
監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士
離婚慰謝料は、通常、離婚協議中に請求されることが多いですが、なかには離婚後に突然、元配偶者から離婚慰謝料を請求されることもあります。
もっとも、必ずしも相手方の請求どおりに支払わなければいけないものではなく、離婚慰謝料の支払いを拒否できる場合や減額できる場合もあります。
以下では、離婚慰謝料を請求された場合の対応や、離婚慰謝料が支払えない場合の対処法、慰謝料の支払いを拒否できるケース、減額できるケースなどについて解説します。
離婚慰謝料を請求された!減額はできる?
離婚慰謝料は、相手方の有責行為によりやむなく離婚するに至った精神的苦痛に対する賠償を求めるものです。離婚慰謝料が請求できるのは、配偶者に不貞行為やDV・モラハラなどの不法行為があった場合です。
もっとも、これらの行為があったことを理由に離婚慰謝料を請求されたとしても、慰謝料を減額できる場合があります。
離婚慰謝料を減額できるケース
前述のとおり、相手方から離婚慰謝料を請求されても、相手方の請求金額から減額できる場合があります。具体的には、相手方も不貞をしていた等、相手方にも落ち度がある場合、自分の収入と比較して相手方の請求額が多い場合などがあげられます。
以下では、離婚慰謝料を減額できる可能性がある事由として代表的なものを解説します。
相手にも過失がある
離婚慰謝料を請求してきた相手方にも落ち度がある場合には、離婚慰謝料を減額できる可能性があります。
たとえば、不貞行為があったことを理由に慰謝料を請求されている場合であっても、婚姻期間中、相手方からDVやモラハラを受けていたといった事情があれば、相手方にも落ち度があるといえます。
このような場合には、お互いに過失がありますので、それぞれの過失が相殺され、慰謝料を減額できることがあります。
なお、こちら側の過失と相手方の過失の大きさが同程度であれば、各々の過失が相殺された結果、慰謝料を支払わなくてすむ場合もあります。
相場以上の慰謝料を請求された
離婚慰謝料にはそれぞれ相場があります。
たとえば、不貞行為が原因で離婚に至った場合は200万円~300万円、DV・モラハラが原因の場合は100万円~300万円、悪意の遺棄が原因の場合には100万円~300万円となっています。
これらの相場よりも高額な慰謝料を請求されている場合には、減額できる可能性があるといえます。
自分の資産・収入が少ない
裁判所が離婚慰謝料の金額を決定する際には、当事者各々の資産や収入も考慮することがあります。したがって、離婚慰謝料を請求されている側の資産・収入が少なければ、離婚慰謝料が減額される可能性があります。
もっとも、前述のとおり、離婚慰謝料は相手が被った精神的苦痛に対する賠償の性質であるため、資産・収入がないからといって慰謝料を支払わなくてもよくなるということではありません。
自分のした行為の有責性が低い
自分のした行為の有責性が低い場合には、離婚慰謝料を減額できる可能性が高まります。
有責性が低いと判断される可能性がある場合としては、不貞の期間が短い、肉体関係を持った回数が数回程度と少ない等があげられます。もっとも、どのような場合に有責性が低いと判断されるかは事案によって異なることに注意が必要です。
慰謝料の支払いを拒否できるケースもある
相手方から離婚慰謝料を請求されたとしても、必ず支払わなければならないとは限りません。
たとえば、相手方の主張が虚偽であったり、証拠に基づかないものである場合、時効が完成している場合、離婚慰謝料の原因となった事由が発生したときには既に婚姻関係が破綻していた場合には、離婚慰謝料の支払いを拒否できます。
相手が主張する内容が虚偽である・証拠がない場合
離婚慰謝料の支払いを請求する相手方が主張する内容が虚偽である場合には、離婚慰謝料を支払う原因がないことになるため、慰謝料を支払う必要はありません。
また、離婚慰謝料は「相手方の有責行為によりやむなく離婚に至った場合」にその精神的苦痛の賠償として請求するものですが、「相手方に有責行為があったこと」については慰謝料請求をする側が立証する必要があります。
そのため、有責行為があったことについての証拠がない場合には、実際に一方の有責行為があったかどうかの認定ができないため、離婚慰謝料の支払いを拒否することができる可能性があります。
時効がすでに成立している場合
離婚慰謝料の時効は、「離婚が成立した日の翌日」から3年間です。
そのため、相手方から離婚慰謝料を請求されたのが、離婚した日の翌日から3年経っていた場合には、相手方の請求する債権(=離婚慰謝料請求権)は時効にかかり消滅しているため、離婚慰謝料の支払いを拒否することができます。
なお、時効により債権が消滅したことを主張するためには、時効が完成する期間が経過したことだけでなく、その時効を援用する旨の意思表示が必要です。
そのため、時効が完成していることを理由に離婚慰謝料の支払いを拒否するためには、「時効が完成していること」に加え、「その時効を援用する旨の意思表示」をする必要があることに注意してください。
婚姻関係が破綻していた場合
冒頭で述べましたとおり、離婚慰謝料は「相手方の有責行為によりやむなく離婚に至った場合」にその精神的苦痛に対して賠償する性質のものです。
そのため、こちらに有責行為があったとしても、その行為の前にすでに相手方との婚姻関係が破綻していた場合には、当該有責行為によって離婚に至ったとはいえません。
そのため、このような場合には、離婚慰謝料を請求できる場合にあたらないといえ、離婚慰謝料の支払いを拒否することができる可能性があります。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
離婚慰謝料を請求された場合の対応
突然離婚慰謝料を請求された場合、どうしたらいいか分からず、困ってしまうかもしれません。また、弁護士からの書面の場合、支払わないと大変なことになる気がして、つい支払いに応じてしまうことも考えられます。
このように、ご自身の行動によっては、その後不利な状態になりかねませんので、適切な対応をする必要があります。
離婚慰謝料を請求された場合の対応としては、主に以下のものが考えられます。
慰謝料請求を無視しない
まず、離婚慰謝料を請求された場合、相手方の請求を無視することはおすすめしません。
慰謝料請求を無視しても、相手方が請求を諦めることはないことがほとんどですし、むしろ、相手方は無視されたことでさらに怒りを強め、裁判所に訴えを提起する可能性もあります。
裁判になれば、時間も手間もかかりますし、裁判所の呼び出しも無視して出廷しなければ、基本的には、訴えられた側が敗訴してしまいます。そうなると、相手方の請求する額全額を慰謝料として支払う義務が発生してしまいます。
慰謝料の減額交渉をする
請求された慰謝料が高額すぎて支払えそうにないときは、合意してしまう前に相手方に慰謝料の減額の交渉をすることが必要です。
ご自身が相手方に対して、高額な慰謝料を支払う旨を合意した後に、やっぱり高すぎて支払えないから減額してもらいたいと思っても、合意後にその内容を変更することはかなり難しくなってしまいます。
「自分が悪いから…」と相手方が請求してきたままに高額な慰謝料を支払う必要はありません。慰謝料について合意する前に、慰謝料額として適正な金額なのかを確認しましょう。
相手の気持ちを考えた対応をする
離婚慰謝料を請求してきた相手は、深く傷付き、場合によっては怒りを感じている場合が多いでしょう。
このような相手に対して、適当に対応したり、その気持ちを逆なでするような対応をすると、相手の怒りが増して、話し合いがこじれるばかりか、さらに離婚慰謝料を増額して請求されてしまう可能性もあります。
自分に非がある場合は、まずはそれを認め、しっかり謝罪して、真摯に対応することをお勧めします。そうすることで相手も少し落ち着いて、慰謝料の減額の話をする余地が出てくるかもしれません。
交渉を弁護士に任せる
交渉を弁護士に任せれば、弁護士が相手とやり取りをすることになります。そのため、自分が直接相手とやり取りをする必要がありません。
また、感情的になることもなく、婚姻期間や離婚に至った経緯など、個別の事情を考慮して、法的な観点から適正な慰謝料を提示することができます。
加えて、弁護士は多くの交渉事件を扱っているため、交渉の進め方に精通しており、早期解決が望めます。
離婚慰謝料が支払えない場合の対処法
離婚慰謝料が高額になる場合、一括で支払えないこともあるでしょう。その場合、分割での支払いを提案する方法も考えられます。
もっとも、相手方は、慰謝料の分割払いを認めたら、途中で支払われなくなるのではないかという不安から、なかなか分割払いの提案を受け入れてくれないことも考えられます。
そのため、「分割払いを1回でも遅滞したら、残額を一括で支払う」など、相手方の不安を少しでも解消できるような条件を併せて提示しましょう。
離婚慰謝料を減額した事例
依頼者は、離婚とともに、依頼者の不貞行為が婚姻関係破綻の原因であるとして、相手方から慰謝料300万円を請求されていました。
また、弁護士介入前に、依頼者は自身の不貞の事実を相手方に自白しており、依頼者の不貞の証拠として、その内容の録音データが残っていました。
しかし、婚姻期間中、相手方は依頼者に無断で投資のために相手方の年収に比して高額の借金をし、多額の夫婦共有財産を費消したことで、住宅ローンの返済が困難になったという事情があったことで、裁判において当方はこの点を主張し、婚姻関係破綻の原因は当事者双方にあるという主張をしました。
その結果、慰謝料は100万円相当であるとして訴訟上の和解が成立しました。
離婚慰謝料を請求されてお困りなら弁護士に相談してみましょう
離婚慰謝料を請求された理由や経緯等、事情によっては、離婚慰謝料を減額または支払わなくてよいこともあります。
弁護士にご依頼されれば、弁護士が代わりに相手とやり取りすることになりますので、お互いに感情的になって、その対応に心をすり減らすということも避けられます。また、感情的にならず、法的な観点をふまえて相手と交渉することで、妥当な解決が望めます。
離婚慰謝料を請求されて、どうしたらよいか分からないとお困りの場合は、お一人で抱え込まず、弁護士にご相談ください。
過失割合とは、当事者双方の過失の程度を割合で示したもので、損害賠償の金額にも大きく影響します。
本記事では、過失割合が9対0となる仕組み、メリットやデメリット等について解説します。
交通事故の過失割合9対0ってどういうこと?
過失割合は、8対2、9対1のように、合わせて10となるのが原則です。
もっとも、相手方との交渉においては、8対0、9対0のような合意をすることがあります。
9対0(片側賠償)になる仕組み
過失割合が9対1の場合、被害者は損害額の9割部分の賠償を相手方に求め、相手方は損害額の1割部分の賠償を被害者に求めることになります。
過失割合が9対0の場合は、被害者は損害額の9割部分の賠償を相手方に求めますが、相手方は生じた損害の賠償を被害者に求めないことになります。このように10対0の過失割合でない場合に、一方当事者が相手方への賠償を求めない解決を片側賠償といいます。
以下、計算例を示します。
交通事故の過失割合9対0の計算例
⑴相手方が被害者に対し支払う金額
過失割合が9対1もしくは9対0の場合、被害者に生じた損害金が800万円であれば、相手方はその9割である720万円を、被害者に対し、支払うことになります。
⑵被害者が相手方に対し支払う金額
過失割合が9対1の場合、相手方に生じた損害額が500万円であれば、被害者はその1割である50万円を、相手方に対し、支払う必要があります。
一方、過失割合が9対0の場合は、被害者は、相手方に生じた損害額にかかわらず、一切支払う必要がありません。
相手方 | 被害者 | |
---|---|---|
過失割合 | 9 | 0 |
損害金 | 500万円 | 800万円 |
支払う金額 | 720万円 | 0円 |
過失割合9対0のメリット・デメリット
メリット
相手方に生じた損害を賠償する必要がない
過失割合が9対1となった場合、被害者は相手方に生じた損害のうち1割分について賠償する必要があります。
相手方車両が高級車である場合や、相手方車両の損傷が大きい場合等には、修理金額が高額になることがあり、たとえ1割分であったとしても、被害者にとって相当な負担となる場合があります。
一方で、過失割合が9対0になれば、相手方に生じた損害を被害者が賠償する必要はなくなります。
早期解決を図ることができる
過失割合について双方に争いがある場合、交渉で折り合いがつかなければ、最終的には訴訟に進まざるを得なくなります。
訴訟となった場合、解決までに1年以上かかることもあり、被害者にとって時間的・精神的な負担が大きくなる可能性があります。
過失割合を9対1とするか10対0とするかで争いがあるようなケースであれば、その折衷案として9対0で合意することにより、早期解決を図ることができます。
今後の保険料の等級が下がらない
過失割合が9対1となった場合、被害者は相手方に生じた損害のうち1割分について賠償する必要があります。その際、ご加入の対人賠償保険や対物賠償保険を利用することになれば、今後の保険料が上がる可能性があります。
一方で、過失割合が9対0となれば、相手方への賠償義務は生じず、保険を使う必要もありませんので、保険等級の低下や保険料の増加といった影響を避けることができます。
デメリット
過失割合が10対0であれば、被害者は発生した損害額の全額を賠償金として受け取ることができます。
しかし、過失割合が9対0となった場合には、被害者が受け取れるのは損害額の9割にとどまり、残りの1割については自己負担となってしまいます。
そのため、賠償金の一部を受け取れない点が、被害者側にとってのデメリットとなります。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故の過失割合を9対0に修正できた解決事例
粘り強い交渉によって8対2から9対0に修正することができた事例
被害者は交差点において優先道路を走行中、一時停止を無視して進入してきた相手車両に衝突されるという事故に遭われました。
当初、相手方保険会社は過失割合を20:80(被害者側20)と主張していましたが、その妥当性に疑問を感じた被害者がご相談に来られました。
こちらとしては、判例も踏まえつつ、事故状況から見ても相手方の過失が大きく、20:80という主張は不当であると主張しました。
交渉は難航しましたが、粘り強く対応を続けた結果、最終的に過失割合は0:90(被害者側0)へと修正されました。
過失割合5対5の駐車場内の事故を9対0へ修正することができた事例
本件事故は、スーパーマーケットの駐車場内で発生した事故です。前方にいた車両(相手方車両)が突然ハンドルをきって後退を始め、被害者がクラクションで警告したにもかかわらず、相手方がそのまま後退を続け、被害者車両の右フロント部分に衝突しました。
相手方は車両の損害調査を拒否し、相手方保険会社も過失割合の交渉を拒否したため、被害者ご本人による対応が困難と判断され、当事務所にご相談いただきました。
受任後は速やかにドライブレコーダーの映像を確認し、被害者が加入されている保険会社から資料を取り寄せました。そして、相手方保険会社に対して当方5%:相手方95%の過失割合を主張して交渉を開始しました。
交渉は長期化しましたが、途中、相手方より、「合意書を作成しないことを条件とすれば0:90で合意する」との申し出がありました。しかし、合意書を作成しないことは、後日相手方から請求を受けるリスクを残すことになるため、当方としてはこの条件を受け入れることはできませんでした。
そのため、相手方保険会社の担当者の上席と直接交渉を行い、最終的に過失割合0:90とする内容で、上席名義の書面を作成してもらうことに成功しました。
交通事故の過失割合を9対0にするためには弁護士にご相談ください
以上のように、過失割合を9対0で合意できるよう目指すべきケースが存在し、そのためには、相手方と粘り強く交渉する必要があります。
もっとも、裁判例を調査した上で示したり、相手方と何度もやり取りを行ったりと、なかなかご自身で行うのは難しいことがあり得ます。
そのような場合には、ぜひ一度ご相談ください。
相談者の方にとって最善の解決を共に考えさせていただきます。
被相続人は、遺言等によって、被相続人の有する財産の承継について自由に指定することができます。
しかしながら、このような自由には、一定の制限もあり、法の定める割合未満しか承継することのできない法定相続人は、法の定める一定の割合を満たすように金銭の取得を請求することができます。
このような制度を遺留分といいます。
今回はこのような遺留分の放棄についてご説明いたします。
「遺留分」は放棄できるのか?
遺留分は放棄することもできます。
被相続人による財産の承継に関する指定(遺言等)に対して、遺留分に関する権利を行使せず、被相続人による指定をそのまま認めることもできます。
このような相続開始後(被相続人の死亡後)の遺留分の放棄は、その相手方となるものに対して意思表示することで自由に行うことができます。
一方で、相続開始前(被相続人の生前)に遺留分放棄する場合には、家庭裁判所の許可が必要となります。
そもそも遺留分とは
まず、遺留分とは、先ほどもご説明した通り、遺言等によって、法の定める割合未満しか承継することのできない法定相続人が、法の定める一定の割合を満たすように金銭の取得を請求することができるという制度です。
これは、相続制度が、単に被相続人による自由な財産処分を許すだけでなく、その家族である法定相続人の生活を保障したり、それまでの家族としての貢献を財産承継として精算する機能を有していると考えられているためであるとされています。
遺留分放棄とは
遺言等によって、法の定める割合未満しか承継することができず、遺留分の侵害がある場合でも、そのように侵害された部分に代わる金銭の請求をするかどうかは、遺留分を侵害された法定相続人それぞれの判断に任されています。
そのため、遺留分は行使しなかったり、放棄したりすることもできます。
このように遺留分を放棄することによって、少なくとも当該遺留分を放棄した人の遺留分部分については、被相続人の自由な財産処分(承継の指定)を認めることができます。
遺留分は相続開始前(被相続人の生前)にすることもできますし、相続開始後(被相続人の死亡後)にすることもできますが、いずれの時点でするかによって、必要となる手続きが大きく変わってきます。
遺留分放棄のメリット・デメリット
メリット
遺留分を放棄することそのものは、財産的に価値のある権利を放棄することですので、放棄する方に直接的なメリットはありません。
しかし、被相続人の生前に遺留分放棄する場合、その見返りとして、放棄の時点で何らかの財産を贈与されること等も考えられます。
また、被相続人の生前に、被相続人の事業の後継者を決めて、当該後継者に財産の相続を一本化する必要がある場合に、後継者以外の方が遺留分放棄することで、安定的な事業承継を図ることができる場合があります。
デメリット
先ほども述べた通り、遺留分の放棄自体は、財産的に価値のある権利を放棄することですので、放棄する方は、財産が減少するということができます。
また、被相続人の相続開始前(生前)に遺留分を放棄しようとする場合、家庭裁判所に申立をして許可を得る必要があり、一定の手続きの負担があります。
相続開始前(生前)に遺留分放棄する方法
被相続人の相続開始前(生前)に遺留分放棄をする場合、家庭裁判所に対して、遺留分の放棄に打ち手の許可の申立てを行い、家庭裁判所から許可の審判を得る必要があります。
この場合の申立先は、被相続人となる人の住所地を管轄する家庭裁判所となります。
遺留分放棄の手続きの流れ
法定相続人となる人から、遺留分放棄の許可の申立を受けた家庭裁判所は、そのような申立が、本人の自由な意思によってなされたものであるのか、放棄をしたいという理由が合理的なものであるのか、そのような放棄をすることについて被相続人等から代わりとなる贈与等があるのか、あるとすればどのようなものであるのか等といった事情を考慮して、相当であると認めれば許可の審判をすることとなります。
このような判断を行うのは、特定の相続人への財産承継の一本化を図る被相続人の威圧等によって、遺留分放棄が強要されることを防止するためであるとされています。
なお、遺留分放棄を認めないとの審判には即時抗告(審判に対する不服の申立)をすることができますが、遺留分放棄を許可する審判には即時抗告をすることができません。
家庭裁判所が遺留分放棄の許可を出す要件
先ほども述べたように、遺留分放棄の許可の申立は、本人の自由な意思によってなされたものであるのか、放棄をしたいという理由が合理的なものであるのか、そのような放棄をすることについて被相続人等から代わりとなる贈与等があるのか、あるとすればどのようなものであるのか等といった事情によって判断されます。
①本人の自由な意思に基づいているか
遺留分放棄は、本人の自由な意思に基づいて行われている必要があります。
これは、特定の相続人への財産承継の一本化を図る被相続人の威圧等によって、遺留分放棄が強要されることを防止するためです。
遺留分放棄の許可の申立が、本人の自由な意思によるものではないと判断されれば、原則として、遺留分の放棄は許可されないこととなります。
②遺留分放棄をする合理的な理由があるか
遺留分を放棄することそのものは、財産的に価値のある権利を放棄することですので、放棄する方に直接的なメリットはありません。
そのため、遺留分の放棄を許可するかどうかの判断においては、そのような原則としてメリットの無い放棄を本人がすることも合理的であるといえるような理由が認められる必要があります。
このような合理的な理由とは、被相続人の事業について他の法定相続人が後継者となり、被相続人の財産を全て当該後継者が引き継ぐことについて本人も希望しており、遺留分の放棄と引き換えとなるような贈与等を受けていることなどが挙げられます。
③放棄する遺留分と同等の代償があるか
遺留分を放棄する場合でも、本来得られる遺留分と同等の贈与を受けられる場合には、遺留分の放棄を認めても問題がないといえます。
そのため、本来得られる遺留分と同等の贈与を受けられる場合には遺留分の放棄は認められやすくなります。
また、本来得られる遺留分と同等の贈与を受けられるとまではいえない場合でも、遺留分放棄の理由によっては、遺留分放棄が許可されることも考えられます。
生前に書いた遺留分放棄の念書は有効か?
被相続人の生前(相続開始前)に、法定相続人となる人が、遺留分放棄をするとの念書を書いたとしても効力を生じません。生前の遺留分放棄は、家庭裁判所の許可によって効力が生じるとされています。
遺留分放棄を撤回することはできるか?
一度、家庭裁判所の許可を得た遺留分放棄は、原則として撤回することはできません。これは当事者の合意がある場合も同じです。
もっとも、被相続人となる人と放棄した法定相続人となる人とが、遺留分放棄の撤回に合意している場合、被相続人となる人が当該放棄した法定相続人となる人にも財産を承継させる内容での遺言書を作成するなどして、遺留分の放棄の撤回がなされたのと実質的に同じ状況を生じさせることは考えられます。
また、一定の例外的な場合には、遺留分放棄の撤回又は取消が認められるケースもあります。
このような撤回等が認められるためには、遺留分放棄をすることの前提となっている合理的な理由において、重要な事情の変化等があったことが必要であるとされています。
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相続開始後(死後)に遺留分放棄する方法
被相続人の相続開始後(死後)に遺留分放棄する場合は、特に家庭裁判所の許可を得る必要はありません。
遺留分を請求する場合に相手方となる人に対し、自己の遺留分を放棄するという意思表示をすれば有効に遺留分を放棄できます。
遺留分放棄に期限はあるのか?
遺留分の放棄自体には期限はありません。
ただし、遺留分の行使(遺留分侵害額請求)自体には、遺留分の侵害を知った日から1年以内にしないといけないなどといった期間制限があります。
そのため、被相続人の生前に行う遺留分の放棄には特に制限はありませんが、被相続人の死後に行う遺留分の放棄については、行うのであれば、遺留分行使の期間制限内に行うということになります。
「遺留分放棄」と「相続放棄」の違い
遺留分放棄と相続放棄とは、似た言葉ではありますが、その意味は全く異なります。
遺留分放棄は、あくまで遺留分を放棄するだけであり、相続人としての地位そのものを失うわけではありません。そのため、被相続人に債務がある場合には、これを相続して負担することがありえます。
一方で相続放棄は、相続人としての地位そのものを失う効果を生じさせるものであり、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産である債務も相続しないこととなります。
また、相続放棄は、被相続人の生前においては有効に行うことはできず、被相続人の死後に家庭裁判所に申述した上で受理してもらう必要があります。
遺留分放棄すべきかどうかで判断に迷ったら、まずは弁護士にご相談下さい。
被相続人の生前に相続放棄する場合には、家庭裁判所の許可を得る必要があります。
そして、この許可が下りるかどうかは、遺留分の放棄が、本人の自由な意思によってなされたものであるのか、放棄をしたいという理由が合理的なものであるのか、そのような放棄をすることについて被相続人等から代わりとなる贈与等があるのか、あるとすればどのようなものであるのか等といった事情を考慮して、相当であると判断できるかどうかによります。
法的に難しい判断が必要となる場合もありますので、遺留分の放棄について悩まれている場合は、ぜひ弁護士にご相談ください。
症状固定とは
症状固定とは、医学上、治療の効果がこれ以上見られない状態をさす法律上の概念となります。交通事故によって、受傷した後、受傷部位を治すために治療をすることになるわけですが、
- ①完全に回復することもあれば、
- ②何度も治療しても症状が変わらない可能性もあります。
症状固定とは、後者の何度も治療しても症状が変わらない状態をいいます。
怪我の内容で異なる、症状固定までの期間
先にご説明したとおり、症状固定は治療の効果がこれ以上見られない状態を指しますので、治療の効果が見られる期間は具体的な受傷状況によって異なります。
すなわち、受傷の程度が軽度であれば、症状固定の時期は短くなる傾向にあります。逆に、受傷の程度が重度であれば、症状固定の時期は長くなる傾向にあります。
したがって、いわゆるむち打ちの程度の受傷状況であれば、症状固定の時期は事故から6カ月程度ですし、骨折等を伴い手術が必要な受傷状況であれば、6ヶ月を超えて1年以上ということもあります。
症状固定時期は賠償額に大きく影響する
症状固定に至るまでは、治療の効果があることを意味しますので、これは交通事故と相当因果関係のある治療ということを意味し賠償の対象となりえます。
そして、症状固定の時期が長短は損害の程度に影響を与えます。
損害が拡大すれば、その分慰謝料等の賠償額の多寡にも影響を及ぼすことになります。
すなわち、症状固定の時期が短ければ賠償額は低くなる傾向にありますし、症状固定の時期が長ければ賠償額は高くなる傾向にあります。
その意味において、症状固定の時期と言うのは損害賠償額を考えるうえでも、大きく影響する事情となります。
「症状固定」と言われて後悔しないために知っておくこと
これまでもご説明してきたように、症状固定は賠償額に大きな影響を与える概念です。
症状固定を迎えてしまったあとでは、取り返しにつかないこともあります。そのため、症状固定を迎えてしまう具体的な効果を十分に理解したうえで、症状固定を迎える必要があります。
そこで、以下において、症状固定を迎えることの効果を具体的にご説明致します。
症状固定を決めるのは医師
症状固定は、「医学上」治療の効果がこれ以上見られない状態を指す概念となりますので、医学上治療の効果があるか無いかを判断できるのは資格をもつ医師しかいません。時折、保険会社の担当者から症状固定を迎える時期と一方的に説明されることがありますが、それは保険会社側の意見・意向にしか過ぎません。
そのため、症状固定については医師に相談の上決める必要があります。
症状固定後は治療費や打ち切られ、入通院慰謝料が打ち止めに
症状固定は、医学上治療の効果がこれ以上見られない状態です。したがって、症状固定後というのは、効果が見られない治療を続けていることになります。
損害賠償の制度は、交通事故と相当因果関係にある範囲の損害しか認められません。そのため、効果がない治療と言うのは「必要のない治療」ということを意味し、必要のない治療というのは相当因果関係の範囲に入りません。
そのため、症状固定後の治療費は損害賠償の対象にならない以上、保険会社がその治療費を負担することはありません。
また、症状固定後は不要な入通院ということになりますので、入通院慰謝料が入通院の回数や期間によって算定されることとの関係上、症状固定後はその後に入通院があったとしても、慰謝料の算定との関係からは考慮されない事情となります。
保険会社の言いなりで症状固定すると後遺障害慰謝料に影響が出る可能性も
症状固定を判断できるのは医師になりますので、本来保険会社が決めるべき筋合いのものではありません。
もっとも、保険会社はさも当然のように症状固定を要求することもあるため、保険会社からの一方的な意向で、症状固定を迎えてしますと、その後の治療費や慰謝料の算定に影響を受けてしまいます。
そのため、保険会社の言いなりで症状固定を迎えることには注意をする必要があります。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
症状固定後の流れ
症状固定後は、
- ①示談交渉を行う、
- ②後遺障害の申請を行う
という大まかに2とおりの流れになります。
通常、傷害部分のみ先行して示談を行うケースは少ないため、①と②の違いは、後遺障害の申請をするか否かという点が重要なポイントになります。
後遺障害の申請を行った場合、医師に診断書を作成してもらい、必要な資料を集め、自賠責へ後遺障害等級認定申請を行うことになります。
他方で、後遺障害の申請を行わない場合には、相手方と示談交渉を行うことになります。
示談交渉は症状固定後から開始
傷害部分として相手方に請求できるのは、事故から症状固定までの期間に生じた治療費、交通費、休業損害、入通院慰謝料等の損害です。すなわち、症状固定になる前には、傷害部分の損害が確定しないため、相手方と最終的な傷害部分に関する示談交渉ができないのです。
症状固定後に、診療報酬明細書等の資料を収集し、治療費や交通費を計算し、傷害部分の損害を確定させ、相手に請求を行います。
後遺障害診断書を医師に書いてもらう
後遺障害等級申請を行うためには、医師に後遺障害診断書を作成してもらう必要があります。
後遺障害診断書については、必ずしも主治医に作成してもらう必要はありませんが、患者の様子を長く看てきた主治医の方が、患者の状態を正確に把握しているため、主治医に作成していただくことをお勧めします。
ただし、後遺障害診断書の作成にあたっては、必要な検査を実施し、その結果について記載する等、内容が非常に重要になるため、主治医とよく相談していただく必要があります。
後遺障害診断書を入手したら後遺障害等級認定申請を行う
後遺障害診断書を医師に作成してもらったあとは、後遺障害等級認定申請を自賠責に行います。
後遺障害認定申請手続きには2とおりの方法があり、相手の保険会社が行う方法(加害者請求)と自らが行う方法(被害者請求)があります。
被害者請求の方は、画像の取り付けや申請書の作成等があるため、負担は大きいですが、申請を自ら行うことにより、より正確に申請を行うことができます。
そこで、後遺障害等級認定申請を行うのであれば、被害者請求を行うことをお勧めします。
症状固定後の通院はしても良いのか
前述のとおり、相手方に請求できる治療費は、事故から症状固定までに発生したものに限られます。ゆえに、症状固定後に通院を行ったとしても、発生した治療費は自己負担になります。
もちろん、症状固定後にも、痛みが残存するケースは数多くあり、痛みを和らげるために、一定の治療やリハビリ等は必要になります。
ただし、発生する治療費は自己負担になるのだと思って、ご通院して下さい。
保険会社の治療費の打ち切りに負けず、適切な症状固定時期まで治療を行ない、慰謝料を増額させた事例
前記のとおり、症状固定とは医学上治療の効果が見られない時期を言います。そして、保険会社が症状固定前に治療費を打ち切るケースは数多くあります。
過去の事例では、事故から4カ月程度通院していたところ、保険会社が突然治療費を打ち切り、一括対応を止めた例がありました。
主治医に相談をしたところ、回復傾向にあり、治療の効果が生じている以上、症状固定ではないとの判断がありました。
そこで、保険会社が治療費を打ち切った以降は、第三者行為による傷病届を提出し、治療を続けました。
その後、事故から6カ月程度通院し、症状固定となり、自賠責に被害者請求を行った後に、回収ができなかった部分について、相手方保険会社に請求をし、無事に示談を行ったという事例もあります。
このように、症状固定とは、保険会社が決めるものではなく、医師が判断するものです。適切な症状固定時期については、主治医とよく相談して下さい。
症状固定の判断を誤る前に弁護士へご相談ください
症状固定の時期が大切なのは、前述のとおりです。症状固定後の治療費や交通費等については、相手方に請求することはできません。
また、症状固定後に、示談交渉をすべきなのか、後遺障害診断をすべきなのかも非常に重要なポイントになります。後遺障害認定等級申請を行っても、非該当になる可能性があります。
この場合、診断書作成料や認定結果までの期間が無断になってしまいます。
そこで、症状固定の時期を見誤らないよう、専門家である弁護士にご相談下さい。
弁護士であれば、豊富な知識があることから、適切にアドバイスをすることが可能です。
離婚を考えている、または離婚を切り出された場合、様々なことが頭をよぎります。
今後の生活はどうなるのか、子どもはどうなるのか、相手名義だが自分が使っている車はどうなるのか等々です。そして、悩みの一つに、弁護士に依頼すべき事案なのかということがあると思います。
離婚調停は弁護士なしでもできる?
結論から申し上げますと、離婚調停を弁護士なしで行うことは可能です。弁護士に依頼せず離婚を無事成立させた人は多くいます。
もっとも、事案によっては、弁護士を入れたほうが良いケースも存在します。以下、それらの違い等についてご説明させていただきます。
弁護士なしで離婚調停する人の割合はどれくらい?
「家庭裁判所における家事事件及び人事訴訟事件の概況及び実情等」によると、離婚事件(令和4年時点)において弁護士に依頼した人、依頼しなかった人の割合は以下のようになっています。
双方に代理人あり | 32.6 |
---|---|
申立人のみ代理人あり | 27.0 |
相手方のみ代理人あり | 5.0 |
双方に代理人なし | 35.5 |
自力で離婚調停を申し立てる方法
まず、家庭裁判所に申立書や事情説明書等の書類を提出します。これらの書式は、裁判所のホームページからダウンロードすることができます。
その後、家庭裁判所から呼出状が当事者双方に届くため、記載されている日時に、記載されている場所(家庭裁判所の待合室等)に行きます。
調停期日を何度か繰り返し(1~2か月に1回のペースで開かれることが多いです)、合意がまとまれば調停成立、まとまらなければ調停不成立となります。
調停不成立となった際には、調停に代わる審判という手続により離婚が認められることがありますが、これは相手方が異議を申し立てれば失効するため、通常は、離婚を成立させるためには訴訟を提起せざるを得ません(調停に代わる審判はそもそも行われないことが多いです)。
弁護士なしだと離婚調停で不利になる?
弁護士に依頼しなかったからといって、離婚調停で直ちに不利になるわけではありません。離婚調停は、裁判所によって選任された調停委員が双方の話を交互に聞くという方法で進めることになります。
そのように、調停委員が双方の間に入ってくれる形になるため、相手方から一方的な内容を押し付けられることはある程度防御することができます。もっとも、調停委員はあくまで中立的な立場であるため、必ずしもこちらの味方をしてくれるわけではありません。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
弁護士を入れた方が望ましい例
離婚
離婚調停は、双方の合意を形成する手続であるため、双方の合意がなければ成立しません。
そのため、自分は離婚したいと思っているが、相手方は離婚したくないと思っている場合、調停期日を重ねても相手方の意思が変わらなければ、離婚調停は成立しないことになります。
もっとも、相手方が、養育費や財産分与等の条件によっては離婚に応じても良いと考えている場合は多くあります。
その場合、離婚条件の交渉に入ることになりますが、相手方が要求する離婚条件が法的に正当なものが判断するのが難しいケースがあります。
以下、その例を述べます。
婚姻費用、養育費
婚姻費用とは、夫婦や未成熟の子どもにとって必要な生活費であり、子がいる場合には、子の養育費部分も含みます。養育費とは、子どもの監護や教育のために必要な費用です。
婚姻費用は離婚時まで、養育費は離婚時から認められる点に違いがあります。また、婚姻費用は、配偶者の生活費に子の養育費を加えた額になるため、一般的に養育費よりも高額になります。
これらは原則として、双方の収入額を基準に、裁判所が公表している「養育費・婚姻費用算定表」に基づき決められることになります。そのため、双方の収入額に争いがないケースでは、基本的には算定表に基づいて決めればよいことになります。
もっとも、相手方が任意に収入を明かさない場合(相手方が確定申告書や源泉徴収票を提出しない場合)には、相手方の収入を把握することができません。
その場合、弁護士であれば、弁護士会照会という制度を利用し、相手方の勤務先に、相手方の収入を明かすよう働きかけることができます。
また、算定表では双方の収入のみをもって婚姻費用や養育費の額が決められることになるため、その他の個別事情を考慮してほしいという場合には、算定表からの修正を主張する必要があります。
算定表は、通常の範囲のものは額の幅の中ですでに考慮されていることになっているため、それを超えた事情がある旨の主張をすることになりますが、その主張を構成することが難しいことがあります。
財産分与
財産分与とは、離婚の際、夫婦が共同して築いた財産を分ける手続きです。基本的には、双方が婚姻期間中に得た財産を折半することになります。
双方の財産が預貯金だけの場合、婚姻期間中に得た双方の預貯金を折半すればよいため、弁護士なしで行うことが容易です。
また、財産に不動産が含まれる場合でも、それらを売る場合には、売却によって得られた代金を折半すればよいため、弁護士なしで行うことが比較的容易です。
もっとも、財産に不動産や株式等が含まれ、今後もどちらか一方が持ち続けたいという場合には、その評価が問題となります。
鑑定等が必要となることもあり、どう算定すべきか、算定の基準時はどうするか等事案として複雑になってくることが予想されるため、弁護士を入れたほうが良いと思われます。
また、婚姻期間前に有していた財産は、特有財産として、財産分与の対象からは基本的に外れることになりますが、相手方の財産が婚姻期間中に得たものか、婚姻期間前に有していたものなのか分かりにくいケースがあります。
そのような際も、弁護士は普段からそのような事例をよく目にしているため、弁護士であれば判断できる場合があります。
離婚調停で弁護士ができるサポート
書類の提出に関しサポートが受けられる
離婚調停を申し立てる際には、申立書、事情説明書といった書類を家庭裁判所に提出する必要がありますが、書類の書き方が分からないという場合には、弁護士によるサポートが可能です。
また、財産分与等の判断のため証拠の提出が求められることがありますが、どの書類を提出すべきか分からない場合や、必要書類の取得方法等が分からない場合にも、アドバイスすることができます。
陳述書やの作成時にアドバイスしてもらえる
離婚調停では、陳述書という書面を提出すべき場合があります。陳述書とは、これまでに経験したことや自身の言い分をまとめた文書です。
もっとも、なんでも記載すればよいというわけではなく、法的に意味のある事実に重点をおいて記載する必要があります。
何が法的に意味のある事実か分からないこともあると思いますので、そのような場合に弁護士がアドバイスすることができます。
調停委員と話すときに同席してくれる
ほとんどの方にとって離婚調停は初めてであると思われるため、調停委員とどう話したらよいか不安に感じると思います。
弁護士が入れば、調停前に、調停委員とどう接したらよいか、何を話せばよいか等アドバイスすることができます。また、弁護士は離婚調停に同席することができ、時に調停委員とのやり取りを代わって行うこともできます。
離婚条件についてアドバイスがもらえる
離婚調停は、双方の合意があれば成立するため、法的に妥当な範囲でなくても合意があれば成立し得ることになります。そのため、自分に不利な条件であっても、合意すれば成立することになります。
もっとも、離婚条件は、この項目は自分に有利になっているが、この項目は自分に不利になっているなど、様々なバリエーションがあるため、全体として自分に不利になっていないか見極めるのが難しいことがあります。
相手とのやり取りを代わってくれる
離婚調停の期日では、双方が交互に呼び出される形になるため、相手方と顔を合わせる機会は基本的にありませんが、期日間で相手方や相手方代理人(弁護士)と連絡を取り合うことがあります。
弁護士が付いていれば相手方との連絡は弁護士が行うことになるため、そのストレスから解放されます。
ひとりで離婚調停を乗り切れるか心配な場合は、一度弁護士にご相談ください
とはいえ、それでも弁護士に依頼すべきかどうか悩む場合も多いと思います。そのような際には、ぜひ一度ご相談にいらしていただければと思います。事情をお伺いし、相談者の方々の内容にあったご提案をさせていただきます。
亡くなられた方(以下、「被相続人」といいます。)の遺産として、典型的には土地・建物などの不動産や預貯金などが思い浮かぶと思います。金融機関に対し、口座の名義人が亡くなったことを伝えると、後日の相続人間の紛争に巻き込まれることを防ぐために、金融機関は、被相続人名義の口座を凍結してしまいます。
以下では、口座の凍結を解除する方法や預貯金を相続する場合の注意点などについて、わかりやすく解説していきます。
亡くなった人の口座は凍結される
口座の名義人が亡くなったことを金融機関に伝えると、その口座は凍結されることになります。
口座が凍結されてしまった場合、相続手続きが完了するまで入出金などの取引ができなくなります。そのため、被相続人の口座から現金を引き出したり、口座の名義人を変更するためには、金融機関で凍結を解除する手続きが必要になります。
凍結を解除するには
口座の凍結を解除するためには、被相続人名義の預貯金口座のある金融機関ごとに凍結解除の手続きが必要になります。凍結解除の手続きは、必要書類を準備して行うことになります(詳しくは、「3.銀行等の金融機関で行う相続手続の流れ」を参照してください。)。
預貯金を放置したらどうなる?
金融機関の預貯金口座を放置した場合、その口座は「休眠口座」になります。
休眠口座とは、最終取引日から10年を経過した口座をいいます。この期間について、相続が発生したタイミングは影響しません。平成21年1月以降に最終取引が行われた口座については、「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」等に則り預金保険機構に移管されるなど、個別に管理される場合があります。
預貯金を相続する場合の注意点
預貯金を相続する場合には、①遺産分割手続きが完了するまで口座からお金を引き出さない、②平日の日中しか手続きができない、③銀行ごとに書式が違うことに注意しましょう。
遺産分割手続きが完了するまで口座からお金を引き出さない
被相続人名義の預貯金については、相続手続きが完了するまで引き出したりしないようにしましょう。金融機関に対し、口座の名義人が亡くなったことを伝える前であれば、ATM等を利用して、預貯金等を引き出すことが可能です。
しかし、引き出された金額の使途等が相続人間で争われ、後日のトラブルの原因となることがあります。また、被相続人に多額の借金等があった場合には相続放棄ができなくなる場合があります。
平日の日中しか手続きができない
一般的な金融機関では、窓口の営業時間は平日の午前9時から午後3時までです(なお、ゆうちょ銀行については、平日の午前9時から午後4時まで窓口を営業しているようです)。ただし、一部の銀行では、窓口の営業時間を延長したり、土日も営業したり、郵送での手続きを受け付けているケースもありますので、金融機関へ一度、確認してみると良いでしょう。
銀行ごとに書式が違う
預貯金口座の凍結の解除の手続きについては、金融機関ごとに必要になり、提出が必要とされる書類についても金融機関ごとに独自の書式があります。そのため、凍結を解除したい金融機関に対し、一度、直接確認してみることをお勧めいたします。
銀行等の金融機関で行う相続手続の流れ
銀行等の金融機関で行う相続手続きの流れは、以下のようになっています。
- 銀行等、口座のある金融機関に相続手続を申し出る(口座が凍結される)
- 必要書類を準備する
- 払戻し等の手続を行う
1. 銀行等、口座のある金融機関に相続手続を申し出る
被相続人名義の預貯金を相続するためには、まず口座のある金融機関に対し、名義人が亡くなったことを伝える必要があります。その方法として、窓口・電話、WEBページから申し出る方法等があります。
口座の名義人が亡くなったことを金融機関に伝えると、金融機関は、被相続人名義の口座を凍結します。凍結後は、公共料金の引き落としもできなくなりますので、事前に引き落とし口座の変更手続きを行っておくべきでしょう。
2. 必要書類を準備する
預貯金を相続するために必要な書類は、遺言書の有無によって異なります。また、金融機関ごとに用意されている「相続手続依頼書」の提出等が必要となります。
相続手続依頼書には、原則として相続人全員による署名・押印が必要になります。通常の場合、押印には実印を用いて印鑑証明書を添付します。
遺言書がある場合
遺言書がある場合、以下のような書類が必要になります。
- 遺言書(公正証書遺言の場合または法務局における自筆証書遺言書保管制度を利用されていた場合を除き、家庭裁判所の検認調書または検認済証明書も必要になります。)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(死亡が確認できるもの)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
- 被相続人の通帳・キャッシュカード等
- 相続手続依頼書(遺言書による相続する相続人の署名・押印)
遺言書がない場合
遺言書がない場合、遺産分割協議書が作成されているかによって必要になる書類が異なります。
●遺言書はないが、遺産分割協議書がある場合
遺言書がなく、遺産分割協議書がある場合には以下のような書類が必要になります。
- 遺産分割協議書
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(死亡が確認できるもの)
- 相続人の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
- 被相続人の通帳・キャッシュカード等
- 相続手続依頼書(遺産分割協議書により相続する相続人の署名・押印)
●遺言書も遺産分割協議書もない場合
遺言書、遺産分割協議書のいずれもない場合であっても、被相続人名義の預貯金を相続することは可能であり、以下のような書類が必要になります。
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本(死亡が確認できるもの)
- 相続人船員の戸籍謄本
- 相続人全員の印鑑証明書(発行日より6ヵ月以内のもの)
- 被相続人の通帳・キャッシュカード等
- 相続手続依頼書(相続人全員の署名・押印)
3. 払戻し等の手続
上記のように、「遺言書」や「遺産分割協議書」などの必要となる書類を提出して、全ての手続きを完了させると、被相続人名義の預貯金の口座は、解約されて払戻しとなるか、「相続手続依頼書」に従って相続人の名義に変更されます。
なお、金融機関により異なりますが、全ての必要書類を提出してから概ね数週間程度で、指定した金融機関の口座に払い戻された金額が振り込まれ、手続きが完了するようです。
相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
貯金・預金の相続に関するQ&A
銀行預金の相続に期限はありますか?
銀行預金の相続に期限はありません。しかし、なるべく早く手続をすることをお勧めいたします。預金口座は、最終取引日から10年を経過すると休眠口座となります。休眠口座となった後も相続をすることは可能ですが、手続が煩雑となるうえ、手続の完了までに時間がかかることがあります。
生活保護を受けているのですが、貯金を相続したら保護は打ち切られてしまいますか?
生活保護を受けている方も預貯金を相続することは可能です。ただ、相続により最低限度の生活を営むことができるよう状況になったのであれば、「保護を必要としなくなったとき」に該当し、生活保護が打ち切られることになります。そのため、相続手続きを行った場合の生活保護がどうなるのかについては、事前に担当のケースワーカーに相談しておきましょう。
相続人は自分だけです。相続手続きせず口座を使っていても良いですか?
相続人が1人だけの場合、相続人が複数いる場合に必要な「遺産分割協議」は不要です。もっとも、口座の名義人が亡くなっている以上、相続手続きを行うことなく、被相続人名義の口座を使使用するべきではありません。預貯金の引き出し等を行うことが許されているのは、口座の名義人に限られており、名義人以外の者が引き出すことは、金融機関との関係で契約違反に該当する場合があります。
相続する貯金がどこの銀行にあるか分からない場合はどうしたらいいですか?
被相続人の預貯金がある金融機関が分からない場合には、通帳やカード等を探して調べる方法があります。また、被相続人の自宅等に金融機関からのはがきがある場合、パソコンやスマートフォンにメールが届いている場合等もあるため確認してみましょう。なお、近年は店舗のないインターネットバンキング等もありますが、パソコンの接続履歴やスマートフォンのアプリ等を確認することによって口座を把握できる可能性があります。
貯金の相続手続きをするなら、弁護士への相談・依頼がおすすめです
貯金・預金の相続を行うためには、戸籍謄本などの必要書類を集めたり、相続人間での遺産分割協議書の作成が必要になり、後日の紛争を防ぐためには専門的な知識や経験が求められます。また、弁護士にご依頼いただくことで、身近な方が亡くなっている中で、相続に関するご依頼者の方の負担を減らすことが可能です。
そのため、貯金・預金の相続に関してわからないことがある場合には、まずは是非一度、弁護士法人ALG&Associatesにご相談ください。
交通事故に遭い、怪我をした場合、怪我の治療の終了後、相手方保険会社との間で示談交渉が始まります。その際、相手方保険会社から送られてきた示談案に「入通院慰謝料1日8600円(旧8400円)」と書かれていることがあります。
以下では、「入通院慰謝料1日8600円(旧8400円)」の意味を中心に、交通事故の慰謝料について解説していきます。
慰謝料が1日8600円(旧8400円)になるのはなぜ?
自賠責保険の入通院慰謝料は、入院・通院の区別なく、1日あたり一律4300円(旧4200円)で計算されます。この「1日あたり」の考え方ですが、①総治療期間、②実際に通院した日数×2のうち、日数の少ない方を「1日」として数えることになります。
「1日8600円」というのは、1日あたりの慰謝料額が増額されているのではなく、①よりも②の方の日数が少なかった場合に、②実際に通院した日数×2×(1日あたり)4300円=入通院慰謝料額の「2×4300円」の部分を表しています。
通院回数を増やした分だけ慰謝料がもらえるわけではない
自賠責保険の場合、前述の①と②のいずれか日数が少ない方を1日と数えることになるため、通院日数を増やしたとしても慰謝料が増えるとは必ずしもいえません。
たとえば、総治療期間が180日、実際に通院した日数が90日だった場合、慰謝料額は以下の通り、同額になります。
(1) 180日×4300円=77万4000円
(2) {90日(実際に通院した日数)×2}×4300円=77万4000円
一方、総治療期間が180日、そのうち実際に通院した日数が100日だった場合、慰謝料額は以下のとおりになります。
(3) 180日×4300円=77万4000円
(4) {100日(実際に通院した日数)×2}×4300円=86万円
この場合、通院した分だけ慰謝料が増えるようにも思えます。しかし、前述のとおり、自賠責保険では①と②のうち日数が少ない方を1日と数えることになりますから、上記の場合、(3)180日<(4)100日×2=200日で、(3)の額が慰謝料として支払われることになります。
適切な通院頻度はどれくらい?
通院頻度が低いと、示談交渉の際、相手方保険会社が通院慰謝料額を低く提示してくる場合があります。示談交渉を見据えると、通院頻度としては週2回から3回をおすすめします。
自賠責には120万円の限度額がある
自賠責保険では、事故の規模を問わず、傷害部分(治療費、休業損害、入通院慰謝料その他治療中の損害)全体の支払限度額は120万円とされています(自賠法施行令2条1項3号イ)。
そのため、入通院慰謝料が120万円以下であったとしても、治療が長期間に及ぶなどして治療費や休業損害が大きくなると、120万円のうちに入通院慰謝料が占める割合が小さくなり、結果的に慰謝料が1日あたり4300円よりも低額になる可能性があります。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
弁護士基準なら自賠責基準の入通院慰謝料を上回る可能性大
弁護士基準は、訴訟基準、赤い本基準とも呼ばれるものですが、自賠責基準のような限度額がありません。また、自賠責基準は前述のとおり、入院・通院の区別なく1日あたり4300円または8600円で計算するのに対し、弁護士基準では、入院・通院を区別したうえで、治療期間で計算されます。たとえば、事故によって骨折をした場合、弁護士基準であれば、入通院慰謝料は、1ケ月間入院した場合には53万円、通院した場合には28万円となります。
そのため、弁護士基準であれば自賠責基準の入通院慰謝料を上回る可能性が大きく、自賠責基準の限度額である120万円以上の入通院慰謝料が支払われる可能性もあります。
1日8600円の慰謝料が貰えるのは治癒・症状固定までの「治療期間」のみ
入通院慰謝料は、事故日から治癒または症状固定(治療をしても病状が一進一退を繰り返して、もはや治療自体に効果が見られなくなった時点)までの「治療期間」の精神的・肉体的苦痛に対する慰謝料として支払われます。
そのため、症状固定の場合、その前提として、その時点では未だ症状が残存している状態ですが、症状固定日以降の後遺症に関する通院は、「治療期間」には算入されず、入通院慰謝料の支払いの対象とはなりません。
後遺障害が残った場合は後遺障害慰謝料が請求できる
後遺障害とは、傷害を受けた結果、治療が終わって症状固定となった時点で残存する障害をいい、むち打ちやしびれが残る状況などが代表的な後遺障害です。症状固定日以降に残存する症状が後遺障害と認定されれば、後遺障害に対する慰謝料を請求することができます。
もっとも、症状固定日以降にもしびれが残っている等、症状が残存していたとしても、必ず後遺障害と認定されるわけではないことにご留意ください。
慰謝料が1日8600円から増額した事例
相手方保険会社は、被害者本人に対しては入通院慰謝料1日8600円として算定した賠償案を提示することは少なくありません。
このような提示を受けた事案に弁護士が介入すると、被害者の過失が大きいといった事案でない限りは、慰謝料の額は増額されます。
なお、自賠責の算定額は被害者の過失による減額幅が弁護士基準での請求よりも少なく設定されています(例えば、被害者の過失が70%あっても、自賠責の減額は20%となります。)。このような場合には、結果的に慰謝料等の損害賠償額が自賠責基準のとおりとなることがあり、慰謝料の額は弁護士が介入しても増額されないことがあります。
保険会社から「1日8600円」と提示されたら、弁護士へご相談ください
保険会社から送られてきた示談案に「入通院慰謝料1日8600円」と記載があった場合は、1日あたりの慰謝料額が増額されているわけではなく、保険会社がより低額な慰謝料で示談しようとしている可能性があります。
交通事故案件の経験が豊富な弁護士であれば、相手方保険会社から提示された示談案が適正なものかを判断することができます。相手方保険会社から提示された示談案を受け入れていいのか不安がある方や、ご自身だけで交渉することに不安を感じている方は、一度、弁護士にご相談ください。
死後に備えて遺言を作成しようとする方は多いと思います。
最近では「終活」というフレーズで遺言の作成を進める書籍を見ることもあります。
しかし、正しい知識がないまま、遺言を作成すると、遺言をめぐってトラブルが生じたりすることがあります。
また、遺言そのものに問題はなくても、相続人が遺言に対する対応を誤ることでトラブルが生じることもあります。
この記事では、遺言書に関するトラブルについてご説明します。
遺言書があった場合のトラブル事例
遺言書を勝手に開封した
封印のある遺言書は家庭裁判所において相続人又はその代理人の立ち合いがなければ開封することができないとされ(民法第1004条第3項)、家庭裁判所外において開封をした者は5万円以下の過料に処せられることとなります(民法第1005条)。
封印された遺言書を発見した場合でも、これを勝手に開封してはならず、裁判所に検認の請求を行い、適正な手続きに従って開封するようにしましょう。
遺言書の字が汚くて読めない
自筆証書遺言は、遺言者(遺言を作成する方)が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならないとされます(民法第968条第1項)。
しかし、この自書にかかる字が汚くて読めない場合、遺言が正しく理解されない可能性があります。
病気等で体が不自由である場合に、綺麗に文字を書くことが難しい場合もあるかと思いますが、このような場合には、可能な限り読みやすい字を書くか、公正証書遺言(民法第969条)の方法等により遺言を作成することをご検討下さい。
日付が特定できない・誤った日付が記載されている
遺言書を作成した日付が特定できない、誤った日付が記載されている場合、その有効性が争われることがあります。
遺言書を作成した日付が特定できない場合、遺言の形式要件を満たさないとして無効と評価されます。
また、複数の遺言書がある場合には現実には最後に作成された遺言書であっても、日付を誤って記載することで最後の遺言書であると認められない可能性があります(前後の遺言の内容が抵触する場合、以前の遺言が撤回されたものと評価され得るところ(民法第1212条、第1213条第1項)、現実には最後に作成された遺言書が撤回されたと評価される可能性があります)。
その他にも、遺言の有効性が争われる余地を残すこととなるため、遺言の日付は、特定できるようにかつ正確に記載するようお願いいたします。
遺言内容が曖昧
遺言内容が曖昧な場合、遺言に記載された内容通りの法的効果が生じない可能性があります。遺言書を作成した当人にとっては明らかな内容であっても、第三者が読んだ際に、遺言内容が明らかでない、又は、複数の解釈が可能である、ということがあります。
心配な場合は、「このような内容の遺言を作成したい」という旨を、専門家に相談して、遺言書を作成してください。
遺言書の内容に納得いかない
相続人等が、遺言書の内容に納得できないと考えることもあります。
例えば、相続人に一人に対して全財産を渡す旨の遺言である場合に、他の相続人が内容に納得できないと主張することが考えられます。
このような場合、遺言書の内容に納得できないと考える方は、遺言無効確認の訴えを提起して遺言の有効性を争うことが考えられます。
また、遺留分権者である場合は、遺言により遺留分が侵害されたとして、遺留分を侵害した者に対して遺留分侵害額請求権を行使することが考えられます(民法第1042条)。
遺留分侵害額請求権を行使するためには、遺留分権利者が、相続の開始及び遺留分侵害行為があったことを知った時から一年間行使しないとき、又は、相続開始のときから10年を経過したときには、時効によって消滅するとされる(民法第1048条)ため、期間制限については注意が必要です。
遺言書を無理やり書かされた可能性がある
遺言作成者が、第三者により、遺言書を無理やり書かされた可能性がある場合には、これを理由に、遺言の無効を主張し、遺言無効確認訴訟を提起することが考えられます。
もっとも、遺言書を無理やり書かされたことを訴訟において立証することは、通常、困難です。
具体的には、遺言作成時における遺言作成者の精神状態(認知症の有無や精神疾患の有無等)、第三者が遺言作成に関与した程度、遺言内容の不自然さ(生前の状況にてらして内容が不自然であること)等を、証拠をもって具体的に立証し、裁判所に主張を認めてもらう必要があります。
想定してない相続人が現れた
検認の通知は、相続人全員に行わなければなりません。
そのため、想定していない相続人が現れた場合には、裁判所に連絡をして、その相続人に対しても検認通知書を発してもらうようにしましょう。
また、遺言により遺産分割協議が不要となる場合であればよいですが、遺産の一部についてのみ遺言が作成されており、なおも遺産分割協議が必要な場合には、相続人「全員」により、遺産分割協議を成立させる必要があります。
このような場合には、想定していない相続人とも連絡をとり、遺産分割協議を行う必要があります。
家族以外に財産を渡すと書かれていた
遺言により家族以外に財産を渡すことも可能です。
このような場合に、遺言の有効性を争う余地があるのであれば、遺言無効確認訴訟を提起して遺言の有効性を争うか、遺留分権者であれば財産を譲り受けた相手に対して遺留分侵害額請求権を行使するという対応が考えられます。
寄与分を主張された
遺言により財産を譲り受ける方が、相続人から、寄与分を主張される可能性があります。
しかし、寄与分は、被相続人が相続開始の時において有した財産の価額から遺贈(遺言により財産を譲り渡すこと)の価額を控除した残額を超えることができない(民法第904条の2第3項)とされるところ、原則として、遺言の内容が、寄与分の主張に優先することとなります。
もっとも、遺贈の対象となる財産が相続財産の一部である場合には、残りの遺産について寄与分が認められる可能性はあります。
遺産分割協議後に遺言書が見つかった
遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合であっても、原則として、遺言書の内容が優先すると考えてください。
例外的に、相続人全員が、遺言の存在を認識しつつ、遺言と異なる内容の遺産分割協議を成立させることを了承している場合で、特段の事情がない限りは、遺言書の内容と異なる遺産分割協議を成立させることも可能です。
ここでいう特段の事情とは、遺贈により財産を譲り受ける第三者が存在する場合等、が挙げられます。
専門的な判断が必要な場合もありますので、遺産分割協議後に遺言書が見つかった場合には、専門家に相談することをお勧めします。
相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします
遺言書が無かった場合のトラブル事例
遺言書がなかった場合は、相続人間で、遺産について遺産分割協議を行う必要があります。
遺産分割は、通常は、話し合いで開始しますが、話し合いができない場合や、話し合いをしたがまとまらない場合には遺産分割調停を申し立てることとなります。
なお、遺産分割調停において、遺産の全てについて判断がなされるわけではありません。
遺産の範囲の確定や、被相続人の財産が不正に流用されていたことが疑われる場合には、遺産分割調停に先立ち、これらの争点を解決しておく必要があります。
遺産分割調停によっても合意が得られない場合は、遺産分割審判により、裁判官が遺産分割について判断を行います。
遺言執行者に関するトラブル事例
遺言執行者が指定されていない
遺言において遺言執行者が指定されていない場合、相続人等の利害関係人が、家庭裁判所に対して、遺言執行者の選任を申し立てることができます(民法第1010条)。
遺言執行者が任務を怠る
遺言執行者は、遺言の執行のために必要な行為を行うという任務を負っており、この任務を怠ったときは、利害関係人は、家庭裁判所に対してその解任を請求することができます(民法第1019条第1項)。
また、相続人が、遺言執行者に対して、債務不履行による損害賠償請求を行うことも考えられます(民法第1012条第3項、644条、415条)。
遺言書でトラブルにならないための対策
遺言書でトラブルにならないようにするためには、遺言の作成段階で、専門家にご相談を頂くことが重要です。
また、相続人が遺言書を保管・発見したような場合、遺言の内容に納得できないというような場合にも、専門家にご相談をいただくことが望ましいです。
遺言を勝手に開封した場合に科料の制裁が科されることは、上記の通りではありますが、相続人が遺言書を偽造、変造、破棄、隠匿した場合には相続人の欠格事由(民法第891条第5号)に該当しますので、注意が必要です。
遺言書に関するトラブルは弁護士にお任せください
弁護士は、相続に関する様々な紛争を経験しており、遺言作成段階から、遺言書に関するトラブルを具体的に想定することが可能です。
遺言書に関するトラブルについては、弁護士にご相談下さい。
交通事故に関して、事故状況によっては被害者にも一定の過失が認められることがありますが、被害者と加害者の過失の割合を、過失割合といいます。
後述のとおり、過失割合がつくと、被害者は、自己の過失分の損害を自身で補填しなければなりませんので、交通事故における過失割合というのは非常に重要な要素です。
ここでは、過失割合に関して揉める理由や揉めた場合の対処法などに関して記載していきます。
交通事故の過失割合で揉める理由とは?
過失割合は、損害賠償額に影響を与えますので、交通事故において重要な要素になります。
また、事故状況の確定が困難な場合もありますので、過失割合を決めることは容易ではありません。
ここでは、過失割合で揉める理由について、3つの観点から記載しようと思います。
損害賠償の金額に影響するため
過失割合がつく場合には、その割合に応じて、加害者に請求できる損害賠償額が下がることになります。
例えば、損害賠償額の全体を100万円として、過失割合がない場合と、過失割合がつく場合(20(被害者)対80(加害者)とします。)とを比較してみます。
過失割合がない場合には、被害者は、加害者に100万円全額を請求することができますが、過失割合がつく場合には、被害者は、加害者に対して80万円しか請求できません(裏を返すと、被害者は、20万円の損害について、自身で負担しなければなりません。)。
このように過失割合は、損害賠償額に大きな影響を及ぼすことから、被害者は自身の過失を小さくしたいと考え、加害者は被害者の過失を大きくしたいと考えます。
そのため、過失割合で揉めることがあります。
警察は過失割合に関与しないため
交通事故が起きたときは、警察に届け出ることが必要となります。
そして、当事者は、警察に事情を説明し、警察は必要に応じてその事故の処理を行うことになります。しかし、警察は、事故の具体的な過失割合を決めることはありません。
裁判を除くと、過失割合は当事者間の協議により定めるほかありません。
このように、基本的に、当事者間の協議で過失割合を決めるほかなく、公的機関において過失割合が定められないということも過失割合で揉める理由の一つといえます。
事故状況の食い違いがあるため
本来、同じ事故に遭っているのですから、当事者双方が認識する事故状況は同じであるはずです。
しかし、実際には、事故に関する当事者双方の認識が大きく異なっているということも珍しくありません。
極端な話、お互いが、相手が信号無視をした結果、事故が起きたと認識している場合さえあります。
このような場合、当然ながら、お互い考える過失割合は大きく異なりますので、過失割合に関して、揉めることになります。
過失割合について揉めやすい4つのパターン
①交通事故に関する証拠が不足している
過失割合を決めるためには、前提となる事故状況を確定する必要があります。
しかし、上述したとおり、当事者それぞれが認識する事故状況が大きく異なることもありますので、事故に関する証拠が不足していると、前提となる事故状況を確定することが困難です。
そのため、事故に関する証拠が不足している場合には、過失割合に関して争いが生じやすくなります。
証拠が無い場合の対処法
普段からドライブレコーダーを設置して、そのデータが保存されるように整えておくことが一番ですが、ドライブレコーダーを設置していない(または、ドライブレコーダーのデータが保存できていない)状況で、事故が起きることもあり得ます。
この場合には、まずは目撃者がいないかを確認しましょう。
その方が協力をしてくれるのであれば、目撃者の証言が一つの証拠になります。
また、事故が起きた後に、速やかに警察を呼んだ上で、具体的な事故状況を説明するということが重要といえます。
警察は、聞き取った事情を基に、実況見分調書や物件事故報告書を作成しますが、これが一つの証拠になるためです。
②損害賠償額が大きい
上述したとおり、過失割合は、加害者に請求できる損害賠償額に大きな影響を与えます。
そして、損害賠償額が大きいほど、過失割合が与える影響力が大きくなります。
例えば、損害賠償額が100万円の場合と500万円の場合で比較してみます。
同じ10(被害者)対90(加害者)という過失割合であったとしても、前者における被害者の自己負担額が10万円であるのに対し、後者における被害者の自己負担額は50万円となります。
このように損害賠償額が大きいほど、過失割合が及ぼす影響は大きくなりますので、損害賠償額が大きいほど、過失割合に関して揉めやすくなります。
損害賠償額が大きい場合の対処法
損害賠償額が大きくなりそうな場合には、健康保険等を使用して通院するのが良いでしょう。
健康保険を使用すると、治療費を抑えられ、全体の損害賠償額を低くできる可能性があるためです。
また、自身で加入する人身傷害保険を使用して通院するという方法も考えられます。
これは、人身傷害保険からの支払いに関し、自己の過失分から補填するという考えが取られているためです。
そこで、損害賠償額が大きくなりそうな場合には、人身傷害保険への加入の有無を確認し、加入しているのであれば、人身傷害保険の使用を考えるのが良いでしょう。
③どちらが悪いか判断がしにくい
過失割合を決めるためには、まず、前提となる事実関係(事故状況)を確定する必要がありますが、事故状況が確定したからといって、直ぐに過失割合が決まるわけではありません。
過失割合を決めるためには、その事故状況に関する評価が必要となるためです。
事故状況によっては、回避困難と思われる場合であっても、被害者に過失が認められることがあります。
また、どちらの方が悪いのか直ぐには判断できないような事故も起こり得ます。
このよう場合、お互いの価値観(双方の過失の割合)が一致しませんので、過失割合に関する争いが生じやすくなります。
判断がしにくい場合の対処法
実務上、過失割合は、事故の類型から基本的な過失割合が定められています。
これによりベースを決めることができますので、まずは、どの類型に当てはまる事故なのかを考えるのがよいでしょう。
その上で、その事故特有の事情があるのかを考えて、基本となる過失割合を修正する要素があるか否か、要素があるとして、どの程度変動させるべきかを考えて行くことになります。
お互いの価値観が合わない場合には、基本となる過失割合を定め、その上で修正要素を考えて行くほかありません。
まずは、どの類型の事故なのかを見ていくのが良いでしょう。
④駐車場内での事故
駐車場内では、駐車区画に出入りするために自動車が複雑な動きをしているほか、人が歩いている可能性も十分にあるなど、通常の道路とは異なる注意が求められます。
そのため、駐車場内の事故と言っても様々な状況がある上、通常の道路と異なる考えをしなければならない場合もあります。
しかし、駐車場内での事故に関しては、十分に事例が集まっていないため、具体的な過失割合を決めることが容易ではないという状況があります。
そのため、駐車場内での事故に関しては争いになりやすい傾向にあります。
駐車場内の事故の対処法
事例が十分ではないとしても、駐車場内での事故に関しても、一定の類型があり、それぞれに基本となる過失が定められています。
ベースとなるものがなければ、過失割合に関して決めていくことは難しいでしょうから、駐車場内での事故に関しても、まずは、どの類型に当てはまるのかを考えるのが良いでしょう。
その上で、具体的な自動車の動き、周囲の状況等を踏まえて、過失割合に関する主張を行うのがよいと考えられます。
まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします
交通事故の過失割合で揉めた場合はどうする?
保険会社へ苦情を申し入れる
過失割合は、原則として、双方の協議によって定めることになります。
加害者が保険に加入をしている場合には、その保険会社が窓口になりますが、過失割合に関して揉めた場合には、その窓口になっている担当者に、自身が考える過失割合とその理由を伝えていくということが考えられます。
また、保険会社側の主張が不合理であると考えられる場合には、その理由等を伝えていくべきでしょう。
場合によっては、保険会社が、その主張を踏まえて、過失割合を変動させることがありますので、保険会社に必要な主張をしていくことが一つの方法といえます。
ADRを利用する
当事者間の話し合いによって解決ができない場合には、第三者を介して話し合いをするということが考えられます。
その方法の一つとして、ADRというものがあります。
ADRというのは、裁判外での紛争解決方法ですが、交通事故の場合、交通事故紛争処理センターや日弁連交通事故相談センター、そんぽADRセンターといったものがありますので、これらを活用して過失割合に関して協議を行うということが考えられます。
調停や裁判で解決する
過失割合に関して、解決ができない場合には、裁判所を活用するということも考えられます。
裁判所を活用する方法としては、裁判と調停という手段が考えられます。
まず、裁判は、双方の主張と証拠に基づく判決によって解決する手段です。
裁判の場合、裁判官が過失割合を決めてくれますので、過失割合に関する争いが激しい場合には、裁判を選択するのが良いでしょう。
また、裁判を避けたいという場合には、調停という方法もあります。
調停は、裁判所における話し合いによる解決手段ですので、裁判と比較すると解決手段としては弱いものにはなります。
もっとも、裁判所が仲介をしてくれますので、それによって過失割合を決められる可能性があります。
妥協案として片側賠償を提案する
過失割合を決める究極的目的は、賠償賠償額を決めることにあります。
極論、過失割合の合意ができなくても、双方が支払う金額を決めることができれば、それで交通事故を解決することができますので、妥協案を提示して解決するという方法も考えられます。
妥協案の一つとして考えられるのは片側賠償というものです。
これは、被害者にも一定の過失割合を付けるものの、被害者が加害者に支払う金額を0円にするというものです。
例えば、過失割合に関して被害者が10対90と主張し、加害者が20対80と主張しているとします。
この場合に、加害者が被害者に80%を賠償するものの、被害者の加害者への支払いを0円にするというのが片側賠償です。
これによって、双方が譲歩している形になりますので、過失割合に関して、合意ができない場合には、片側賠償を提案するというのも一つの方法です。
弁護士に相談・依頼する
過失割合に関して解決できない場合には、弁護士に相談・依頼するという方法も考えられます。
弁護士は、事故状況を確定するための一定の資料を取得することが出来ます。
また、過去の裁判例等の調査も行いますので、お聞きした情報を基にして適切な主張を展開することができます。
このように弁護士は、具体的な根拠や理由を適示しつつ、過失割合の交渉を行いますので、ご本人で交渉するよりも解決できる可能性が高まるといえるでしょう。
交通事故の過失割合について揉めた場合は、お早めに弁護士にご相談ください
ここでは、過失割合に関してご説明をいたしました。
過失割合は、まず前提となる事故状況を確定し、その事故状況に関する評価を行うというプロセスを経ることになります。
弁護士であれば、事故状況を確定するための一定の資料を取得したり、事故状況の評価にかかる資料(裁判例等)の調査をすることができます。
そのため、弁護士は、説得力のある適切な主張を行うことができると考えられます。
過失割合に関して、お困りのことがあれば、ぜひ弁護士にご相談ください。
DVが問題視されるようになり、法律や行政サービス等も整備されるようになってきましたが、本来DVと評価されるべきでない場合についてもDVと主張される事案が増えてきています。
このようにDVをでっち上げられた場合について、以下ご説明します。
DVをでっち上げられた場合でも離婚は成立してしまうのか?
協議離婚と調停離婚の場合には、離婚について当事者が合意することが必要となります。
そのため、DVを理由として離婚を求められたとしても、合意さえしなければ、離婚は成立しません。
一方、裁判離婚は、離婚事由(民法770条第1項各号)がある場合には、判決により離婚が認められてしまいます。
DV自体は同条項第5号「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当しますので、でっち上げられたDVが事実として認定されてしまえば、離婚が成立する可能性はあります。
DVをでっち上げられたときの対処法
DVをでっち上げる理由を把握する
相手方がDVをでっち上げて主張する場合には、相手方は強く離婚をすることを希望していると思われます。
つまり、DVをでっち上げてまで離婚したい理由があるのです。
それは、単に性格の不一致である可能性もありますが、相手方に何らかの有責性(例えば不貞行為)がある可能性もあります。
DVをでっち上げられた場合には、相手方の主張の具体的内容を把握し、その事実関係に心当たりがなければ、冷静に、その理由を検討して、必要があれば証拠の収集をすることをお勧めします。
DVが虚偽であることを主張する
DVをでっち上げて主張された場合、その事実がないこと、虚偽であることはしっかり主張するべきです。
特に、裁判離婚では、DVの事実があると認められてしまった場合には、有責配偶者として離婚が成立してしまい、場合によっては慰謝料の支払いを命じられる可能性があります。
そのため、DVの事実が存在しないのであれば、しっかりとその旨を主張するべきです。
離婚不受理届を出す
DVをでっち上げられている場合には、相手方の離婚の意思が強いと考えられるため、場合によっては相手方が勝手に離婚届を提出してしまう場合があります。
そのような事態を防ぐために、離婚届不受理届を提出しておくことをお勧めしします。
離婚届不受理届は、予め市役所等に届出ておけば、離婚届が受理されないようにする手続のことです(戸籍法27条の2第3項)。
あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います
DVの冤罪は名誉毀損で相手方に慰謝料請求できるか?
事実無根のDVを主張されることは、腹立たしいことですが、名誉棄損であるとして損害賠償(慰謝料)請求をするためには、相手方がDVを「公然と」主張し、それにより社会的評価が低下することが必要となります。
「DVをしている人」と見られることは、社会的評価を低下させることは言うまでもありません。問題は「公然と」、すなわち名誉棄損事実が一定範囲に流布されることが必要となります。
しかし、離婚協議の場、離婚調停の場、離婚裁判の場で単にDVを主張しただけでは一定範囲に流布したとは言えないため、損害賠償(慰謝料)請求をすることは困難です。
DVをでっち上げられてお困りの場合は弁護士に相談してみましょう
相手方の主張する事実が存在しないことを争っていくことは、なかなか難しいことです。
特にDVという家庭内の事情については、証拠が残っているわけではありません。
裁判では、DVを主張する側に立証責任がありますが、裁判所にDVがある等という判断をされないようにするために、主張されている側としても反論をする必要があります。
この反論は、単に「DVをしていない」と否定するだけではなく、相手方の主張の矛盾を指摘する等も必要となるため、法律の素人では、難しいこともあるでしょう。
まずは、弁護士に相談することをお勧めします。
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保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:45721)