医療過誤における損害

代表執行役員 弁護士 金﨑 浩之

監修医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 弁護士

  • 損害

損害とは

医療過誤をおこした医療機関等に対して、請求できる損害とはなんでしょうか?

日本の損害賠償制度は、発生した損害を被害者と加害者との間で公平に分担することを目的としており、被害者の財産状態に生じたマイナスを補填することを主眼に制度が組み立てられています(加害者に対する制裁を目的とした制度ではありません)。

そこで、損害は、過失がなければ置かれていたであろう財産状態と過失があったために置かれている財産状態の差をいうと解されています。

損害の計算方法

一口に財産状態の差といっても、どうやって計算するの?と疑問に思われると思います。

裁判では、損害を計算する方法として、治療費、葬儀費用、逸失利益などといったさまざまな個別の項目に分け、項目ごとの金額を合計することによって計算しています。個別の項目は、その内容により、財産的損害と非財産的損害(慰謝料)に分類でき、さらに財産的損害は、積極的損害と消極的損害に分類できます。

なお、医療過誤と同様に人の死亡や傷害についての損害が問題となる交通事故では、件数が多いことから、損害についての算定基準が策定されており、医療過誤についても交通事故における算定基準を参照して損害を算定することがほとんどです。もっとも、既に何らかの病気にかかっている患者の損害を算定しなければならないなどの医療過誤特有の問題があり、交通事故の算定基準とは異なる考慮が必要となることもあります。

積極的損害とは

積極的損害とは、被害者が実際に支出を余儀なくされた分の損害をいいます。

医療過誤によって身体に傷害を負った場合の治療費や通院に必要な交通費、医療過誤によって死亡してしまった場合の葬儀費用などが積極的損害に該当します。

具体的に積極的損害として計上される項目としては、治療費、付添費用、入院雑費、将来介護費、通院交通費・宿泊費、装具・器具等購入費、家屋・自動車改造費、葬儀費用があります。

消極的損害とは

消極的損害とは、医療過誤がなければ得られるはずだったのに、医療過誤があったために得られなかった利益をいいます。医療過誤によって身体に傷害を負った場合に、傷害が完全に治らずに後遺障害が残存し、以前と同じように働けなくなった場合、身体が元通りであれば得られたはずの収入が得られないような場合が積極的損害に該当します。

具体的に消極的損害として計上される項目としては、休業損害、後遺症による逸失利益、死亡による逸失利益があります。

慰謝料とは

医療過誤によって生命、身体、健康が害された場合には、被害者は精神的苦痛を被ることとなります。この精神的苦痛を慰藉するために認められるのが慰謝料です。前述した交通事故の損害賠償算定基準では、入通院慰謝料、後遺症慰謝料、死亡慰謝料の基準が定められており、医療過誤の損害賠償請求の場合でもこの算定基準を参照して算定することがほとんどです。

また、医療過誤に特有の問題として、①説明義務違反はあるが生命・身体の侵害との間には因果関係が認められず自己決定権侵害のみが認められる場合、②生命の侵害は認められないが死亡時に生存していた相当程度の可能性が認められる場合には、慰謝料のみが認められるのが現在の判例・裁判例の取り扱いですが、この場合の慰謝料をどのように算定するのかという問題があります。

最後に

医療過誤の被害者となってしまった場合、請求できる損害項目・損害の算定は個々のケースにより異なり、また、医療過誤の損害賠償特有の配慮が必要になる場合もあります。適切に損害を算定して相手方である医療機関に請求するためには、医療過誤に精通した弁護士に相談することをお勧めします。

この記事の執筆弁護士

弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員 医学博士 弁護士 金﨑 浩之
監修:医学博士 弁護士 金﨑 浩之弁護士法人ALG&Associates 代表執行役員
保有資格医学博士・弁護士(東京弁護士会所属・登録番号:29382)
東京弁護士会所属。弁護士法人ALGでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。

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