェックを始め、SNSの利用に関してルール作りや違反した場合の対応などがその一例となります。

もちろん、相談したいことだけ、実際に生じた問題にだけ、専門家を使用するということも考えられます。しかし、一口に飲食業といっても、チェーン展開をしているのか、営業時間、労働者がどのような者なのかなどの様々な事情があります。そして、生じた問題に対応するためにも、問題が生じないようにするためにも、その飲食業の実態が分からなければ、適切な対応は困難です。そもそも、同じ業界の同じような問題と言っても、事実関係が全く同じということは極めてまれです。そのため、一つ一つの企業に合った方法を考え、対応していくのが適切なのです。すなわち、問題に適切に対応するためには、その企業のことを十分に知っていなければならないのです。

したがって、相談したいことだけ、実際に生じた問題にだけ専門家を使用するというのではなく、顧問契約として継続的な関係を築いた弁護士がいる方がより適切な対応が可能となります。

当事務所は、適切な対応方法を御社と一緒に模索していきたいと考えております。顧問契約についても、一度、ご検討いただければと思います。

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