養育費の支払い義務|養育費を払わないとどうなる?

離婚問題

養育費の支払い義務|養育費を払わないとどうなる?

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善

監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士

子を持つ夫婦が離婚する際に、必ずと言って良いほど議論になるのが、養育費です。

養育費という言葉は、ほとんどの方が知っているかと思いますが、そもそも、それは、法律上支払わなければならないものなのか、金額はどのように決められるのか、払えないときはどうするのかなどについては、知らない方も多いかと思います。以下では、これらについて、解説していきます。

養育費の支払いは法律で義務化されている

養育費は、民法で定められている「生活保持義務」を根拠に、支払わなければならないとされています。生活保持義務とは、自身の生活と同等のレベルの生活を相手にも保障する義務を言います。

そして、離婚したとしても、非監護親は子に対して、生活保持義務を負い続けますので、生活保持義務の履行として、養育費を支払う義務があるといえます。

以上より、養育費は、法律上支払いが義務化されているといえます。

養育費はいくら支払う義務がある?

養育費を具体的にいくら支払うかについては、法律上定められてはいません。そのため、双方が合意をすれば、金額はいくらでも構いません。

もっとも、双方で合意できない場合も多いでしょう。そのような場合は、双方の収入、子の人数、子の年齢をもとに、適正な養育費の金額が決められます。

実際、前記の事情を当てはめて、適正な養育費の金額が分かる、算定表があります。家庭裁判所でも、この算定表を用いて養育費の金額を定めることがほとんどです。

養育費の支払い義務はいつから始まる?

養育費は、夫婦が離婚してから、支払い義務が生じます。もっとも、それまでも、夫婦が別居している場合は、婚姻費用の支払い義務がありますが、この婚姻費用についても、子の養育費を含むと考えられています。

養育費の支払い義務はいつまで続く?

養育費をいつまで支払わなければならないかについても、法律上明確に定められてはいません。もっとも、生活保持義務の趣旨からして、子が経済的に自立するまでと考えられています。

具体的には、20歳とすることもありますが、子が大学に進学することを前提として、卒業するまで(例:4年制の大学に進学することを想定して、「22歳を迎えて最初に到来する3月まで」など)とすることもあります。

このように、養育費をいつまで支払うかについては、ここまでという決まりはありませんが、概ね20歳~22歳で合意をするケースが多いでしょう。

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離婚後、養育費を支払わないとどうなる?

それでは、離婚後に、養育費を支払わなかった場合、どうなってしまうのでしょうか。以下、強制執行と財産開示について解説をします。

強制執行される

養育費を調停で取り決めた場合や、公正証書で取り決めた場合、その取り決めどおりに養育費を支払わないと、強制執行される可能性があります。

具体的には、預貯金や、勤務先からの給与を差し押さえられたりします。給与差押えをされると、実際に差押えをされるだけではなく、養育費を支払っていないことが事実上勤務先に分かってしまうことになります。

一方で、差押えをする側としては、相手の預金口座の情報や勤務先の情報を把握していないと、差押え手続きをすることができません。そのため、万が一に備えて、このような情報を取得して置くことも必要かと思われます。

財産開示を拒否したり、嘘をついたりすると前科が残る

財産開示手続というものがあり、それは、裁判所を通し、債務者に財産を開示させる手続きをいいます。もし、財産開示を拒否したり、嘘をついたりすると、6か月以下の懲役または50万円以下の罰金という刑事罰を科される可能性があります。このように、財産の開示を拒否または嘘をついたりすると、犯罪になり、前科が残ることとなります。

養育費を払わなくていいケースは?支払い義務がなくなるのはどんな時?

相手が養育費を請求しないことに同意した場合

相手が養育費を請求しないことに同意をした場合は、当然、支払義務はなくなります。もっとも、養育費は子の権利であることから、後から、上記合意の有効性が争われる可能性はありますで、注意が必要です。

受け取る側が再婚した場合

養育費を受け取る側が再婚をした場合でも、原則として、それだけでは養育費の支払い義務はなくなりません。養育費を受け取る側が再婚をし、かつ、その再婚相手と子が養子縁組をした場合については、再婚相手が一次的な扶養義務を負うことになりますので、その結果、それまで養育費を支払っていた元配偶者の養育費支払義務がなくなるとされています。

養育費の支払い能力がない場合

養育費の支払義務は、その者に収入、つまり、支払能力があることが前提で課されるものになります。そのため、仮に、収入がない場合は、支払義務が生じないことはあります。

もっとも、生活が困窮しているとしても、収入があれば、その収入に応じて、一定の養育費支払い義務が生じうるので、この点は、注意が必要です。

養育費のことでお悩みなら、一度弁護士にご相談ください

養育費については、言葉としては馴染みのあるものかと思いますが、その算定方法や、支払われなかったときの対処等については、なかなか難しい問題ではないでしょうか。離婚問題を扱う弁護士は、その辺りの知識、実務を熟知しており、養育費でお困りの皆様のお力になれるかと思います。養育費でお悩みの方は、是非一度弁護士にご相談ください。

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善
監修:弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:45721)
愛知県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。