交通事故の慰謝料相場と通院日数の関係

交通事故の慰謝料相場と通院日数の関係

慰謝料の相場は計算方法によって異なる

慰謝料の相場は計算方法によって異なります。計算方法には、大きく、自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準があります。自賠責基準は被害者が補償を受けられる最低額であり自動車賠償保障法施行令に根拠があります。

任意保険基準は相手方の加入する任意保険会社が提示する金額です。
弁護士基準は被害者側の弁護士が主張する基準です。「赤い本」(民事交通事故訴訟損害賠償額算定基準上巻(基準編)[公益財団法人日弁連交通事故相談センター東京支部]に記載された算定方法に従います。

通常、弁護士基準>任意保険基準>自賠責基準の順で金額が大きくなります。

慰謝料相場の比較

むちうちで6か月通院し(実通院日数80日)、後遺障害等級14級が認められた場合
自賠責基準弁護士基準
通院慰謝料68万8000円89万円(※別表2)
後遺障害慰謝料32万円110万円
骨折で入院期間5ヶ月(150日)、通院期間510日、実通院日数380日、後遺障害等級11級の場合
自賠責基準弁護士基準
通院慰謝料上限120万円(※)290万円
後遺障害慰謝料136万円420万円

※自賠責保険の「傷害」に対する賠償限度額は120万円です。

任意保険基準の相場は、自賠責基準以上弁護士基準以下

任意保険会社が提示する任意保険基準の相場は通常自賠責基準以上、弁護士基準以下となるのが通常です。「基準」とありますが保険会社で共通というわけではなく、各保険会社が独自に賠償額の「基準」を定めています。そのため、提示される額は保険会社によって異なります。

慰謝料の相場に差が出る理由

3つの基準はそれぞれ目的が異なります。自賠責基準は交通事故の被害者が受けられる最低限の補償を定めるものです。相手方が法律に従い自賠責保険に加入している限りにおいて自賠責基準に従った補償を受けることができます。

任意保険基準は交通事故の加害者側の立場から提示される金額です。そのため、どうしても、被害者の目から見ると低額になります。弁護士基準は、交通事故の被害者側の立場から提示される金額です。そのため、3つの基準の中で最も高額になります。

弁護士基準の慰謝料相場が高くなるのは何故か

弁護士基準の慰謝料相場は被害者側の立場で主張する金額ですから3つの基準の中では最も高額になるのが一般的です。弁護士基準は裁判基準とも呼ばれます。しかし、訴訟を提起せずとも、弁護士が相手方保険会社と交渉に入ることにより、相手方保険会社も弁護士基準による慰謝料相場を参照して交渉を行うのが通常です。その結果、示談交渉の結果得られる慰謝料も高額になります。

弁護士基準で交渉できるのは弁護士だけ

弁護士基準で交渉できるのは弁護士だけです。そのため、交通事故の被害者が弁護士基準の慰謝料相場を主張するためには、弁護士に相手方保険会社との交渉を依頼しなければなりません。

入院・通院の日数は慰謝料額に大きく影響する

入院・通院の日数は慰謝料額に大きく影響します。自賠責基準の場合は、4300円×入通院日数が慰謝料額になります。入通院日数は、総治療期間と実入通院日数に2倍をかけた日数のうち少ない方をとるという運用がなされています。また、弁護士基準の場合、「赤い本」別表1・2に従い入通院慰謝料額が算定されます。この表は、入通院期間が長くなればなるほど高額になります。

このように、入院・通院の日数は慰謝料額に大きく影響します。

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通院日数が少ないと慰謝料額も下がる

入通院慰謝料の計算式は上記の通りです。そのため、通院日数が少ないと慰謝料も下がるのが一般的です。しかし、弁護士基準においてまず重視されるのは、入通院期間です。通院日数が少なくとも入通院の「期間」が長ければ慰謝料額は多くなる可能性があります。

通院が多ければ、その分慰謝料が増えるのか

通院が多ければその分慰謝料が増えるかというと必ずしもそうではありません。自賠責基準の場合、入通院期間と実入通院日数の2倍の短い方を入通院日数として扱う運用がなされています。いくら通院が多く実入通院日数が大きくなっても、これが入通院期間を上回れば、入通院期間が入通院日数として扱われることとなり、慰謝料は増えません。

弁護士基準の場合は、入通院「期間」が算定の基準となるため通院が多いことにより直ちに 慰謝料が増えるわけではありません。ただし、傷害の部位、程度により、弁護士基準により算定される慰謝料が増額されることがあります(「赤い本」)。通院が多いということはそれだけ傷害が重いということですから、結果的に慰謝料が増額される可能性があります(もちろん、傷害の部位、程度に比して、不必要に通院を重ねても増額されるものではありません)。

適正な通院頻度はどれくらい?

適切な慰謝料を受けるためには、通院頻度は週に2回程度と言われます。症状が軽く、通院期間が長い場合には、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とすることもあります。例えば、6か月間通院期間があったとしても、月に2回しか通院していなければ、通院期間が6×2×3.5=42日と計算され、保険会社が低額の慰謝料しか認めないと主張することがあります。

仕事があってそこまで通院できないという場合

仕事があってそこまで通院できないという場合であっても、担当医の指示に従い、きちんと通院するようにしてください。事情があってどうしても通院できないという場合には、その他の事情をもって、傷害の重さを主張することになりますが、一般的に交渉は難しくなります。

弁護士への相談が早いほどアドバイスできることが増えます

交通事故で慰謝料請求をする際には、事故発生直後からの様々な事情が考慮されます。事故直後に整形外科を受診し、適切な通院頻度を維持するなど、適切な慰謝料請求をするために重要なポイントはいくつもあります。弁護士への相談が早いほどアドバイスできることが増えるのです。

リハビリを通院期間に含むかは治療内容次第

リハビリも治療に必要だと判断されれば通院期間に含まれます。しかし、リハビリ通院があまりに長期に及ぶ場合は、症状等をふまえ、実通院日数の3.5倍程度を慰謝料算定のための通院期間の目安とする扱いがなされます。その結果、期待していた慰謝料が認められないということがあります。また、リハビリ通院の頻度があまりに多い場合は過剰診療を疑われ、やはり、慰謝料が認められないことがあります。適切な治療内容、適切な頻度で通院することがポイントです。

整骨院だけ通っていると後遺障害慰謝料に影響が出る

後遺障害慰謝料が認められるためには、後遺障害等級認定が必要になります。そして、後遺障害等級認定においては、医師の診断書や意見書が重要になります。整骨院だけ通っている場合には、医師の診断書や意見書が得られないため、後遺障害等級認定で不利になり、結果、後遺障害慰謝料も認められないということになりかねません。

整骨院に通いたい場合、どうすればいいか

整骨院に通いたい場合は、まず整形外科を受診し、整形外科の指示で整骨院に通うことが望ましいです。どうしても医師の指示が得られない場合には、最低でも30日に一度は整形外科に通院しつつ、相手方保険会社に対して整骨院に通う旨伝え、了解を得ておく必要があります。

後遺障害等級認定のためにも早めにご相談ください

後遺障害等級認定のためには、事故直後より整形外科に適切な頻度で通い、診断書や場合によっては主治医の意見書をもらう必要があります。後になって慌てて病院を受診しても、事故直後からの経過を知らない医師は、なかなかその時の症状と交通事故との因果関係を認めることができません。後遺障害等級認定自体は、症状固定(治療をしてもよくも悪くもならない時)後ですが、事故後なるべく早期に弁護士にご相談いただくことで、適切な後遺障害等級認定を受ける準備が可能になります。

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この記事の監修

弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善
弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長弁護士 井本 敬善
愛知県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。
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