離婚調停中の不利な発言とは|聞かれる内容や有利に進めるためのポイント

離婚問題

離婚調停中の不利な発言とは|聞かれる内容や有利に進めるためのポイント

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善

監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士

離婚調停は、離婚をするか否か、離婚をするとして親権者を夫婦のいずれにするか等を家庭裁判所(裁判官及び調停委員)の関与のもとに話し合って決める手続きです。ここでは、離婚調停において聞かれること及び離婚調停を有利に進めるために注意すべき点について説明していきます。

離婚調停でしてはいけない不利な発言

離婚調停においては、自己に有利な内容で合意するために、調停委員に効果的にアピールすることが重要です。そのために、避けるべき発言として、以下のようなものがあります。

①相手の悪口や批判
②矛盾する発言
③固執しすぎる発言
④譲歩しそうだと思われる発言
⑤他の異性との交際をほのめかす発言
⑥相手に直接交渉するといった発言

①相手の悪口や批判

相手の悪口としては、例えば、「収入が低いうえに、家事も育児も手伝わず、全く役に立たないくせに、こちらの家事や育児に対して文句ばかり言ってくる。」といったことなどがあります。離婚調停の段階になると、相手方との関係が悪化していることもあり、感情的になって、相手方に対する不満を吐き出したくなるという気持ちについては理解できます。しかし、そのような相手に対する悪い評価を話しても、調停委員には、その評価の根拠となる事実が伝わらず、かえって、感情的で根拠のない話をする人物であるといった悪い印象を与えてしまうことになりかねません。

②矛盾する発言

悪口にはあたらないとしても、矛盾する発言も避けるべきです、例えば、「家事は全て自分が行っていた。」といった後に「相手方が食事を作っていた。」といった両立しない発言が考えられます。このように、発言に一貫性がない場合、調停委員に話が真実であるかどうかを疑われてしまい、調停委員に説得力をもってアピールすることにつながりません。

③固執しすぎる発言

離婚の条件について希望を持つのは当然といえます。もっとも、この条件に固執する発言をするのは、調停を全体として有利な内容で成立させることとの関係で避けるべき場合があります。例えば、「絶対に慰謝料として1000万円を支払ってもらいたい。」といった法外な慰謝料を強く求める発言をすると、調停委員や裁判官は、調停成立の見込みがないと判断して、調停を打ち切る可能性があります。この場合、離婚をするためには裁判等の手続によることとなり、(仮に勝訴して離婚できるとしても、)時間がかってしまいます。早期の離婚を考えている場合、このような結果につながりかねない発言は避けるべきといえます。

④譲歩しそうだと思われる発言

上記のとおり、希望する条件に固執しすぎることは問題ですが、逆に安易に譲歩しすぎることも問題です。当初、「慰謝料を一切支払わない。」と発言していたが、相手方から強く慰謝料100万円の支払いを求められて、「慰謝料の支払いはやむを得ない。」と発言をすることなどが考えられます。このような発言をすると、相手方が様々な条件について譲歩を求めてきた場合に、調停委員がこちらを説得できると判断して、その都度説得してくると考えられるためです。結果として、当初のこちらの希望からかけ離れた不利な条件で合意することになりかねません。このような結果を避けるため、調停委員に安易に譲歩しそうだと思われるような発言も避けるべきです。

⑤他の異性との交際などをほのめかす発言

離婚調停を申し立てた場合、調停委員から、離婚を希望する理由を聞かれます。その際、他の異性との交際をほのめかす発言をすることが考えられます。このような発言をすると、この交際が夫婦関係破綻前から行われていたと疑われてしまう可能性があります。その結果、その交際により夫婦関係が破綻したと認められて相手方から慰謝料を請求されることとなるおそれがあります。このような不利な展開となることを避けるため、他の異性との交際をほのめかす発言は避けるべきです。

⑥相手に直接交渉するといった発言

慰謝料の支払いを求めたにもかかわらず、拒否された場合など、調停が希望通りに進まない場合に、「相手方と直接話して払ってもらいます。」などといった発言をすることがあります。しかし、このような発言は、調停委員に、ルールに従わない危険な人物であると印象を与え、その後の調停手続き進行に不利な影響を及ぼすことが考えられます。離婚調停は、当事者間の直接の話し合いが難しい場合に、中立な第三者である裁判所の関与のもとに離婚に関する話し合いを行う手続きです。その手続きが進行中であるにもかかわらず、これを無視するという趣旨の発言であると評価されるためです。このような発言についても避けるべきです。

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離婚調停で聞かれること

聞かれる内容
申立人 結婚した経緯、離婚を決意した理由、現在の夫婦関係の状況、子の親権について、希望する離婚条件、離婚後の生活について
相手方 離婚意思の有無、(離婚意思がない場合、)その理由等、(離婚意思がある場合、)離婚の条件
離婚調停で聞かれることとは?

離婚調停中にしてはいけない行動

離婚調停を有利な条件で成立させるには、調停中に、手続に自己に不利な影響を及ぼす行動を避けることが重要です。離婚調停中にしてはいけない行動として、以下のようなものがあります。

①配偶者以外との交際
②相手に直接連絡する
③離婚調停を欠席する
④子供を勝手に連れ去る

①配偶者以外との交際や同棲

離婚調停中であっても、離婚が成立していない以上、いまだ婚姻期間中です。そのため、配偶者以外の者と交際したり、同棲したりすると、それが夫婦関係の破綻以前から続いていると疑われて、不貞行為と判断され、それにより夫婦関係が破綻したと認められてしまう可能性があります。その場合、相手方から慰謝料の支払いを請求されたりするおそれがありますので、このような行為は避けるべきです。

②相手に直接連絡する

離婚調停は、当事者間の直接の話し合いが難しい場合に、中立な第三者である裁判所の関与のもとに離婚に関する話し合いを行うことために申し立てられることの多い手続きです。そのため、離婚調停中に、話し合いが思うように進まないからといって、相手方に直接連絡しても、話し合いがまとまる方向で進むことは期待できず、ほぼ意味がないといえます。それだけでなく、連絡の取り方次第では、脅迫罪や強要罪、ストーカー規制法違反などの罪に問われる可能性があります。

③離婚調停を欠席する

また、離婚調停中で、話し合いが思うように進まない場合、これ以上調停を続ける意味がないと考えて、特に理由もないのに、調停の期日を欠席することを考えるかもしれません。しかし、正当な事由なく調停を欠席すると、5万円以下の過料を科される可能性があります(もっとも、現実に、過料が科されるケースは、ほぼありません。)調停での話し合いが思う通り進まない場合は、調停を不成立として、訴訟を提起する等の方法も考えられますので、無断で調停を欠席することは避けるべきです。

④子供を勝手に連れ去る

離婚調停中に子との面会交流が行われることがありますが、面会交流実施の際に、子を連れ去ってしまうケースがあります。このように、離婚調停中に、子を連れ去るという行為に出ると、調停委員に、ルールに従わず親として適格性を欠く人物であるとの印象を与え、その後の調停における手続に不利な影響を与えることになります。これに加えて、連れ去りの方法次第では、未成年者略取罪に問われる可能性があります。

離婚調停を有利にすすめるためのポイント

離婚調停では、主に調停委員が当事者から直接話を聞いて手続を進めていきます。そのため、調停を有利に進めるためには、調停委員にこちらの主張を効果的にアピールするなどの方法により、良い印象を与え、調停委員をいわば味方にすることが重要です。具体的には、まずは、形式的な面から、姿勢や服装を整え、話す際には、感情的にならずに丁寧に話すようにすることが重要です。話の内容面については、抽象的な話にとどまらず、具体的なエピソード(事実)を示すことにより、わかりやすく伝えることを心掛けでください。そのために、事前にメモを作成したり、陳述書を提出したりすることも効果的です。譲れないことと譲ってもよいことを決めておき、調停委員の説得に対して柔軟かつ適切に対応することも重要です。

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以上、離婚調停において聞かれること及び離婚調停を有利に進めるために注意すべき点について説明しました。これらの注意点に留意すれば、離婚調停は単独で適切に行うことは可能です。ただ、説明の内容について理解することはできても、注意すべき点が多岐にわたります。また、多くの方にとって、離婚調停は経験がなく、慣れない場において緊張してしまい、適切にふるまえないことも考えられます。これらの点を考慮すると、離婚調停を単独で行った場合に、不利益な発言をしてしまわないかと不安を持たれる方が多いのではないでしょうか。そのような場合、弁護士にご依頼いただければ、豊富な経験と専門的な知識に基づき事前の準備から期日における同席まで、有利に調停を進めるための適切なサポートを受けることができます。ぜひ、弁護士への依頼をご検討ください。

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善
監修:弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:45721)
愛知県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。