遺産確認の訴えとは

コラム

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善

監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士

被相続人の相続財産に何が含まれるかは、相続人が相続できる取り分に影響を及ぼすことがあります。そのため、相続財産の範囲について相続人間で協議がまとまらず、争いが激化することがあります。その場合は、遺産確認の訴えを提起して、裁判所に判断してもらうのも一つの手段です。

遺産確認の訴えとは(遺産確認訴訟)

遺産確認の訴えとは、被相続人の財産のうち、相続財産に含まれるものはどれかを判断し、遺産の範囲を確定させるために提起するものです。
訴訟の結果出た判決には、事後の裁判において、判決と矛盾する判断をしてはならないという裁判所への拘束力(既判力と呼ばれます。)が認められます。
そのため、遺産確認の訴えを起こして、遺産の範囲を確定させておくと、後に遺産の範囲で争わなければなくなる心配はなくなります。

遺産確認の訴えで認められた財産は誰のもの?

遺産確認の訴えで遺産と認められた財産は、あくまで被相続人が有していた財産(=遺産)に含まれると認められただけで、この時点では、まだ誰のものでもありません。そのため、誰のものかを決めるためには、遺産確認の訴えで認められた財産をどう分けるのかを決める遺産分割が必要になります。

どんな時に遺産確認の訴えを利用すると良い?

遺産の範囲に争いがある場合・相続財産に含まれるかどうか曖昧な場合

遺産確認の訴えを起こす場面としては、遺産の範囲に争いがある場合、相続財産に含まれるかどうか曖昧な場合があります。例えば、被相続人が亡くなる直前に不動産の名義変更が行われたり、被相続人から財産をもらう口約束をしていたり、被相続人が相続人名義で隠し財産を作っていたりした場合には、形式的には被相続人以外の人が所有しているように見えても、実質的には被相続人の財産と判断できるのか問題となり、相続財産の範囲が争いになることが多いです。

相続財産がどれくらいあるか不明な場合

遺産確認の訴えを起こす場合としては、相続財産がどれくらいあるか不明な場合があります。例えば、まだ発見されていない被相続人の財産がもっとあるはずというような場合や、被相続人の財産を誰かが隠しているのではないかと疑いを持っている場合には、相続財産の範囲が明確でないため、遺産確認の訴えにより被相続人の財産の全体像を確定させていくことになります。

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遺産確認の訴えを起こす方法

遺産確認の訴えを提起するために、自分の主張を記載した訴状を作成し、裁判所に提出します。訴状を提出する際には、相続関係を証明するために被相続人の出生から死亡までの戸籍や死亡時の住民票、相続財産の中身を証明するための財産資料(不動産登記簿や通帳など)、被相続人が遺言書を作成している場合には遺言書など、相続財産の範囲を判断するのに必要となる証拠を一緒に提出する必要があります。
訴えを起こす際、相続人全員を相手にする必要があります。
訴えを提起する裁判所は、被相続人の最後の住所地を管轄する裁判所にする場合もありますが、被告の住所地など、法律上管轄が認められる裁判所であれば、どこの裁判所に提起しても良いです。

遺産確認の訴えにかかる費用

遺産確認の訴えを提起する際、確認対象になる被相続人の財産の価額に応じて、裁判所に手数料を印紙で支払う必要があります。
この印紙額については、相続財産の価額によっては、数十万円かかる可能性もあります。
遺産確認の訴えを提起する場合には、訴訟で時間がかかることだけではなく、裁判所に支払う手数料についても考えておく必要があります。

遺産分割訴訟でも財産は確定できる

相続財産とされている財産について、自分の財産だから相続財産には含まれないという主張をするために、所有権確認訴訟を起こす場合があります。この訴訟で自分の所有権が認められれば、持ち主が自分であることが確定し、遺産の範囲に含まれないことも確定します。
また、誰かが所有権を主張する財産について、相続人らの共有持分権を確認する共有持分権確認訴訟を起こす場合があります。この訴訟で相続人らの共有持分権が認められれば、その財産は相続財産の範囲に含まれるということになります。
これらの2つの訴訟であれば、その財産が遺産の範囲に含まれるか否かだけでなく、持ち主の確定もできます。

遺産確認の訴えに関する判例

遺産確認の訴えは、遺産の範囲を争いたい意向があれば、どんな財産でも遺産の範囲に含まれるか否かを確認できるというわけではありません。
確認訴訟においては、対象を無制限に広げないために、それを確認することによって紛争の抜本的解決に資するなどの確認の利益が必要です。
その確認の利益に関する裁判例として、令和2年8月27日東京地方裁判所判決があります。この裁判例は、すでに処分された財産(払戻済み預金債権等)が被相続人の遺産に属するか否かが問題となった事案において、原告が遺産確認の訴えを提起するのは遺産分割の対象たる財産であることを既判力をもって確定しておくためであるから、現存する遺産の確認を求める場合に確認の利益が認められることを理由に、既に処分された財産については確認の利益がないと判断しました。
つまり、相続開始時に存在していても、既に処分されてしまった財産については、遺産確認の訴えは起こすことができないということになります。

遺産確認でお困りなら弁護士にご相談ください

相続財産の範囲については相続で頻繁に争いになりますが、相続財産の範囲を決めないことには、いつまでも遺産を分けることはできません。相続財産の範囲については、一つ一つの証拠を分析するなど、法的な視点からの検討が必要です。そのため、相続財産の範囲をきちんと把握し、適切な遺産分割協議を行うためにも、相続財産の範囲に疑問がある方は、ぜひ一度弁護士に相談してみてください。

自筆証書遺言とは

遺言とは、亡くなった方(遺言者)の意思を反映させるための仕組みです。遺言には、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があります。公正証書遺言及び秘密証書遺言は、公証人の関与(費用がかかります)を必要とするのに対し、自筆証書遺言は、遺言者のみで作成できます。そのため、自筆証書遺言には、いつでも簡便に、かつ費用をかけずに作成できるという利点があります。もっとも、法定の方式を満たしていない場合や、内容が法律上無効となる場合には、自筆証書遺言が無効となる可能性もあります。この記事では、自筆証書遺言について説明をします。

自筆証書遺言が有効になるための4つの条件

自筆証書遺言が有効になるためには、次の要件が必要です。まず、①遺言の内容となる前文、日付、氏名の全てを自署することです。遺言に添付する相続財産目録(相続財産の一覧を記載するものです)は、自署によらないことができるとされていますが、原則として、全てについて自署が必要になります。次に、②自筆証書遺言に押印をすることが必要です。これらの要件を満たしていない自筆証書遺言は、遺言として有効に成立しません。

パソコンで作成してもOKなもの

上記の通り、財産目録についてはパソコンで作成をすることが認められます。その他の部分については、自署によらなければならないため、タイプライターやワープロ等で作成した場合には、その遺言は有効には成立しません。また、遺言者が、遺言の前文、日付及び氏名につき、カーボン紙を用いて複写の方法で記載したという事案で、自署による遺言といえるか否かが争点となりました。判例は、カーボン紙を用いた場合でも、自署の方法によるとして、自署の要件を満たすと判断しました。

自筆証書遺言の書き方

まずは、遺言の内容を決めましょう。遺言で定めることができる事項は、法律で決まっています(祭祀主催者の指定、相続分の指定等です)。法律で決まっている事項以外は、遺言の中に書き込んだとしても法律上の遺言としての効力を有しないということになります。

まずは全財産の情報をまとめましょう

自筆証書遺言に相続財産の全部又は一部の目録を添付する場合には、まず、全財産の情報をまとめる必要があります。不動産であれば、地番・地積等、預貯金債権であれば、金融機関名・口座番号等を記載した別紙を添付しするのが通常であるため、不動産登記や、預貯金通帳等を参照して記載をします。
上記の通り、財産目録についてはパソコンで作成をすることが認められます。財産目録をパソコンで作成する場合は、財産目録の偽造変造を防止するために、目録の各頁(自署によらない記載が両面にある場合はその両面に)署名・押印をする必要があります。

誰に何を渡すのか決めます

相続財産を誰にどのように渡すのかを決めます。例えば、自宅の土地建物を長男に、預貯金を長女に…といった形で個別に指定する場合もあれば、預貯金について、割合を決めて渡す場合もあります。また、遺言作成時に、全ての相続財産を把握することはできないため、遺言に記載のない相続財産についてどのように渡すのかも決めておく必要があります。

縦書き・横書きを選ぶ

自筆証書遺言について、縦書き・横書きのいずれにするかの決まりはありません。ご自身が書きやすい方で作成いただければ結構です。

代筆不可、すべて自筆しましょう

遺言に記載すべき内容がまとまれば、全て自筆しましょう(上記の通り、財産目録については例外)。もし、文字を書くことができない状態であれば、自筆証書遺言を作成することはできないため、その場合は、公正証書遺言を作成することが考えられます。公正証書遺言であれば、遺言者が遺言としたい内容を公証人に口頭で伝え、公証人がその内容を遺言書の形にしてくれます。もっとも、判断能力に問題があるなどの理由で自署ができないということであれば、遺言能力が欠けると判断される可能性があるため、仮に公正証書遺言を作成しても、無効となる可能性があります。

遺言書の用紙に決まりはある?

遺言書の用紙に特に決まりはありません。もっとも、遺言の効力が問題とされる場合に備えて、なるべく、きちんとした紙に書くことをお勧めします。市販されている遺言書のキットを使用するのも一つの方法です。

筆記具に決まりはある?

筆記具に決まりはありません。もっとも、遺言の効力が問題とされる場合に備えて、鉛筆や消せるボールペンは避けていただき、書き始めから書き終わりまで同じペンを使用することをお勧めします。

誰にどの財産を渡すのか書く

「3.2」で決めた通り、誰にどの財産を渡すのかを書きましょう。例えば、「遺言者は、その有する別紙財産目録記載の土地・建物を、遺言者の長男●●(生年月日)に相続させる。」等の方法で記載をします。

日付を忘れずに書く

日付も忘れずに書いてください。「●年●月●日」のようなハンコではなく、自署しなければなりません。厳密に「●日」と書いていなくても構いませんが、どの日か特定できるように書かなければなりません。例えば、「令和4年9月末日」ならば特定できるので大丈夫ですが、「令和4年9月吉日」は特定できないので日付を書いたことにはなりません。

署名・捺印をする

遺言書の最後に、忘れずに、署名・捺印をしましょう。実印が望ましいですが、認印でも構いません。実印は、遺言者本人が厳重に管理するのが通常であるという経験則が働くため、遺言者以外の第三者によって偽造されたとの主張がなされた場合に、「実印が押されている」ことから「遺言者本人が作成した」と認定されやすくなります。

遺言書と書かれた封筒に入れて封をする

遺言書が完成したら、遺言書を封筒に入れて「封印」をします。「封印」は、法律上の要件ではないため、これがなくても遺言は無効にはなりません。しかしながら、「封印」をすることで、遺言者以外の者により改ざんされたり、紛失したりするリスクを下げることができます。封筒の裏側の綴じ代に押印をすることで「封印」をします。押印に用いる印章は、遺言書の最後に使用した印章と同一のものを用います。

自宅、もしくは法務局で保管する

完成した遺言書は、自宅、もしくは法務局で保管します。法務局に保管する場合は、手数料がかかりますが、遺言者以外の第三者により改ざんされたり、紛失したりするリスクを下げることができます。詳しくは、法務省の「自筆証書遺言書保管制度」について、手続等をご確認下さい。

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自筆証書遺言の注意点

遺言によっても遺言者の意思は100%尊重されるわけではなく、遺言者の意思と相続人の利益との調整を図るために遺留分制度が存在します。また、遺言を訂正する場合には決められた方法で訂正しなければなりません。

遺留分に注意・誰がどれくらい相続できるのかを知っておきましょう

遺言により、遺言者の意思が尊重されるとは言っても、遺言者の意思が100%尊重されるわけではありません。遺言者の意思と、相続人の利益との調整を図るための制度が遺留分制度です。仮に、遺言者が、遺産の全てを特定の者に渡すとの遺言を作成したとしても、遺留分権利者は、当該特定の者に対し、遺留分侵害額請求権を行使し、一定の金額を請求することができます。

訂正する場合は決められた方法で行うこと

遺言を訂正するためには、遺言者がその場所を指示し、これを変更した旨を記載して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に押印をしなければその効力が生じないとされています。これは、法律で定められた訂正の方法です。これまでに解説をした通り、遺言は、方式が厳格に定められているところ、訂正についても、定められた方式によらないければなりません。なお、定められた方式によって訂正をしなかった場合であっても、遺言全体が無効となるわけではなく、訂正部分のみが無効となります(訂正前の文言を判読することができれば、その訂正前の文言を含めて遺言全体が有効となります)。

自筆証書遺言の疑問点は弁護士にお任せください

自筆証書遺言については、このように様々な決まりがあります。また、遺言を作成した場合でも、遺留分権者が遺留分侵害額請求を行うなど、遺言者が亡くなった後に紛争が生じる可能性があります。「遺言書を作成したけれどこの遺言書で本当に有効なのか」「遺言書を作りたいけれどどうやって作ればよいか分からない」「公正証書遺言にした方がよいのではないか」等、自筆証書遺言について疑問が生じた場合は、弁護士にご相談下さい。

夫婦は、同居中のみならず別居中においても、それぞれの収入に応じて婚姻費用を分担します。婚姻費用は、特に別居中に問題となりますが、収入の低い方はきちんと受け取らないと生活が困窮してしまいます。
請求の際には、婚姻費用算定表を利用し、適正額を知ることが重要です。婚姻費用算定表では、自身と相手の収入子供の状況に応じて婚姻費用の相場を確認できるため、参照すると良いでしょう。
本記事では、婚姻費用算定表の使い方やポイントについて解説していきます。別居に踏み切る前にぜひ一度ご覧ください。

婚姻費用算定表とは

婚姻費用算定表とは、婚姻費用の相場を調べるための表です。夫婦の年収や子供の人数・年齢によって金額が決まっており、裁判所のホームページで誰でも閲覧することができます。また、実際の調停や裁判で使用されるため、信ぴょう性も高いです。

そもそも婚姻費用は、「夫婦が分担する生活費」のことで、別居中でも支払義務があります。基本的に収入の多い側が少ない側に支払います。夫婦間で合意ができれば、婚姻費用の金額を自由に決めることができますが、揉めるケースも多いです。

そこで、実務上でも有効な“算定表”を用いれば、裁判所等で用いられている相場をもとに協議できますので、過小又は過大な金額で婚姻費用の合意をしないための材料とすることができます。

婚姻費用算定表の使い方

婚姻費用算定表には細かい数字が並んでいるため、抵抗がある方もいるでしょう。しかし、流れに沿って進めれば難しいことはありません。手順を1つずつみていきましょう。

お互いの年収を調べておく

婚姻費用のベースは、夫婦それぞれの年収です。これを表にあてはめれば一目で相場が分かるため、最も重要なポイントです。
では、正確な年収はどうやって調べれば良いのでしょうか。「給与所得者」と「自営業者」に分けて説明していきます。

給与所得者の年収の調べ方

給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」という欄に書かれた数字をあてはめます。
これは税金や社会保険料が引かれる前の金額であり、手取り額ではありません。
婚姻費用の計算では税金なども考慮されるため、間違えないようにしましょう。

なお、毎月の給与明細を足す方法もありますが、ボーナスや一時金が反映されません。
そのため、本来の収入より金額が低くなり、適切な婚姻費用を算出できないおそれがあります。

自営業者の年収の調べ方

自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」を参照します。
ただし、これは税法上の控除を受けたあとの金額なので、正しいとは限りません。
「控除されたが実際には支払っていない費用」(青色申告控除や家族への給与など)がある場合、すべて加算するのが適切です。

また、住民税の課税証明書でも確認できます。その場合、「給与収入金額」の数字をそのまま年収とみなします。

いずれにしても、給与所得者と同じく税金などを含めた金額が用いられます。

裁判所のHPから最新版の婚姻費用算定表をダウンロードする

婚姻費用算定表は子供の人数と年齢によって 10種類あるため、ご自身の状況に合うものを選びましょう。
まず、子供がいない夫婦の場合、【夫婦のみの表】を選択します。
また、子供が複数いる場合、14歳以下と15歳以上に分けて考えます。例えば、子供が3人の場合、【1人目が15歳以上、2人目と3人目が14歳以下】といった形です。

実際の算定表は、以下のホームページで確認できます。
なお、婚姻費用のほかに養育費の算定表もあるため、間違えないようご注意ください。

婚姻費用算定表(裁判所)

支払う側と受け取る側の年収が交わる箇所を探す

夫婦の年収をあてはめ、婚姻費用を算出します。

婚姻費用を支払う側(収入が多い側)を「義務者」、受け取る側(収入が少ない側)を「権利者」とし、それぞれ算定表の「縦軸」と「横軸」にあてはめます。
なお、“給与所得者”か“自営業”かによって枠が異なるため注意しましょう。

それぞれの年収が交差する金額が、婚姻費用の相場となります。
例えば、子供が1人、義務者の給与が600万円、権利者の給与が300万の場合、 8~10万円となります。

「ピッタリあてはまる年収がない」、「子供が4人以上いる」という方については、以降でご説明します。

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婚姻費用算定表が自分のケースに当てはまらない場合

高所得者子供が4人以上いる夫婦は、あてはまる算定表がありません。その場合、以下の計算式によって婚姻費用を算出します。

1.夫婦の基礎収入の合計×権利者側の生活費指数÷夫婦の生活費指数の合計
2.「1.」で求めた金額-権利者の基礎収入=婚姻費用

基礎収入とは、年収から税金や諸経費を控除した金額です。つまり、“本人が自由に使える金額”ということです。
また、生活費指数は、世帯人員にどれだけの生活費がかかるかを示したものです。通常、親を100、15歳未満の子供を62、15歳以上の子供を85とします。

ただし、実際の計算はややこしいので、あてはまる算定表がない方は弁護士に相談することをおすすめします。

婚姻費用算定表に関するQ&A

婚姻費用を算定表より多くもらうにはどうしたらいいですか?

多くの生活費がかかる理由を明確にし、その証拠を提示することが重要です。例えば以下のようなケースでは、算定表よりも高い婚姻費用が認められる可能性があります。

  • 権利者や子供に持病があり、高額な医療費がかかる
  • 子供が私立学校に通っており、学費が高い
  • 子供の習い事に月謝がかかる

これらの証拠としては、病院の領収書や学校からの請求書、通帳の引き落とし記録など、金額がはっきりわかる書面が有効です。ただし、私立学校に通っていることや習い事の費用に関しては、当然に認められるのではなく、双方当事者の学歴などにより異なってくることがあります。

なお、一度決めた婚姻費用を増額することもできますが、以下のよう“特別な事情”が必要です。

  • 権利者が失業し、収入が減った
  • 義務者の収入が大幅に増えた
  • 病気が発症し、医療費が必要になった

義務者の年収が350万~450万の場合、婚姻費用相場は6万~8万となっているのですが、年収450万円に近ければ8万円という考え方で良いのでしょうか?

実務上、その認識で問題ありません。権利者の収入が100万円程度として計算されていますので、交わる部分が上限付近なら高額に、下限付近なら低額となるのが一般的です。
ただし、婚姻費用算定表は目安にすぎないため、夫婦の合意があれば調整可能です。極端な話、算定表から外れた金額でも構いません。

また、ピッタリあてはまる年収がない場合、より近い金額を基準とします。例えば、年収が210万円の場合、200万円と225万円のうち、より近い「200万円」が基準となります。

婚姻費用算定表の金額に、子供の学費は含まれていますか?

婚姻費用は、生活費と子供の養育費の合計です。養育費には、学費が含まれていますので、算定表の金額には学費も含まれています
しかし、算定表は子供が公立学校に通っていることが前提です。私立学校に進学した場合、“算定表”と“実際の学費”の差額も加算できる可能性があります(ただし、義務者が進学を承諾している場合や、学費の負担に相当する収入・資産がある場合に限られます)。

また、子供が大学に進学した場合も、学費の請求が認められる傾向があります。
ただし、奨学金や本人のアルバイト収入なども考慮されるため、全額請求できるとは限りません。

専業主婦は収入0のところを見ればいいでしょうか?年収100万円として考えることもあると聞いたのですが…

専業主婦でも、必ず「収入0」になるとは限りません。実収入はなくても、心身ともに健康で、育児にも手がかからない(乳幼児ではない)場合、専業主婦にも“働く能力”はあるといえるためです。
そこで、パート収入程度の“100万円”を年収とみなし、婚姻費用算定表にあてはめて計算をすることもあります。

一方、本人に持病がある・子供が幼く手が離せないなど、働くのが難しい場合、“年収0”とみなされるのが基本です。

年金生活者です。年金を収入と見なして婚姻費用算定表を使えばよいでしょうか?

年金額をそのまま収入とみなすことはできません。そのため、算定表ではなく計算式を用いて婚姻費用を算定します
その場合、まず夫婦の基礎収入を算出する必要があります。基礎収入は、通常、総収入から税金や諸経費、職業費※を控除した金額です。年金生活者には「職業費」がかかりません。
※職業費とは、スーツ代や懇親会の会費、取引先の接待費など、働くうえで発生するお金です。
つまり、同額の給与を得ている一般的な労働者よりも控除率が低く、基礎収入も同額の旧所得者よりも高くなるのが通常です。

弁護士がそれぞれの事情を考慮して婚姻費用を算定します

婚姻費用の相場は、算定表を用いることで誰でも簡単に調べることができます。適正額がわからない方や、金額で揉めている方は、参照すると良いでしょう。
しかし、婚姻費用算定表は目安にすぎず、金額も“最低限”に留まります。そのため、算定表だけに従うと、実態に合わず十分な生活費を確保できないおそれがあります
また、一度決めた婚姻費用を変更するのは難しいため、適切な金額を求めるのがポイントです。 弁護士であれば、ご依頼者様の状況を踏まえて適正な婚姻費用を算出できます。また、相手との交渉もすべて任せられるため、ストレスを回避することもできます。
弁護士法人ALGでは、受付スタッフによるヒアリングや弁護士との相談を経て、納得したうえでご依頼いただけます。離婚問題に精通した弁護士が揃っていますので、ぜひお気軽にご相談ください。

離婚後、子供と離れて暮らす親はもう一方に養育費を支払う義務があります。養育費は子供の生活に欠かせないものですので、たとえ自身の生活が苦しくても支払義務を免れることは基本的にできません。
しかし、離婚時に養育費の金額で揉める夫婦は少なくありません。将来の出費も不透明ななか、具体的な金額を取り決めるのは難しいでしょう。
そこで活用できるのが養育費算定表です。養育費算定表では、ご自身の状況に応じて養育費の相場を確認できるので、スムーズな取り決めに役立ちます。
本記事では、養育費算定表の使い方について解説していきます。よくある質問も取り上げていますので、参考になさってください。

養育費算定表とは

養育費算定表とは、離婚後に支払うべき養育費の相場を示した表です。子供の人数や両親の収入に応じて、目安となる金額が定められています。
仕組みとしては、まず収入の多い方の親(義務者)が子供と同居していると仮定し、子供にかかる生活費を求めます。そして、この生活費を両親の収入の割合で按分し、もう一方(権利者)に支払うべき金額を算出しています。

養育費算定表は、実際の調停などでも使用されますし、夫婦の話し合いで参照することも可能です。裁判所のホームページで公開されていますので、金額で揉めている場合には活用すると良いでしょう。

新養育費算定表について

2019年12月には、約16年ぶりに養育費算定表が改訂されました。改訂後は、新養育費算定表をもとに計算することになります。
本改訂では、両親の基礎収入や子供にかかる生活費の計算方法が見直され、養育費が全体的に底上げされています。
この背景としては、増税・物価の変動といった社会情勢の変化や、ひとり親世帯の貧困化が挙げられています。養育費算定表の改訂により、より生活実態に見合った養育費が支払われると期待されています。

養育費算定表の使い方

では、養育費算定表の使い方を具体的にみていきましょう。細かな数字が多く抵抗を感じるかもしれませんが、流れに沿って行えば難しいことはありません。順序を追ってご説明します。

子供の人数と年齢を確認する

養育費算定表はいくつか種類があり、子供の人数と年齢によって使い分けがなされています。そのため、まずは養育費の対象となる子供の状況を整理しましょう。
なお、子供の年齢は0~14歳、15歳以上で区別されていますので、例えば子供が3人の場合、1人目が15歳以上、2人目と3人目が14歳以下というように整理します。

裁判所のHPから該当の算定表をダウンロードする

養育費算定表は裁判所のホームページに掲載されており、誰でも閲覧することができます。
また、子供の人数と年齢に応じて9つの表がありますので、前項で整理した内容と合致する表を選択しましょう。

すぐに算定表をご覧になりたい方は、以下のページをご覧ください。なお、養育費のほか婚姻費用の算定表も掲載されていますので、間違えないようご注意ください。

養育費算定表(裁判所)

義務者(支払う側)の年収を確認する

義務者(養育費を支払う側)の年収は、算定表の縦軸をみて該当する箇所をチェックします。
なお、年収は2列表記となっており、給与所得者(会社員やパート、アルバイト、派遣社員など)であれば外側の列を、自営業者であれば内側の列にあてはめます。
また、年収は数十万円単位で書かれていますが、中間的な金額の場合はより近い数字をみるとされています。例えば315万円の給与所得がある場合、縦軸の300万円と325万円のうち、より近い325万円を基準にするということです。

権利者(もらう側)の年収を確認する

権利者(養育費をもらう側)の年収については、算定表の横軸をみて該当する箇所をチェックします。
なお、給与所得者と自営業者で参照する列が異なる点や、年収が中間的な金額のときの対応については、義務者の場合と同様です。

2つの年収を辿り、養育費の金額を決定する

義務者と権利者の年収をあてはめたら、2つが交わる位置を確認しましょう。その枠に書かれた金額が、養育費の基準となります。
なお、養育費の金額は、義務者の年収が少ない場合は1万円、それ以外の場合は2万円の幅があります。その金額の範囲内で決めることになりますが、交差する位置により近い金額とするのが一般的です。例えば2万~4万円の枠で交わる場合、上部で交われば4万円、下部で交われば2万円といった具合です。

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養育費算定表の結果はあくまでも相場

養育費算定表の金額は相場にすぎないため、必ずしも従う必要はありません。夫婦が合意すれば自由に決めることができ、算定表の金額から増減させることも可能です。
むしろ、「算定表の金額では足りない」という方も多いと思われます。というのも、養育費算定表は子供が公立学校に通うことを前提としており、習い事や突発的な出費には対応していないからです。
算定表に固執せず、実情に即した金額を定めるのが望ましいでしょう。

養育費算定表に関するQ&A

養育費算定表以上の金額をもらうにはどうしたらいいですか?

話し合いでも裁判でも、算定表以上の金額を請求するにはその根拠を示すことが重要です。算定表は標準的な金額にすぎないため、足りないことを証明できれば増額できる可能性は十分あります。
例えば、子供が私立学校に通っている場合には学費の金額がわかる書面を、習い事をしているのであれば月謝代がわかる書面などを揃えましょう。

なお、話し合いで金額に合意した場合、合意内容は公正証書に残すことをおすすめします。特に「強制執行認諾文言付公正証書」にしておけば、相手が養育費を支払わない場合に財産を差し押さえ、強制的に金銭を回収することができるため安心です。

古い算定表で金額を決めました。新養育費算定表の金額で支払ってほしいのですが、どうしたらいいですか?

算定表の改訂は、養育費を増額すべき事情変更にはあたらないと定められています。よって、算定表が改訂されたことだけを理由に養育費を増額することはできません。また、過去に遡っての増額請求もできないのが基本です。

新算定表の金額で支払ってもらうには、当事者で再度話し合って合意するか、調停など裁判所の手続きによって新たな金額を取り決めなければなりません。このとき、増額が必要な事情の変化(収入の減少、子供の私立学校への進学など)を明確にできれば、増額が認められる可能性は高いでしょう。

子供に障害があるため医療費がかかります。それでも算定表の額しか支払ってもらえないのでしょうか?

子供の持病によって特別に医療費がかかる場合、算定表以上の養育費が認められる可能性があります。また、子供の病気などで突発的に高額の医療費がかかった場合、義務者にその分担を求めることも可能です。
もっとも、通常の医療費は算定表の金額に含まれているため、別途請求が必要な根拠を示す必要があります。また、増額幅は実際の出費を参考に決めるため、毎月の領収書や明細書など実際にかかった金額がわかる書面を保管しておきましょう。

新算定表の額が高すぎると調停を申し立てられました。減らさなければいけないのでしょうか?

調停では、最新の算定表をもとに話し合いが進められるのが基本です。また、調停委員もこれに沿って具体的な金額などを提示するため、相手の主張に必ずしも応じる必要はありません。
ただし、離婚後に事情の変化があり、相手が養育費減額調停を申し立てた場合、減額が認められる可能性はあります。
養育費を減額すべき事情の変化とは、以下のようなものです。

  • 義務者が失業や解雇、病気などで減収した
  • 権利者が就職、昇進などで増収した
  • 義務者、権利者が再婚した(詳しくは次項をご覧ください。)

再婚を理由に算定表の金額よりも養育費を減らしたいと言われました。受け入れなければいけないのでしょうか?

再婚したからといって、当然に養育費が減額されることはありません。ただし、再婚後の事情によっては減額が認められてしまうこともあります。
まず、相手(義務者)が再婚し、相手と再婚相手の間に子供が生まれた場合※、養育費の減額が認められる可能性が高いです。新たな子供を扶養しつつ、当初の養育費を支払い続けるのは経済的負担が大きいからです。 また、こちら(権利者)が再婚し、子供と再婚相手が養子縁組をした場合も、養育費は減額され得るでしょう。この場合、再婚相手が一次的な扶養義務を負い、基本的に義務者の責任は免除されるためです。

※相手が再婚相手の子供と養子縁組をした場合も同様です。

子供が4人以上いる場合の養育費算定表がありません。相場はどう調べればいいでしょうか?

子供の人数が多い場合、算定表の基礎である算定式をもとに養育費の金額を決定します。仕組みとしては、子供の生活費を義務者と権利者の基礎収入で按分し、義務者が負担すべき養育費を求めます

基礎収入とは、年収から税金や社会保険料、その他経費を差し引いた金額で、養育費の捻出の基礎となる収入をいいます。総収入に一定割合をかけて算出します。
子供の生活費とは、成人に比べ、子供にどれだけの生活費がかかるのかを示した割合です。具体的には、「(義務者の基礎収入×子供の生活費指数)÷義務者と子供の生活費指数の合計」という式で算出します。

養育費の金額は、上記を踏まえ以下の式で算出することができます。
(子供の生活費×義務者の基礎収入)÷義務者と権利者の基礎収入の合計

上の子を夫が引き取り、下の子2人を私が引き取ることになりました。算定表はどう見たらいいのでしょうか?

養育費算定表は、権利者がすべての子供を引き取ることを想定しています。よって、両親がそれぞれ子供を引き取る場合、別の方法で養育費を算出する必要があります。
計算方法としては、子供全員を権利者が監護すると仮定したうえで、義務者が監護する子供の配分割合を控除するのが一般的です。 ここでは、第1子が15歳以上、第2子と第3子が14歳以下と仮定して説明します。
まず、権利者が3人の子供を引き取った場合の養育費を算定表で求めます。本例では、10万円 だったと仮定しましょう。
次に、子供3人の生活費指数を合計し、義務者の負担割合を調べます。生活費指数は15歳以上が85、14歳以下が62なので、合計209 となります。
また、義務者は権利者が監護する2人分の養育費を支払えば良いので、負担割合は「(62+62)÷209= 0.59 」となります。 よって、養育費の相場は、10万円×0.59= 5.9万円 と求めることができます。

算定表に書かれている年収は手取りですか?支払額ですか?

算定表の年収は、手取りではなく税込みの金額です。給与所得者の場合、源泉徴収票の「支払金額」の欄に記載されています。
自営業者の場合、確定申告書の「課税される所得金額」に、「実際に支出していない費用」を加算して算出するのが基本です。

養育費のことでお困りのことがあれば、弁護士への相談がおすすめ

子供の生活のため、適切な養育費を請求することはとても重要です。養育費算定表を踏まえ、実情も加味した金額を求めるべきでしょう。
しかし、養育費はお金にかかわるうえ、長期的に支払うものですので、離婚時に揉めやすい項目です。まして相場以上の金額を請求する場合、相手がなかなか応じてくれないこともあるでしょう。
そこで、養育費のお悩みはぜひ弁護士にご相談ください。弁護士は相手との交渉を代理できるだけでなく、増額が認められるポイントなどを熟知しています。ご依頼者様の事情に応じて、適切な金額を漏れなく請求することが可能です。また、弁護士に依頼することで、交渉がスムーズに進む可能性も高くなります。
弁護士法人ALGには、離婚問題に詳しい弁護士が多く在籍しています。スムーズに手続きを進めるためにも、養育費でお困りの方はお気軽に弊所へお問い合わせください。

今回は、遺産分割におけるみなし相続財産についてご説明します。本来、みなし相続財産は遺産分割の対象外の財産ですが、条件等によっては、遺産分割等影響を及ぼすものも存在します。

みなし相続財産とは

みなし相続財産とは、本来相続財産ではないが、相続税上は相続財産としてみなされる財産のことをいいます。そのため、通常は、遺産分割そのものとは関係のない財産となりますが、一部、遺産分割において注意すべき財産も存在します。

みなし相続財産になるのはどんなものか

まずどのような財産がみなし相続財産となるのか、その一例を説明します。

生命保険金

生命保険のうち、保険契約者と被保険者がともに被相続人(亡くなった方)で、保険金の受取人が相続人であるものについては、当該受取人たる相続人の固有の財産となり、遺産ではないというのが原則です。
しかし、相続税においては、この保険金もみなし相続財産として相続税の対象となります。

死亡退職金

死亡退職金についても、被相続人の死亡によって支給され、かつ、受取人が規程等によって特定の相続人等に定められているものは、受取人固有の財産とされ、原則、遺産分割の対象にはなりません。しかし、みなし相続財産として相続税の対象となります。

借金の返済が免除、または減額された場合(債務免除益)

相続人が被相続人からお金を借りていた場合などで、遺言によって、被相続人が相続人の債務を一部ないし全部免除してくれた場合、その免除してもらった債務はみなし相続財産となります。

遺言による経済的利益

遺言によって、著しく低い価格で財産を譲渡された場合、譲り受けた人はその財産の時価との差額がみなし相続財産となります。

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相続放棄してもみなし相続財産は受取可能

みなし相続財産は、本来相続財産ではないものを相続税上では相続財産とみなして課税するものですから、相続放棄しても受取人固有の財産として受け取ることができるのが原則です。例えば相続放棄した相続人が、生命保険金だけ受け取ることも可能です。

契約内容次第で受け取れなくなるもの

しかし、一方で、同じように「生命保険」や「死亡退職金」と名前の付くものでも、その契約内容等によっては、みなし相続財産ではなく、単なる相続財産である場合もあります。この場合は相続放棄した相続人が受け取ることはできません。

生命保険金及び生命保険契約

まず、生命保険金の受取人が被相続人(亡くなった方)自身になっている場合、単なる相続財産となるため、相続放棄した相続人は受け取れません。
また、生命保険契約であっても、契約者が被相続人で、被保険者が被相続人以外の者である場合、つまり、被相続人が死亡しても生命保険金が支払われずに生命保険契約が存続していくものについては、契約の権利自体が相続財産となり、相続放棄した相続人はこの契約の権利を相続することはできません。

死亡退職金

死亡退職金についても、規程上、受取人が被相続人となっているものは単なる相続財産となり、相続放棄した相続人は受け取れない可能性があります。また、規程上、受取人が決まっていない場合も、単なる相続財産であるとされて相続放棄した相続人が受け取れないと判断される可能性があります。

遺産分割等においてに注意すべきみなし相続財産

みなし相続財産は、本来の相続財産ではないため、遺産分割には影響を与えないのが原則です。
しかし、条件によっては、上記のみなし相続財産を遺産に組み込んで遺産分割を行うこととなる場合もあります。以下、生命保険金を例にとって遺産分割等において注意すべき点についてご説明します。

生命保険金と遺留分制度との関係

生命保険金は、きちんと条件を満たせば、受取人固有の財産であって相続財産とはならないのが原則です。
しかし、相続財産全体に占める生命保険金の割合が、遺留分制度(遺言等により相続財産を全く受け取れないか一定割合以下しか受け取れない相続人が、法で定められた割合までは財産(金銭)を受け取ることができる制度)の潜脱に当たる程度にまで高いと判断された場合、生命保険金を相続財産として扱って、遺留分の算定がなされる場合があります。
この場合は、遺留分の計算において、生命保険金も純粋な相続財産と同じように扱われることになります。
なお、このような取り扱いについては、他のみなし相続財産であっても同様に取り扱われる可能性があります。

生命保険金と特別受益制度との関係

民法上、被相続人から生活の資本等として遺贈や贈与等を受けた相続人がいる場合、一定の要件を満たすものについては、これを相続財産の先渡しを受けたものとして扱うという特別受益の制度があります。
生命保険金は、受取人固有の財産であり、この特別受益には当たらないのが原則ですが、この特別受益の制度の趣旨に照らして到底是認できないほどの不公平が生じると判断された場合、当該生命保険金が特別受益として扱われる可能性があります。
なお、このような取り扱いについては、他のみなし相続財産であっても同様に取り扱われる可能性があります。

みなし相続財産についての不安は弁護士にご相談ください

このように、同じ「生命保険」であってもみなし相続財産になるものとそうではないものがあり、また、みなし相続財産であればどのような場合でも遺産分割等と無関係というわけでもありません。
ある財産がみなし相続財産であるのか、そうではないのか、また、みなし相続財産であっても遺産分割等に影響を及ぼすものであるのかなどは専門的な判断が必要となります。
みなし相続財産について悩まれた場合はぜひ一度弁護士までご相談ください。

相続人の中には、認知症や精神障害などによって十分に判断能力がない方がいることもあります。では、相続人に、十分に判断能力がない者がいた場合、どのように遺産分割協議を行えばよいのでしょうか。判断能力が不十分であるにもかかわらず、自分自身で遺産分割協議に参加しなければならないのでしょうか。
これについて、判断能力が不十分な方に対しては、成年後見制度を利用することが考えられます。本ページでは、判断能力が不十分な者を保護するための制度である成年後見制度について説明をいたします。

成年後見制度とは

成年後見制度とは、知的障害、認知症、精神障害によって、判断能力が不十分な者を保護、支援するための制度です。
現代社会において、様々な契約、取引をしながら生活をしていますが、認知症などによって、物事を十分に判断することが出来なくなると、騙されて契約をしてしまったり、不必要なものを購入してしまったりなどの不都合が生じてしまいます。このような不都合から本人を保護するための制度が成年後見制度です。
なお、成年後見制度には、本人の判断能力の程度によっていくつかの制度がありますが、ここでは主に「成年後見」を念頭にご説明いたします。

相続の場で成年後見人が必要なケース

相続が発生すると、相続人間で、被相続人の遺産を分割する必要があります(これを遺産分割といいます。)。遺産分割は、どの財産を、誰が取得するのかなどを話し合うものですが、判断能力を欠いている場合、どの財産が必要かなどを判断することが出来ません。このような判断が出来ないと話し合いになりませんので、相続人の中に判断能力が欠いている者がいると遺産分割協議を行うことができなくなってしまいます。
このような場合、判断能力を欠いている者に成年後見人をつけることで、遺産分割協議を行うことが出来ます。
上記のとおり、相続人の中に判断能力が欠いている者がいる場合には、成年後見人を必要とします。

相続人が未成年の場合は未成年後見制度を使う

未成年者は、年齢や、その成長によって、判断能力は様々ですが、未成年者の保護のために、一律にその行為能力が制限されています。そのため、親権者の同意がないと法律行為を行うことはできません。
遺産分割協議に当たっても、同様であり、親権者が未成年者に代わって対応したり、同意をすることで遺産分割することが出来ます。
もっとも、親権者が先に死亡するなどしていた場合、親権者が不在となってしまっています。このように親権者がいない場合には、未成年後見人をつけることができます。そして、遺産分割協議に当たっては、未成年者後見人が未成年者に代わって対応することとなります。

成年後見人ができること

成年後見人の業務としては、身上監護と財産管理があるとされています。
身上監護は、本人の住居を確保(賃貸借契約を締結したり、その契約の更新、施設の契約など)や治療を受けるための契約や手続きなどが挙げられます(なお、身上監護といっても、食事作りや実際の介護などを行わなければならないわけではなく、本人に代わって契約等をすることで本人の生活や健康を維持することが求められています。)。
また、財産管理については、財産目録の作成や、年金の受け取り、預金の管理などを行うこととなります。

成年後見人になれるのは誰?

成年後見人は、家庭裁判所によって選任されます。成年後見人には、主に親族や専門の者が選任されています。
もっとも、未成年者や破産者、本人と訴訟をしたことがある者などは、後見人になることが出来ないとされています。そのため、親族といっても、本人と訴訟をしたことがある場合には、後見人となることはできません。
ところで、親族が後見人になった場合、その後見人と本人の両方が相続人となる相続が発生する場合があります。この場合、後見人は、自分の利益を優先すると、本人の利益が害され、本人の利益を優先すると自分の利益が害されてしまうこととなり、適切な業務が期待できません。そのため、後見人の利益と本人の利益とが相反することに関しては、後見業務を行うことはできないとされています。このような場合には、特別代理人を選任するなどして対応をする必要があります。

誰が申し立てすればいい?

成年後見人の選任には、家庭裁判所による審判が必要です。では、この審判は、誰が申し立てることが出来るでしょうか。
成年後見人の審判を申し立てることが出来る者は、次のとおりです。

  • 本人
  • 配偶者
  • 四親等内の親族
  • 未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、補佐監督人、補助人、補助監督人
  • 検察官
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成年後見制度申し立ての手続き

成年後見人の申し立て手続きの流れは、おおよそ次のとおりです。
①申立てのための資料収集などの準備、申立書の作成

②家庭裁判所に対して、申立書を提出

③申立てを受けた家庭裁判所において、申立人や後見候補者等と面接、その他の調査

④審理

⑤審判(成年後見人の選任)

⑥審判の確定

成年後見人の候補者を決める

成年後見人を申し立てる際には、成年後見人の候補者について推薦を行うことができます。家庭裁判所は、職権で成年後見人を選任しますので、この推薦に拘束されるものではありません。もっとも、推薦がある場合は、その候補者が成年後見人に適切かということも考慮して、成年後見人を選任します。親族が成年後見人となろうと考えている場合には、その親族を候補者として推薦をした方が良いでしょう(申立人が自分自身を成年後見人の候補者として推薦することもできます。)。
なお、成年後見人の候補者の推薦については、申立ての必須事項ではありません。適切な候補者がいない場合は、推薦することなく申立てを行えば問題ありません。

必要書類を集める

申立てに当たっては、申立書のほか、様々な資料を集めることが必要となります。
必要資料としては、本人の戸籍、住民票、成年後見人候補者の住民票、本人の診断書、本人情報シート、本人の健康状態が分かる資料、本人の資産、収入状況が分かる資料などです。
このうち、本人情報シートとは、医師が診断を行う際の補助資料になるほか、家庭裁判所における審理のために使用するためのものです。本人を支える福祉関係者が記載をすることが想定されており、介護認定の有無、認知機能に関する事項、金銭管理の状況などが記載されます。なお、本人情報シートの書式は、裁判所が公開していますので、それを利用すればよいでしょう。

成年後見・補佐・補助について

上述したとおり、成年後見制度は、本人の判断能力に応じていくつかの制度があります。判断能力を常に欠く場合には成年後見、判断能力が著しく不十分な場合には保佐、判断能力が不十分な場合には補助という制度を利用することになります。
本人の判断能力の程度によって異なるものですが、この判断は、容易ではありません。本人と話ができるようであれば、本人とも話をしつつ保佐か補助を、本人と話ができないレベルであれば後見を選択することになると考えられます。

家庭裁判所に申し立てを行う

必要資料が集まり、申立書を作成したら、家庭裁判所に対して、申立書と必要書類を提出して、申立てを行うこととなります。
申立先は、成年後見人をつけられる本人が、住んでいるところを管轄する家庭裁判所です。なお、申立書及び必要書類の提出は、郵送によっても行うことができます。

家庭裁判所による調査の開始

申立てを受けた家庭裁判所は、本人や申立人、後見人の候補者と面接を行い詳しい状況を確認していくこととなります。また、家庭裁判所は、申立てをした者以外の親族への意向確認も行います。
このほか裁判所においても、医師による鑑定で、本人の判断能力の調査を行います。もっとも、本人との面接結果や、診断書の記載内容から、明らかに鑑定をする必要がない場合には、鑑定を行わずに成年後見人の選任を行うこともできます。
このような調査を行い、家庭裁判所は、成年後見人が必要か否かの審理を行うこととなります。

成年後見人が選任される

申立書や診断書の記載内容、本人調査や鑑定結果から、成年後見人が必要であると判断した場合、家庭裁判所は、成年後見人を選任する審判を行います。
なお、成年後見人が選任された場合、その旨を公示するために、成年後見登記が行われます。具体的には、成年後見人選任の審判が確定した後、家庭裁判所が法務局に審判の内容を通知して、法務局に登記を嘱託します。そして、嘱託を受けた法務局が成年後見登記を行うことで、成年後見を受けていることが公示されます。

成年後見人の役割は本人の死亡まで続く

成年後見制度は、判断能力が不十分な者を保護し、支援するための制度であり、本人が亡くなるまで後見業務を行う必要があります。そのため、例えば、相続のために申立てをした場合であっても、その相続手続きの終了に関わらず、本人が亡くなるまで後見業務が続きます。
本人が亡くなった場合には、後見業務は終了することになりますが、その際は、家庭裁判所に対して、死亡診断書等を提出して本人の死亡を報告します。また、財産目録を作成して、死亡時終了報告を行う必要があります。

成年後見制度にかかる費用

成年後見の申立てに当たっては、申立手数料及び後見登記手数料、送達・送付の費用、鑑定費用などが必要となります。
このうち、鑑定費用は、鑑定の任を受けた医師によってその金額が異なりますが、一般的には、10万円~20万円の費用が必要とされています。
なお、これらは、成年後見制度の申立てに当たっての費用であり、成年後見人に対する報酬は別途必要となります。

成年後見人に支払う報酬の目安

成年後見人は、後見業務を行いますが、これに対しては、報酬を支払う必要があります。この報酬は、成年後見人からの申立てがあったときに裁判所の審判によって定められます(そのため、親族が成年後見人になる場合、報酬の申立てをしなければ無報酬となります。)。
報酬について、東京家庭裁判所の「成年後見人等の報酬額のめやす」によると、目安となる額は、月額2万円とされています。もっとも、管理財産額が1000万円を超え5000万円以下の場合には、基本報酬額を月額3万円~4万円、管理財産額が5000万円を超える場合には基本報酬額を月額5万円~6万円とするとしています。
また、特別に困難な事情があった場合には、上記基本報酬額に、付加して報酬が支払われることもあります。

成年後見制度のデメリット

成年後見人は、本人の利益を害しかねない行為を許可することはできませんので、仮に、本人が資産運用や相続人へ財産を贈与することを希望したとしても、それらを行うことは困難となります。そのため、本人による自由な財産処分に関して、制限が付くことがデメリットといえます。
また、成年後見人は、裁判所という公の機関から選任を受けて後見業務を行うことになります。これは、親族が成年後見人になる場合も同じです。そのため、親族であったとしても、本人の資産を自分のために使ったり、本人の利益を害するために使った場合には、業務上横領罪が成立する可能性があります。このように、成年後見人となると、通常、親族に課せられるものよりも、責任が重くなりますので注意が必要です。

成年後見制度についてお困りのことがあったらご相談下さい

本ページでは、成年後見制度について説明をいたしました。成年後見制度は、馴染みがない方も多いと思いますが、遺産分割協議のためなど、一定の場合には、成年後見制度の利用を考えざるを得ない場合があります。しかし、何から行えばいいのか分からない、どのような制度かイメージがわかない、そもそも申し立てるべきかどうかも判断できないなど、様々な問題があると思います。
成年後見制度に関して、お困りのことがありましたら、当事務所までご相談いただければと思います。

「離婚したいが、相手が応じてくれない」「離婚条件で揉めていて、なかなか離婚できない」という場合、裁判を検討される方も多いでしょう。
裁判は紛争を終局させるための手続きですので、確実な解決が可能となります。しかし、裁判ともなれば手間も時間もかかりますし、あまり現実味がないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、離婚裁判の流れやメリット・デメリットなどを丁寧に解説していきます。離婚裁判にご不安がある方は、ぜひ参考になさってください。

離婚裁判とは

離婚裁判とは、夫婦で離婚の合意ができないとき、裁判所の判決によって離婚を成立させる方法です。離婚を希望する者が申し立て、最終的に裁判に判断を委ねることになります。

もっとも、離婚裁判ができるのは、調停をしても離婚の合意ができなかった場合に限られます。これは、離婚など民事的な問題は本来話し合いで解決するのが望ましく、裁判をする前にまずは調停を試みなければならないとされているためです。これを調停前置主義といいます。
よって離婚裁判は、他の離婚方法が不成立となった場合の最終手段といえるでしょう。

離婚裁判以外の離婚方法

離婚の方法には、裁判以外にも以下の3つがあります。

●協議離婚・・・夫婦の話し合いだけで離婚する方法です。双方が合意できれば、離婚届を提出するだけで離婚が成立します。費用がかからず、離婚原因も問われないので、最も簡易的な方法です。また、離婚した夫婦の約9割が協議離婚で離婚しています。

●離婚調停・・・夫婦だけでは折り合いがつかないとき、裁判所を間に挟んで話し合う方法です。調停委員が双方の主張を整理しながら話し合いを進め、解決案を提示するなどして合意を目指していきます。
第三者を挟むことでスムーズに進むというメリットがありますが、話し合いにすぎないため、最終的に夫婦が合意できなければ調停不成立となります。

●審判離婚・・・双方に離婚の意思はあるものの、些細な事情で調停不成立となったとき、裁判所の判断で離婚を成立させる方法です。感情的な理由で対立していたり、調停終了直前に一方が出頭できなくなったりした場合に行われることがあります。
とはいえ、このようなケースは少ないので、実際に審判離婚が行われるのは極めて稀です。

離婚裁判で争われること

離婚裁判の争点は、「離婚するかどうか」だけではありません。その他にも、離婚に伴う以下のような事項について争う場合があります。

  • 財産分与・・・夫婦の共有財産を分け合うこと
  • 親権者の決定※・・・離婚後、どちらが子供の親権を持つか決めること
  • 子供との面会交流※・・・離れて暮らす親子が、定期的に会うなどして交流を続けること
  • 子供との面会交流※・・・離れて暮らす親子が、定期的に会うなどして交流を続けること
  • 子供の養育費※・・・子供と離れて暮らす親が、子供の生活費や学費を負担すること
  • 年金分割・・・夫婦の婚姻中の標準報酬を分割し、厚生年金の受取額を公平にすること
  • 慰謝料の有無や金額・・・一方が浮気やDVなどの有責行為をした場合、精神的苦痛の補償として相手に金銭を支払うこと

※夫婦に未成年の子供がいる場合のみ

裁判で離婚が認められる条件

裁判の場合、「法定離婚事由」にあたる事情がなければ離婚を認めてもらうことはできません。法定離婚事由とは、民法で定められた、離婚が認められるための要件をいいます。具体的には、以下の5つが法定離婚事由に定められています。

  • 不貞行為(浮気や不倫)
  • 悪意の遺棄(生活費を渡さない、健康なのに働かない、無断で別居するなど夫婦関係を意図的に破綻させる行為)
  • 3年以上の生死不明
  • 回復の見込みがない重度の精神病
  • その他婚姻を継続し難い重大な理由(DV、長期間の別居、浪費癖など)

離婚裁判の流れ

離婚裁判を申し立てる際は、以下の流れで進みます。

➀家庭裁判所に訴状を提出する

➁裁判所から当事者双方に第1回口頭弁論期日の呼出状が送付される

③第1回口頭弁論期日(訴訟提起から1~2ヶ月後)

④第2回以降の口頭弁論期日
または弁論準備手続き(裁判官・原告・被告が揃って今後の争点を整理したり、双方の主張を準備書面として提出する手続きです。およそ1ヶ月に1回のペースで行われます。)

⑤尋問や証拠調べ

⑥判決

※いずれの段階でも、双方に和解の見込みがあれば和解成立で終了します。

離婚裁判にかかる費用について

離婚裁判の申立てでは、収入印紙(申立手数料)と郵便切手の納付が必要です。
郵便切手代は申立先の裁判所によって異なりますが、申立手数料は1万3000円と決められています。ただし、離婚以外についても争う場合、請求内容に応じて以下の金額が加算されます。

  • 財産分与や年金分割:1200円
  • 養育費:子供の人数×1200円
  • 慰謝料:請求額に対する手数料※と1万3000円のうち、いずれか高い金額
    ※裁判所の手数料早見表で確認できます。

また、裁判手続きを弁護士に依頼する場合、別途弁護士費用もかかります。弁護士費用は、相談料として約1万円、着手金として約40万円、成功報酬として30万~60万円が相場となっています。なお、慰謝料や財産分与についても争った場合、認められた金額(経済的利益)の10~20%も加算されるのが一般的です。

費用はどちらが負担するのか

申立手数料や郵便切手代は、申立時に原告が支払います。しかし、最終的には敗訴者が全額を支払うか、裁判所が決定した割合に応じてそれぞれが負担することになります。

一方、弁護士費用については自己負担が基本です。よって、勝訴しても相手に請求することはできません。
ただし、相手の不法行為(主に浮気や不倫)に基づく損害賠償請求をする場合、弁護士費用の一部を請求できる可能性があります。もっとも、認められる金額は損害賠償金の10%程度ですので、負担した弁護士費用相当額を獲得するのは難しいでしょう。

離婚裁判に要する期間

離婚裁判の終結までには、半年~2年ほどかかるケースが多いです。ただし、複雑な事案などでは2年以上かかることもあります。
また、その間6~10回の期日が開かれるケースが多いため、協議離婚や離婚調停と比べて手間も時間もかかるでしょう。

最短で終わらせるためにできること

離婚裁判をできるだけ早く終わらせるには、有効な証拠を揃えることが重要です。相手の不貞やDV等相手の有責行為を裏付ける画像や録音データ、病院の診断書などを集めておきましょう。裁判所は客観的な証拠に基づいて判断するため、決定的な証拠があれば早期に解決する可能性が高くなります。 また、和解や妥協案を受け入れるのもひとつの方法です。裁判中でも、双方が合意すればいつでも和解が成立するため、判決を待たずに裁判を終了できます。
その他、離婚問題に強い弁護士に相談するのも有効です。弁護士は裁判手続きの専門家ですので、個人で対応するよりもスムーズな進行が期待できます。

長引くケース

離婚の成立だけでなく、離婚条件についても争いがある場合、裁判が長期化する傾向にあります。
例えば、財産分与が争点であれば、相手の財産調査を行うのにある程度の時間を要します。
また、親権で揉めている場合、裁判所の調査官が子供の意見や養育環境を調査するのが一般的です。この調査には数ヶ月かかることもあるため、解決がさらに遅くなります。
その他、十分な証拠がなく、お互いの言い分が食い違っているケースでも、事実関係の確認に時間がかかるため、長期化しやすいといえるでしょう。

離婚裁判で認められる別居期間

長期間別居していると、「夫婦関係はすでに破綻している」と判断され、離婚が認められる可能性があります。“長期間”に明確な定めはありませんが、一般的に3~5年が目安とされています。

一方、家庭内別居の場合、離婚を認めてもらえる可能性は低いといえます。同じ家に住んでいる以上、夫婦関係が破綻していると認定されにくいためです。
また、単身赴任もやむを得ない事情ですので、基本的に別居期間には含まれません。ただし、単身赴任中にはっきりと離婚の意思表示をした場合、その時点から別居期間にカウントできる可能性があります。

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離婚裁判の欠席について

離婚裁判は話し合いの場ではないので、当事者が欠席しても手続きは進められます。ただし、欠席すると相手の主張や証拠に基づいて審理が行われるため、こちらに不利な判決となる可能性が高くなります。無断欠席は絶対にせず、どうしても出廷が難しい場合は必ず裁判所に連絡しましょう。

一方、被告には「擬制陳述」という措置があり、第1回期日に限り、答弁書を提出すれば出廷しなくても主張をしたとみなしてもらえます。 というのも、被告は第1回期日の日程調整に参加できず、訴状と指定された日時だけがいきなり通知されます。そこで、どうしても都合がつかないという事態を考慮し、擬制陳述が認められています。

離婚裁判で負けた場合

第一審判決に不服がある場合、控訴を申し立て再び審理を求めることができます。日本では三審制がとられており、3回まで審理を受けることが認められているためです。
なお、控訴審の審理対象は控訴人が不服を申し立てた事項のみとなるため、第一審よりも早く終結する傾向にあり、多くのケースが1年以内に終了しています。

ただし、控訴状は第一審判決正本の送達日から2週間以内に、第一審を行った家庭裁判所に提出する必要があります(実際に控訴審を行うのは高等裁判所です)。
また、第一審判決を覆すには新たな証拠や主張を揃える必要があり、高度な専門知識を要するため、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

離婚裁判のメリット、デメリット

ここで、離婚裁判のメリットとデメリットをご紹介します。裁判をするか悩まれている方は、ぜひご確認ください。

メリット

離婚裁判のメリットは、相手の同意がなくても離婚が成立すること にあります。この点、離婚調停などでは双方の心情も加味され、なかなか合意に至らないことも多いため、確実な解決を望むなら裁判を行うのが良いでしょう。
また、確定判決には強制執行力があるため、相手が義務を守らない場合、財産を差し押さえて強制的に金銭を回収することができます。

デメリット

まず、解決までに時間がかかるのがデメリットです。裁判手続きには半年~2年かかるのが一般的であり、控訴すればさらに延長してしまいます。
また、裁判では主張を裏付ける証拠が特に重要ですので、証拠集めの手間や負担もかかります。その他、離婚裁判は外部に公開され、一般の方が傍聴できることにも注意が必要です。

離婚裁判についてQ&A

裁判の申立てを拒否することは可能なのでしょうか?

離婚裁判の申立て自体を拒否することはできません。どのような人でも、裁判を受ける権利は憲法上で補償されているためです。
むしろ、離婚したくないからといって出廷せずにいると、相手の主張どおりの判決が下される可能性が高くなってしまいます。離婚の回避を望むなら裁判には必ず出席し、相手の主張にしっかり反論するようにしましょう。

離婚の原因が相手の有責行為(浮気やDV)にある場合、離婚の請求は棄却されるのが通常です。倫理上、有責配偶者からの離婚請求は認められていないためです。
その場合、浮気やDVの証拠を集め、相手の有責性を証明できるかがポイントとなります。

他人が離婚裁判を傍聴することはできますか?

裁判は公平性を保つため、外部に公開されるのが基本です。よって、誰でも傍聴することができます。

とはいえ、主張や反論、証拠の提出などは、期日前に書面でやりとりするのが一般的です。また、書面の提出をもって陳述したものとみなされるため、法廷でその内容が読み上げられることはほとんどありません。さらに、書面の閲覧には別途手続きが必要ですので、傍聴人の目に触れる心配もありません。
ただし、尋問を実施する場合には、質疑応答の形式で離婚に関する事情を公開の法廷で話す必要があります。
尋問実施前に和解で解決することができれば、その心配はありませんが、尋問を実施した日に傍聴しに来た人には、事情の一部を知られることになると考えられます。

配偶者が行方不明でも離婚裁判を行うことはできますか?

可能です。相手が行方不明の場合、以下3つの法定離婚事由により離婚が認められる可能性があります。

・3年以上の生死不明
相手の生死が3年以上確認できない場合、それだけで離婚が認められます。ただし、メールの返信や目撃情報がある場合、生死不明ではないので対象外となります。

・悪意の遺棄
夫婦関係を意図的に破綻させる行為を指します。行方不明の経緯や期間、行方不明中の連絡の有無などを考慮し、離婚すべきかどうか判断されます。

・婚姻を継続し難い重大な理由
夫婦関係が完全に破綻している場合、離婚が認められる可能性があります。例えば、メールで連絡は取れるものの、相手に帰宅の意志がまったくなく、所在不明のケースなどです。

なお、相手が行方不明の場合、訴状を送ることができないため、「公示送達」という手続きがとられます。これは、裁判所の掲示板に訴訟が提起された旨を掲示し、それをもって送達したとみなす制度です。

離婚裁判で敗訴した場合、すぐに調停を申し立てることができますか?

調停の申立てに制限はないので、理論上は可能です。
しかし、一度下された判決を話し合いで覆すのは極めて難しいといえます。また、調停は双方の合意がなければ成立しないため、相手が呼出しに応じないことも十分想定されます。
さらに、敗訴した以上、判決確定後の事情の変更がない限り、調停委員がこちらの主張を新たに汲み取ってくれる可能性も低いでしょう。

したがって、判決後に調停を行うのは得策ではありません。判決に不服がある場合、弁護士に相談したうえで控訴を申し立て、再び審理を求めるのが良いでしょう。

離婚後すぐに再婚することはできますか?

再婚が認められる時期は、男女で異なります。まず、男性は離婚後すぐにでも再婚することが可能です。

一方、女性には「再婚禁止期間」があり、離婚した日から100日経過しないと再婚することはできません※。 これは、妊娠が発覚したときに胎児の父親を特定するための措置です。というのも、民法では、子供の父親を推定する方法について以下の定めがあります。

・離婚後300日以内に生まれた子供は、前夫の子供とみなす
・婚姻後200日以内に生まれた子供は、現夫の子供とみなす

これによると、例えば離婚直後に再婚し、その200日後に出産した場合、推定期間が重複して父親を判別することができなくなってしまいます。そのような不都合を避けるため、女性には再婚禁止期間が設けられています。
なお、本制度は、現在改正が検討されているため、近い将来、制度の変更がある可能性があります。

※離婚時に妊娠していないことを医師が証明した場合、離婚後100日以内であっても再婚が認められます。

相手が離婚を拒否し続けたら裁判でも離婚することはできないのでしょうか?

相手が頑なに離婚を拒否していても、裁判所が「離婚を認める」と判断すれば離婚できます。
裁判は、当事者の話し合いでは解決しないとき、紛争を確実に終わらせるための手続きですので、当事者の同意がなくとも離婚は成立します。

また、確定判決には法的拘束力があるため、相手は拒否することができませんし、相手が義務を守らなければ強制執行の手続きをとることも可能です。
さらに、相手が控訴せずに判決が確定した場合、同じ事由について再び裁判を起こして争うことはできません。

離婚裁判を考えている場合は弁護士にご相談ください

離婚裁判を有利に進めるには、法的知識に基づいた主張や証拠を十分揃えることが重要です。しかし、「どんな証拠をどうやって集めればいいのか」、「有効な主張とは?」など様々な疑問があるでしょう。また、そもそも離婚裁判のイメージがつかず、何から手をつければ良いのかわからない方も多いはずです。
そこで、離婚裁判を行う際は早めに弁護士にご相談ください。弁護士は裁判手続きのプロですので、必要書類の作成や提出、証拠集めや主張の準備など幅広くサポートすることが可能です。また、代理人として弁論を行うことができるため、ご依頼者様の手間や精神的負担が一気に軽くなります。

弁護士法人ALGは、これまで数多くの離婚問題を解決してきました。ご依頼者様ひとりひとりの状況に応じて、丁寧でスムーズな対応をさせていただきます。
離婚についてお悩みの方は、ぜひお気軽に弊所へお問い合わせください。

夫婦の話し合いで離婚が決まらなかった場合、離婚調停を行うのが一般的です。離婚調停は調停委員を挟んで話し合う裁判所の手続きですので、当事者だけで進めるよりもスムーズに解決すると思われます。
しかし、離婚調停も最終的には当事者の合意が必要ですので、納得できない部分があれば不成立に終わってしまいます。手間や時間をかけたのに調停が上手くいかず、離婚の成立が遅れれば、精神的にも大きな負担となるでしょう。
そこで本記事では、離婚調停を無事に成立させるためのポイントを解説していきます。不成立になりやすいケースや、万が一不成立になった際の対応などもご紹介しますので、離婚調停を検討中の方はぜひご覧ください。

離婚調停が不成立になる時とは?

離婚調停が不成立となるのは、当事者が離婚の合意に至らなかった場合 です。具体的には、以下のようなケースが挙げられます。

調停委員によって不成立と判断される

調停委員は、当事者による合意が見込まれない場合、不成立を選択し、調停終了の判断をすることができます。
よって、当事者の主張が激しく対立しており、調停委員が「これ以上話し合いを続けるべきではない」と判断した場合、調停不成立となり終了します。

とはいえ、1回目の期日で不成立になることはあまりありません。
基本的には、1回目の期日では事実確認や双方の主張の聞き取り程度で終了し、2回目以降の期日でお互いの妥協点を探っていくなどの調整を図っていきます。その後、数回の期日を経ても当事者が一向に合意できない場合、不成立と判断されるのが通常です。

離婚調停を途中で取り下げる

申立人は、裁判所に申し立てることで、いつでも離婚調停を取りやめることができます。また、取り下げるのに相手の同意も必要ありません。例えば、離婚の意思がなくなった場合や、調停を続ける意味がないと思われた場合に取り下げられるケースが多いです。
ただし、取り下げの場合、その後に裁判を起こせない場合があることに注意です。
離婚は、調停前置主義がとられており、裁判をする前にまずは調停で話し合わなければならないこととなっています。調停前置主義は、実質的に調停による話し合いを経ているか否かを問題とします。そのため、調停の申立てをした後、第1回期日前に取下げがされたのであれば、調停を経たことにはなりませんが、調停期日においてきちんと話し合いがされた後に取下げがされたのであれば、調停を経たことになります。

当然終了

調停を続ける必要性がなくなった場合、調停は自動的に終了します。代表的なのは、当事者の一方が死亡するなどして、婚姻関係が解消された場合です。
このような事情が発生した場合、速やかに裁判所に報告しましょう。

離婚調停が不成立と判断されるケース

離婚調停が不成立となるのは、基本的に当事者に合意する見込みがない場合です。この場合、話し合いを続けても無意味だと判断され、調停は打ち切られることになります。
では、具体的にどのような時に不成立となるのか、以下でみていきましょう。

離婚調停を相手が欠席

そもそも相手が離婚調停に応じない場合、話し合うことすらできません。そのため、裁判所に「調停の継続は困難」と判断され、早々に不成立となることがあります。
もっとも、1度欠席したからといって直ちに不成立になるケースは少ないです。まずは裁判所から相手に連絡をしたり、再度呼出状を送ったりして、出席を求めることになるでしょう。
2回以上無断欠席した場合、話し合う意思がないと判断され、調停不成立になる可能性が高くなります。

なお、相手が欠席した場合、裁判所は相手の言い分を一切聞くことができません。そのため、こちらの主張が優遇され、有利な結果となる可能性もあります。

相手が離婚を拒否

相手が頑なに離婚を拒否している場合、調停を続ける意味がないとして不成立になることがあります。
というのも、離婚調停は「調停委員を挟んだ話し合いの場」にすぎないため、両者が合意しない限りは成立せず、調停委員も進行することが難しくなってしまいます。
この場合、調停委員に相手が離婚を拒否する理由を聞いてもらい、それに応じた策を講じるのが良いでしょう。例えば、相手が「やり直したい」と考えている場合、離婚の意思が固いことを強く主張します。一方、「離婚条件に納得がいかない」と考えている場合、どこまで譲歩するか伝えてみるのも良いでしょう。

親権で争っている

未成年の子供がいる場合、離婚後にどちらが親権を持つか必ず決める必要があります。他の離婚条件とは異なり、親権が決まっていない状況で離婚を成立させることはできません。
しかし、親権獲得は争いになりやすく、離婚自体は合意しているのに親権が決まらないということも少なくありません。
この場合、離婚だけは調停で成立させ、親権のみ審判に移行して裁判所に判断を委ねるという方法もありますが、極めて稀です。なぜなら、審判は不服申立てが認められており、効力が乏しいためです。
そのため、実務上は調停不成立となり、裁判で争っていくのが通例です。

財産分与の対象や額に納得できない

離婚自体は合意できても、財産分与で折り合いがつかないと調停不成立となります。その場合、新たに審判や裁判で争うことになり、離婚の成立がどんどん遅くなってしまうでしょう。
ただし、財産分与は親権と異なり、離婚時に必ず取り決めなければならない事項ではありません。よって、離婚については調停で成立させ、離婚後に財産分与を決めることも可能です。
この場合、離婚後に当事者で話し合うか、離婚から2年以内に裁判所へ財産分与請求調停を申し立てる必要があります。

離婚調停が不成立と判断された場合のその後

では、離婚調停が不成立となった場合、どのような対応をすべきでしょうか。できるだけ早く離婚を成立させるためにも、適切な流れをしっかり把握しておくことが重要です。以下で確認しましょう。

当事者間で再び協議する

裁判所の手続きは利用せず、再び夫婦で協議することも可能です。調停不成立となっても、当事者の合意があればいつでも離婚することができます。
しかし、調停委員を挟んでも解決しなかったのに、夫婦だけで合意を目指すのは難しいことも多いです。その場合、以下のような対応を検討しましょう。

再調停はできるのか

調停不成立後、再び離婚調停を申し立てることも可能です。離婚調停に期間や回数の制限はなく、いつでも何度でも行うことができるためです。
ただし、状況や相手の考えが変わらないと同じ結果となると思われます。その期間はケースバイケースですが、半年~1年ほど 空けるのが一 般的でしょう。

審判離婚

離婚調停は不成立でも、裁判所が「離婚は相当である」と判断した場合、裁判所の職権で離婚を認めることがあります。これを「審判離婚」といいます。
例えば、双方に離婚の意思はあるものの、細かい条件だけ揉めている場合、子供のために親権の決定を急ぐ場合などで行われることがあります。
ただし、審判は異議申立て(即時抗告)が認められており、効力が乏しいことから、実務上は離婚裁判で争うことになるのが通例です。

離婚裁判

離婚調停が不成立の場合、離婚裁判を申し立てることができます。離婚裁判では、夫婦の様々な事情を考慮し、裁判所が離婚の成否や離婚条件について判断を下します。 ただし、自身が離婚原因(浮気やDV)を作った有責配偶者である場合、例外的な場合を除き、離婚の請求は棄却されてしまうのが通常です。 また、離婚裁判の途中に和解を促され、判決ではなく和解で終了するケースもあります。

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離婚調停不成立にならないためにできることとは?

離婚調停が不成立になると、その後の対応にも余計な手間や時間がかかります。離婚の成立がどんどん遅くなり、精神的にも大きな負担となるでしょう。
そこで、離婚調停を無事に成立させるためのポイントをご紹介します。

希望の条件に優先順位をつけておく

離婚調停をスムーズに進めるには、離婚条件である程度譲歩することも必要です。
「これだけは譲れない」「ここまでなら金額を下げても良い」などと希望を明確にし、離婚条件の優先順位をつけておきましょう。
ただし、安易に譲歩するのも望ましくありません。調停委員に「説得すれば譲歩する人だ」と思われ、他の条件でも譲歩を促されるおそれがあるためです。そこで、離婚条件の相場を事前に把握し、譲歩すべきかどうかすぐに判断できるようにしておくことをおすすめします。

感情的にならない

離婚調停では、感情的にならず事実を冷静に伝えることが重要です。
離婚の可否は離婚原因の内容や程度によって決まるものであり、相手の愚痴や悪口を言っても無意味だからです。また、相手を一方的に責める発言は調停委員に悪い印象を与え、こちらに不利な影響をもたらす可能性もあります。
相手がどんな悪いことをしたのか、その行為はどれほど続いているのかなど具体的な事実を交え、説得力のある説明を心掛けましょう。

弁護士に頼る

弁護士は、調停委員を味方につけるコツや離婚条件の相場に詳しい「調停のプロ」といえます。そのため、弁護士に相談することで、離婚調停をスムーズに進めたり、こちらに有利な内容で解決したりできる可能性が高くなります。
また、早めに弁護士に依頼すれば、調停の申立て手続きや資料の収集方法についてもサポートを受けられるため、安心です。

よくある質問

離婚調停不成立後、別居する際に気を付けることはありますか?

離婚前の別居は、お互いの心境を整理するためにも良い方法です。一定期間空けてから再び話し合うことで、お互いが冷静になりスムーズに解決できる場合もあります。もしくは、ある程度別居期間を設けて再び離婚調停を行えば、調停委員に「夫婦関係は破綻している」と判断され、離婚が認められやすくなる可能性もあります。

ただし、別居する際は、できるだけ相手の同意を得るようにしましょう。無断で一方的に家を出ると、意図的に夫婦関係を壊した有責配偶者とみなされ、再調停や裁判で不利になる可能性があります。
また、親権で争っている場合、子供を連れて別居するのがポイントです。なぜなら、親権の判断においては、「離婚後も子供の生活環境をできるだけ維持すべき」という考えが優先されるためです。
つまり、親権を獲得したいのであれば、別居中も子供と暮らして監護実績を積む必要があるということです。

離婚調停が不成立で終わった場合でも養育費や婚姻費用は受け取ることはできますか?

相手よりも収入が少ない場合、養育費や婚姻費用を請求することができます。婚姻関係がある以上、たとえ別居中でも、夫婦はお互いの生活費を分担する義務があるためです。ただし、離婚前の養育費は婚姻費用に含まれるため、2つを別々に請求することはできません。

婚姻費用を請求するメリットは、生活費を確保しつつ別居できることです。一定期間別居を続けることで、再調停や裁判を行うときに離婚が認められやすくなります。
また、相手が離婚に応じやすくなるというメリットもあります。婚姻費用を長く支払うことは、相手にとって経済的負担が大きいため、再調停や裁判を起こさずとも離婚に応じる可能性があります。

調停不成立から裁判を起こすまでに決められた期間はありますか?

裁判を起こす期限に法的な決まりはなく、各裁判所の判断に委ねられています。一般的には、調停不成立から1年以内であれば問題なく受理されるケースが多いです。1年半を超えると判断にバラつきが出始め、2年を超えると再び調停をするよう求められるケースが多くなります(この場合、裁判を申し立てても、裁判所の職権で調停に付されることがあります)。

一定期間が経過すると、夫婦の状況や心情が変化している可能性もあります。その間に別居が解消されていたり、離婚の意思が弱まったりしていることもあるでしょう。
そこで裁判所は、夫婦の現在の事情をもとに、話し合いでの解決を目指すべく、再び調停をすべきだと考える傾向にあります。

離婚調停が不成立になった場合、別の裁判所で再度離婚調停や離婚裁判などを行うことはできますか?

可能です。離婚調停の申立て先は、相手の住所地を管轄する家庭裁判所または夫婦の合意で決めた家庭裁判所となります。そのため、調停不成立後に別居のため相手が引っ越したなどの事情がある場合には、当初と管轄が異なる裁判所に申し立てる必要があります。
また、離婚裁判は、夫妻どちらかの住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます。そのため、相手に居住地を知られても良い場合、ご自身に近い裁判所へ申し立てることが可能です(ただし、離婚調停を行った裁判所と異なる場合、調停と同じ裁判所での取扱いとなる可能性があります)。

なお、離婚裁判を申し立てる場合、事前に調停を行った証拠として「不成立証明書」の提出を求められることがあります。
また、“離婚調停不成立となってから2週間以内”という期限付きにはなりますが、この間に裁判を起こした場合、調停申立てにかかった手数料を裁判申立ての手数料に流用することができます。調停とは別の裁判所に裁判を申し立て、手数料を流用する場合、「不成立証明書」の提出が必要になります。

離婚調停の不成立を回避したい場合、経験豊富な弁護士への依頼がおすすめです

離婚調停を無事に成立させるには、事前準備をしっかり行い、説得力のある主張を揃える必要があります。また、当日は冷静に対応し、調停委員を味方につけられるかがカギとなります。
しかし、調停という慣れない場に緊張し、思うように意見を伝えられないこともあります。また、怒りや相手への不満が先走り、つい感情的になってしまうこともあるでしょう。さらに、相手の責任を客観的に裏付ける証拠を揃えるのは難しく、おひとりで進めるには限界があります。
そこで、離婚調停を検討されている方は早めに弁護士にご相談ください。弁護士は離婚問題のプロですので、離婚調停をスムーズにかつ有利に進めるノウハウや、有効な資料の集め方などを熟知しています。また、実際の調停に同席し、主張のサポートをすることも可能です。
弁護士法人ALGは、これまで数多くの離婚問題を扱ってきた弁護士が多数在籍しています。離婚調停でお悩みの方は、まずはお気軽にご相談ください。

ご親族の方が亡くなられて、相続財産のなかに不動産がある場合、相続人の方は、相続登記をすることが必要となります。相続登記をせず、放置している場合には、不動産の帰趨に問題がなくとも、不利益等が生じてくることもあります。被相続人の財産を確認できない場合でも、知らずのうちに土地を相続していることもあり、思わぬ不利益を被ることがあります。以下では、相続登記に関して、注意が必要な点や相続登記をめぐる問題点などについて、手続きを含めてご説明いたします。

相続登記とは

相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった際に、新たに相続や遺言書による遺贈により、その不動産の所有者になった相続人や受遺者(遺言書によって不動産を取得する方のこと)へ、登記上の所有者の名義を変更する手続きのことです。
相続登記には、期限はありませんし、相続登記をしなかった場合でも、罰則等があるわけではありません。しかし、法改正により、相続登記が義務化されました。義務化に伴う注意点についても、ご説明いたします。

相続登記の手続き方法

相続登記の手続きの際には、必要書類が多岐にわたります。また、所有者が被相続人かによって、

不動産の所有者を確認する

問題となっている不動産が、被相続人が所有しているのでなければ、相続の対象となりません。ただし、被相続人のご両親が所有者となっていて、ご両親がなくなっている場合には、ご両親の相続と被相続人の相続を経て不動産を相続することになります。そのため、不動産の所有者が被相続人であることを確認しておく必要があります。これは、法務局で、登記事項証明書を取得することで確認できます。登記事項証明書の取得には、地番・家屋番号が必要となります。この地番・家屋番号については、納税通知書によって確認することができます。
また、名寄帳により、他に不動産がないか確認することができます。名寄帳は、課税対象となっている固定資産(土地・家屋)を所有者事に一覧表にまとめたものです。名寄帳の取得には、本人確認が必要となりますので、運転免許証や被相続人との関係がわかる戸籍謄本が必要となることもあります。

必要な書類を集める

相続登記には、被相続人との関係がわかる書類などが必要になります。遺言書等の有無によって必要書類が異なってきますので、以下、それぞれの場合において、ご説明いたします。

遺言書がない場合

  • 被相続人の戸籍謄本、除籍謄本、改正原戸籍など被相続人の出生から死亡までが記載された戸籍
  • 被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票
    ※登記簿上の住所の記載及び本籍の記載のある住民票が必要です。被相続人の最後の氏名及び住所が登記記録上の氏名及び住所と異なる場合や被相続人の本籍が登記記録上の住所と異なる場合には、被相続人が登記記録上の登記名義人であることがわかる被相続人の本籍の記載のある住民票の除票又は戸籍の附票の写しが必要となります。
  • 相続人全員の戸籍謄本
    ※法定相続情報証明制度をご利用いただいている場合には、被相続人の出生から死亡までの経緯の記載がわかる戸籍全部事項証明書(戸籍謄本)又は除籍全部事項証明書(除籍謄本)並びに相続人であることがわかる相続人の戸籍全部事項証明書(戸籍謄抄本)の添付にかえることができます。
  • 新たに名義人となる方の住民票
  • 名義変更する年度の固定資産評価証明書
  • 相続関係説明図(戸籍謄本などの原本を返却のために必要になります。)
  • 遺産分割協議書(法定相続分以外の割合で名義変更をする場合)
    遺産分割協議書の提出が必要となる場合には、相続人全員分の印鑑登録証明書が必要となります。
    ※必要書類がそろわない場合には、不在籍証明書、不在住証明書、登記済権利証といった書類が必要となることがあります。

遺言書がある場合

遺言書がある場合、遺言書、被相続人が死亡した事実がわかる被相続人の戸籍全部事項証明書が必要となります。ただし、遺言書により、対象となる不動産を譲り受けることが明らかですので、被相続人の出生から
なお、遺言書には、自筆証書遺言と公正証書遺言があります。自筆証書遺言の場合には、裁判所で検認が必要になります。公正証書遺言の場合には、検認が不要です。

相続関係説明図、登記申請書を作成する

相続関係説明図は、相続登記の際に必要な書類を返却してもらうために必要となります。
上記のように、相続登記の際には、戸籍謄本の原本が必要となります。戸籍等の必要書類の収集自体については、難しくはありませんので、一見して、原本の返却が必要ではないとも考えられるかもしれません。しかし、相続の際には、他の不動産の登記、預貯金等の際などにも、戸籍謄本等の書類が必要となります。また、遠隔地の場合には、必要書類をその都度郵送手続き等により取得することも必要となります。
戸籍等の返却を受けるためには、コピーを一緒に提出することで、後程原本の返却を受けることもできますが、逐一、コピーを取っておく必要があります。この手間が、手間とならない方であれば、あまり気にされる必要はありませんが、相続人の方が多く、結婚や再婚を繰り返しているような方がいらっしゃる場合には、戸籍謄本が複数必要となることがあります。このような場合には、コピーの手間が増えることになりますし、漏れがあると、返却の確認にも手間がかかることがあります。
相続関係説明図を提出することにより、何通も戸籍謄本等の書類を取得しておく必要がなくなるという簡便さがあります。
相続人関係図は、被相続人と相続人との関係性を示す図です。そのため、相続人関係図の作成自体も簡潔に済ませられます。

必要書類を整えたうえで、登記申請書を記載します。
登記申請書には、「原因」、「相続人」、「連絡先の電話番号」、「申請日」、「課税価格」、「登録免許税」、「不動産の表示」などを記載する必要がります。
「不動産の表示」には、登記の申請をする不動産の土地の所在、地番、地目、地積(建物の場合には、建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積)等の記載を、登記簿謄本に記載されたとおりに、正確に記載する必要があります。なお、不動産番号を記載した場合には、土地の所在、地番、地目及び地積(建物の所在、家屋番号、種類、構造及び床面積)の記載を省略することができます。不動産番号も、登記簿謄本によって確認することができます。
申請書は、A4の用紙を使用するなど、形式が指定されています。申請書が複数枚にわたる場合には、各用紙のつづり目に必ず契印を押しておく必要があります。

法務局へ申請する

相続申請書や必要書類を整えられましたら、法務局に申請することができます。 郵送申請を行うことも可能です。その際には、申請書を入れた封筒の表面に「不動産登記申請書在中」と記載をする必要があります。 また、戸籍謄本等の原本の返却や登記完了証の郵送を希望される場合、郵送で返却をしてもらうこともできます。この場合、宛名を記載した返信用封筒及び書留郵便のための郵券を同封しておく必要があります。
必要書類を提出された際に、記載漏れた必要書類の不測などの不備がありましたら、追完などのために、申請した方に連絡(登記申請書記載の電話番号)があります。追完等が出来ない場合には、相続登記ができませんので、注意が必要です。

登記識別情報を受け取る

相続登記が完了すると、登記識別情報が受け取れます。登記識別情報は、申請した方にのみ、発行されます。
登記識別情報は、土地の権利証の代わりとなる書類です。土地の売却にも必要な書類ですので、厳重に管理していただく必要があります。
登記識別情報の通知を希望しない場合には、登記申請書にチェックをする欄があります。ただし、登記識別情報の通知を希望しない場合、後から発行の申請をすることも認められませんので、注意が必要です。

相続登記を行った場合に掛かる税金は?

相続の際に、相続税がかかりますが、相続登記を行うと、登録免許税がかかります。
登録免許税は、不動産の価額に対して、0・4パーセントです。
ただし、一定の場合には、登録免許税の免税措置を受けることができます。一定の場合とは、相続により土地を取得した個人が登記をしないで死亡した場合と少額の土地を相続した場合です。
相続により土地を取得した個人が登記をしないで死亡した場合とは、Aさん名義の土地があり、Aさんが亡くなって、Bさんが相続しても、BさんがAさん名義の土地の相続登記をしない場合に、Bさんが亡くなった場合、Bさんの相続人のCさんが、AさんからBさんに相続したことを登記する場合です。
少額の土地を相続した場合とは、行政目的のため相続登記の促進を図る必要があると法務大臣が指定する土地で、固定資産税の課税台帳の価格が10万円以下である場合です。法務大臣の指定がある土地か否かなどの詳細については、お近くの法務局にお問い合わせください。
免税については、適用期間として、令和4年3月31日までと期限がありますので、ご注意ください。

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相続登記の期限

これまで、相続登記に期限がありませんでした。しかし、令和3年4月の法改正により、不動産の相続登記が義務化されることとなりました。これは、令和6年4月1日から制度として始まります。
新しい制度では、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請をしない場合に、10万円以下の過料が科せられることとなります。ただし、正当な理由がない場合に限られていますので、例えば、関係者多数などの事情により、必要な資料の収集が難しい場合には、罰則の対象となりません。

相続登記で問題になりやすいケース

相続登記手続きを放置した場合

長期間放置するほど、登記が難しくなる

相続登記には、遺言書がある場合を除いて、他の相続人の皆さんの協力が必要となります。
相続登記を放置すると、相続人のなかで亡くなった方が出てくると、亡くなった方の相続人の協力を得なければ、相続登記ができなくなります。そのため、代をまたいで長期間相続登記を放置するとなると、登記に協力してもらわなければならない人が増えますので、協力を必要とする方がどこにいるのかなどから確認する必要があり、煩雑になります。

相続登記せず住み続けた場合

被相続人の配偶者の方は、一定の要件を満たすことにより、居住をすることができます。
配偶者以外の方が居住を継続する場合、他の相続人から、地代相当額の請求を受けることがありますので、注意が必要です。

相続登記を放置しているとできなくなることがある

不動産にある抵当権の抹消登記をすることは、お一人でもできます。
自身で相続財産のうちの不動産を譲りうけたにもかかわらず、相続登記を放置していると、自身で不動産を売ることができず、他の相続人の協力がなければ売却をできません。また、相続された不動産を担保として融資を受けることもできません。不動産を第三者に貸したりする際にも、他の相続人の同意がなければできないなどの制約を受けます。

共有名義で相続登記した場合

後から共有関係を解消する場合に、費用が高額になる

共有名義での相続登記をすることもできます。その後、共有関係を解消するには、共有物分割の手続きが必要になります。共有関係の解消の仕方には、一定の金銭を支払って共有関係を解消するなどの手続きが必要となりますし、共有関係解消の登記のために、登録免許税もかかることがあります。これにより、高額な費用がかかってくることがあります。

売却等、処分をするときに手間がかかる

共有名義となると、共有名義となっている方々の全員の協力がなければ、上記のように売却手続きをすることができません。売却のためには、共有者の方に協力をしてもらうなどの手続きが必要となります。買取希望をされる第三者の方も、共有持ち分のみを買い取ろうとすることは少ないので、他の共有者が、売却に難色を示した場合には、説得などの手間がかかることになります。
このように、共有名義での相続登記をした場合には、手間がかかることになりますので、遺産分割などで、相続人のうちの一人が名義人となるように進めておくことが良いです。

相続登記のお悩みは弁護士にご相談ください

これまで、ご説明しましたように、相続登記を放置した場合には、煩雑となることがありますし、思わぬトラブルに巻き込まれることもあります。
相続登記の際に、相続人となっている方を確認するなどの煩雑な手続きも必要になりますが、このような手続きを弁護士としてお手伝いできることもありますので、お困りの際には、遠慮なく、ご相談ください。

遺留分侵害額請求とは、相続財産のうち、被相続人による自由な処分に対して制限が加えられ、一定の範囲の相続人に法律上認められている最低限の取得が留保されている部分(遺留分)に相当する金額の請求をすることをいいます。

遺留分侵害額請求の方法

遺留分侵害額請求権は、遺留分を侵害されている本人が、相続の開始(被相続人の死亡)と遺留分があることを知ってから1年以内又は相続が開始してから10年以内に、受遺者や受贈者に対して請求します。請求の流れとしては、次のとおりになります。

①相手方に遺留分侵害額請求の意思表示を行う
②相手方と話し合う(協議)
③合意できたら和解書合意書を作成し、遺留分を受け取る。
④協議で合意できなかったら調停を行う。
⑤調停でも合意できなかったら訴訟を行う。

相手方に遺留分侵害額請求の意思表示を行う

遺留分侵害額請求権を行使するには、まず、相手方になる受遺者又は受贈者に対して、遺留分侵害額請求をするという意思表示をすれば足ります。

内容証明郵便について

遺留分侵害額請求権の行使に当たっての意思表示をしても、言った言わないの水掛け論になる可能性があり、また、時効が1年と短いため、意思表示をしたことが証明できないとそもそも遺留分侵害額請求権を行使できないということになりかねません。これについては、意思表示を内容証明郵便で行うことで回避できます。内容証明郵便は、いつどのような内容を誰に送ったのかが証明できるため、積極的に利用していくべきでしょう。

相手方と話し合う(協議)

遺留分侵害額請求権を行使する旨の意思表示をしたら、次は、相手方と話し合います。話し合いの内容としては、遺留分としていくらをお支払いいただくのかについて、相続財産の内容を整理したうえで計算し、その内容について話し合います。

合意できたら和解書合意書を作成し、遺留分を受け取る。

相続財産の額や遺留分の額について合意ができ、支払方法についても合意ができた場合には、合意書を作成し、合意の内容を残します。そして、合意の内容に基づいて、遺留分の支払いを受けます。

合意できなかったら調停を行う。

合意ができないまま放っておくと、いつまで経っても遺留分は支払われません。遺留分を受け取るためには、遺留分侵害額請求調停をする必要があります。調停では、調停委員を挟んで話し合うことになります。調停で合意できた場合には、その内容が調停調書に記載されます。そして、調停調書記載のとおりの方法で支払われることになります。

調停でも合意できなかったら訴訟を行う。

交渉で合意が出来ず、調停でも合意ができなかった場合には、裁判所の判断を求める「訴訟」という最後の手段に出ることになります。
合意なんて、そもそも形成できる相手ではないから、最初から訴訟をしたいという方もいるかもしれません。しかしながら、遺留分侵害額請求の判断については、調停前置主義が採用されているため、調停を挟まないと、訴訟で判断を得ることはできません。

特別受益・生前贈与がある場合の遺留分侵害額請求の注意点

遺留分侵害額請求は、被相続人の死亡により残された相続人の生活を守ることを目的にしています。そうすると、この目的が達成されていると判断される場合には、遺留分侵害額請求自体が認められない可能性があるため、注意が必要です。
例えば、特別受益や生前贈与がある場合です。
特別受益とは、被相続人から共同相続人に対して、婚姻や養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与された財産、及び遺贈された財産のことをいいます。
生前贈与とは、被相続人が亡くなる前、主に相続対策で行われる特定の者への贈与をいいます。
特別受益や生前贈与で財産を得ていた場合、遺産を事前に受け取っていたと判断され、遺留分がなくても相続人の生活を守ることができるということになります。そのため、特別受益や生前贈与を受け取っていると、遺留分が減額され、最悪の場合0円ということにもなってしまうかもしれません。

複数の人に対して遺贈や生前贈与を行っている場合

被相続人が、複数の人に対して遺贈や生前贈与を行っている場合、遺贈を受けた者→生前贈与を受けた者の順で遺留分減殺請求を行います。これは、遺贈が相続財産から支出されるのに対して、生前贈与は相続財産になる前に支出されているので、直接相続財産から支出される遺贈の方が侵害の程度が大きいと考えられているからです。
遺贈を受けた者又は生前贈与を受けた者が複数いるときは、遺贈の額、生前贈与の額に応じた割合で遺留分を按分して負担することになります。

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税金がかかるケース

遺留分侵害額請求により金銭を得ることになった相続人には、相続税がかかります。仮に、すでに相続税の申告を遺留分侵害額請求の前にしていた場合、修正申告することになります。
逆に、金銭を失った側の相続人は、相続税の負担が軽くなります。すでに申告済みであるときは、更正の請求をすべきです。
また、遺留分侵害額請求を受けて、お金に代えて資産の移転を行った場合は、行った側は譲渡所得税を負担することになり、受けた側は取得費として税務上計算されることになります。

請求には時効がある

遺留分侵害額請求には、相続が始まったこと及び遺留分を侵害する贈与又は遺贈があったことを知ったときから1年間遺留分侵害額請求を行使しないときは、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。また、相続が開始したことを知らなくても、相続開始から10年経過したときも、遺留分侵害額請求をすることができなくなります。
しかしながら、この時効は、遺留分侵害額請求の意思表示をするまでの期間です。遺留分侵害額請求の結果遺留分を受け取るまでに1年で済ませなければならないわけではありません。そのため、意思表示をしたという証拠を残すために、速やかに内容証明郵便で意思表示をすべきです。

遺留分侵害額請求のお悩みは弁護士にご相談ください

これまで述べてきたように、遺留分侵害額請求は、1年という短い期間の中で遺留分があるかどうか判断し、適切な意思表示をしなければなりません。
この判断を誤ると、遺留分がないにもかかわらず意思表示をし、かえって相続人間の争いを激化させる危険もあります。
そのため、遺留分侵害額請求については、資料をそろえたうえで弁護士などの専門家に相談し、遺留分の有無を判断してもらうのが適切といえます。なお、弁護士に相談した場合には、遺留分があった場合の交渉、調停、訴訟も任せることができます。
ぜひ、遺留分については弁護士にご相談ください。

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善
監修:弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:45721)
愛知県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。