亡くなった人が連帯保証人だった場合の相続

コラム

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善

監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士

相続をきっかけに、故人に借金があることや故人が借金の連帯保証人になっていたことが判明することは、少なくありません。

以下では、「亡くなった人が連帯保証人になっていた場合の相続」について、複雑になりがちな法律関係を整理するとともに、具体的な事例とともに説明していきたいと思います。

亡くなった人が連帯保証人だった場合の相続はどうなる?

被相続人の死亡により、被相続人に属していた一切の権利義務は相続人に引き継がれます(民法896条)。

この一切の権利義務には、預貯金や不動産などの積極財産だけでなく、借金などの消極財産も含まれます

そのため、亡くなった人が連帯保証人になっていた場合、被相続人の連帯保証人としての地位についても相続人に引き継がれます。

連帯保証人の債務負担の相続割合は?

連帯保証人になっていた被相続人を相続により引き継いだ相続人は、相続人それぞれの法定相続分の割合に応じて、連帯保証人としての地位に基づく債務についても引き継ぐことになります

連帯保証人になっていた夫Aが亡くなり、相続人として妻Bと2人の子CとDが相続人であるような場合を考えてみましょう。この場合、法定相続分は、Bが2分の1、CとDがそれぞれ4分の1ずつになります(民法899条、900条)。

そのため、被相続人の連帯保証人としての地位に基づく債務についても、Bが2分の1、CとDがそれぞれ4分の1ずつの割合で負担することになります。

相続人の中に債務者がいる場合

相続人の中に連帯保証をしている債務の債務者がいる場合、相続人は相続開始以前からの債務者としての地位と相続により引き継いだ連帯保証人としての地位の両方を有していると考えられます。

仮にそのような相続人が相続放棄をした場合、連帯保証人としての地位を相続することはなくなりますが、相続開始以前からの債務者としての地位についてまで失われるものではありません。

子の借金の連帯保証人になっていた父親Aが亡くなり、相続人は子Bのみである場合を考えてみましょう。

Bは、相続放棄をすることによって連帯保証人としての地位を相続することはなくなりますが、B自身の借金についてまで責任を負わなくなるものではありません。

相続開始後に発生した債務は?

連帯保証は、主たる債務について保証するものです。そのため、連帯保証人が亡くなり、相続開始後に発生した債務であっても、相続人が法定相続分に応じた債務について責任を負う場合があります。

しかし、被相続人の連帯保証契約が、個人根保証契約(民法465条の2以下)である場合には、相続人は相続開始後に発生した債務について責任を負うものではありません。

個人根保証契約においては、主たる債務者または保証人が亡くなることが、主たる債務の元本の確定事由になっているからです(民法465条の4第1項第3号)。

そのため、連帯保証契約が個人根保証契約である場合、相続人は、連帯保証人である被相続人が亡くなった時点で生じていた債務に限り、責任を負うことになります。

連帯保証の時効について

連帯保証債務について、消滅時効が完成している場合には消滅時効を援用することによって、債務を免れることができます

消滅時効が完成するまでの期間は、連帯保証契約が成立した日が令和2年4月1月以降であれば、債権者が権利を行使できることを知ったときから5年、または、権利を行使することができるときから10年です。

また、連帯保証契約が成立した日が令和2年3月31日以前であれば、権利を行使することができるときから10年になります。

相続放棄をすれば連帯保証人にならずに済む

相続放棄をした者は、その相続に関してはじめから相続人ではなかったものとみなされます(939条)。

連帯保証人である被相続人の相続人が相続放棄をした場合、相続人は被相続人の権利義務を引き継ぐことはなくなり、連帯保証人として地位や責任を負うことはなくなります。

相続放棄については、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、相続放棄をする旨を家庭裁判所に申述することによって行います(民法915条1項、938条)。

連帯保証人の地位は他の相続人に引き継がれる?

連帯保証人の相続人が相続放棄をした場合には、連帯保証人としての地位や責任を負うことがなくなるのは上記のとおりです。

では、連帯保証人の相続人が複数いる場合に一部の相続人のみが相続放棄をした場合はどうなるのでしょうか。

連帯保証人になっていた父親が亡くなり、相続人は子A・Bの2人のみである場合を考えてみましょう。

このような場合にAが相続放棄をするとBのみが相続人となるため、連帯保証人としての地位や責任についてもBのみが負うことになります。

連帯保証人であることを知らなかった場合の対処法

相続放棄については、相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に、相続放棄をする旨を家庭裁判所に申述することによって行わなければなりません。

それでは、被相続人が連帯保証人であることについて知らないまま、被相続人が亡くなってから3か月が経過してしまった場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

このような場合については、速やかに一度弁護士までご相談ください。被相続人が亡くなってから3か月が経過していても例外的に相続放棄をできる場合があります。

相続人が亡くなった人の連帯保証人だった場合

相続人が被相続人の連帯保証人になっていた場合、相続人は、被相続人の債務者としての地位を相続により引き継ぐことになります。

一方で、相続人は、相続開始前から連帯保証人としての地位を有しています。

このような場合、相続人は、相続により引き継いだ債務者としての地位と相続開始以前からの連帯保証人としての地位の両方を持っていると考えられます。

仮にそのような相続人が相続放棄をした場合、債務者としての地位を引き継ぐことはなくなりますが、連帯保証人としての地位についてまで失われるものではないため、連帯保証人としての地位や責任について、負わなければなりません。

ただ、被相続人に相続人が連帯保証している債務以外にも多額の債務があるような場合については、相続放棄をするメリットがあるように思われます

この場合は相続放棄できないことに注意が必要

①相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき、②相続の開始があったことを知ったときから3か月以内に限定承認または相続の放棄をしなかったとき、③相続財産の全部または一部について、その所在を相続債権者にわからなくする(隠匿)、ひそかにこれを消費する、悪意で相続財産の目録に記載しないなどの相続債権者に対する背信行為がある場合には、相続人は、当該相続について、単純承認したものとみなされ、相続放棄をすることはできなくなります(民法921条)。

相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします

相続問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
相続問題の経験豊富な弁護士にお任せください

連帯保証人の相続は弁護士にご相談ください

連帯保証人の相続については、相続人の中に債務者がいる場合や相続人の一部が相続放棄をする場合なども考えられ、法律関係が複雑になりがちです。

このような場合に、相続による不測の不利益を回避するためには専門的な知識が求められます

また、弁護士にご依頼いただくことで、身近な方が亡くなっている中で、相続に関するご依頼者の方の負担を減らすことが可能です。

そのため、亡くなった人が連帯保証人になっていた場合の相続について、どのように対処すれば良いのか分からないときには、まずは是非一度、弁護士法人ALG&Associatesにご相談ください。

交通事故で被害に遭われた場合、加害者に対して治療費や慰謝料等の損害賠償を請求することができます。この賠償請求は、まず、加害者と交渉(示談交渉)して行うのが通常です。

この示談交渉は自分で行うこともできますし、弁護士を代理人に選任して請求を行うこともできます。

以下では、示談交渉を自力で行うことのメリット・デメリット、自力で行う場合のポイントなどを説明していきます。

自分で交通事故の示談交渉をするメリットとデメリット

メリット

示談交渉を弁護士に依頼する義務はないので被害者自身で交渉を行うことは可能です。

弁護士を代理人として選任して示談交渉を行う場合は、その費用がかかりますが、示談交渉を自身で行えば、その費用はかかりませんので、その分加害者から得られた賠償額が多く自身の手元に残るというメリットがあるといえます。

もっとも、弁護士に示談交渉を依頼すれば、後述のとおり、得られる賠償額自体が大きくなり、弁護士費用を差し引いても手元に残る額が自身で示談交渉を行う場合よりも大きくなる可能性があります。

デメリット

交通事故の示談交渉を自力で行う場合、まずは、治療費・通院費・休業損害・慰謝料等の項目ごとに額を計算した上で、過失割合や既払いの額も考慮して、請求する額を算定する必要があります。

また、請求額を提示した後は、示談交渉のノウハウを有する保険会社を相手に交渉を行い、最終的に支払われる賠償を確定することになります。

この交渉を適切に行うためには、証拠や専門的知識や経験を要しますが、通常、被害者には、必要な証拠を選択・収集した上で、相手方保険会社と対等かつ適切に交渉を行う知識や経験はありません。

また、このような証拠収集や交渉を自身で行うことは、被害者にとって、精神的にも時間的にも大きな負担となります。

結果として、相手方保険会社と対等かつ適切に交渉を行うことができず、得られる賠償額が少なくなってしまう可能性が高いと考えられます。

弁護士費用を差し引いても、弁護士に依頼した方が、手元に残る賠償金の額が大きくなる可能性さえあることは上記のとおりです。

自力で示談交渉したい場合のポイントと注意点

被該者が自身で相手方保険会社と適切に示談交渉を行うことが容易でないことは上記のとおりですが、それでも自身で示談交渉を行う場合のポイント・注意点は以下の通りです。

まずは、治療が終了し、後遺障害認定申請の結果が出て、賠償請求する額が確定してから、治療費・通院のための交通費・休業損害・後遺障害、過失割合等に関する資料を収集した上で、損害額を正確に算定してください。

算定にはいくつかの方法がありますが、弁護士基準を用いると、最も損害額を大きくすることができることがほとんどです。

損害額を算定したら、当該資料や算定額を基に、相手方保険会社との間で、最終的に支払われる額についての交渉を行うことになります。

その際は、収集した資料や法的理論を根拠に相手方保険会社の主張する賠償額よりも自己の主張する額が正当であると主張する必要があります。

また、双方の主張に隔たりが大きい場合、裁判で争う費用や労力、敗訴のリスクを考慮して、賠償額についてある程度譲歩することが適切な場合もあります。

保険会社の示談交渉サービスはどうなの?

任意の自動車保険に加入されている場合、当該保険会社の示談交渉サービスを利用することが考えられます。

このサービスを利用すると、保険会社の担当者が事故の相手方と交渉してくれますので、自ら交渉する時間的・精神的負担を負わずに済みます。

また、保険会社の担当者は、交通事故の示談交渉について、一定の知識と経験を有するため、ご自身で行うよりも適切に交渉を行ってもらえることも期待できます。

もっとも、当該サービスは、こちらに過失がない場合には利用することができません

また、弁護士と比べると、専門的知識がなく、また、交渉が決裂した後の訴訟に関する経験がないため、弁護士に依頼する場合より、最終的に支払われる賠償額が少なくなる可能性が高いといえます。

示談交渉を弁護士に依頼すると費用はどれくらいかかる?

示談交渉を弁護士に依頼する場合にかかる費用は事務所によりまちまちですが、一般的に、相談料として、30分5000円などとされていることがほとんどです。

相談料につき30分無料、初回無料などとしている事務所もあります。

また、着手金(弁護士が事件に対応するために、契約の際に必要となる費用)や成功報酬(事件が成功に終わった場合に支払うこととなる費用)については、保険会社が参照しているLAC基準が参考になります。

同基準によりますと、⑴着手金について、経済的利益(損害賠償金の額)が①125万円以下の場合、10万円(税抜き。以下同じ)、②125万円を超え、300万円以下の場合、経済的利益の8%、③300万円を超え、3000万円以下の場合、経済的利益の5%+9万円などとなっており、⑵成功報酬としては、経済的利益(損害賠償金の額)が300万円以下の場合、経済的利益の16%、②300万円を超え3000万円以下の場合、経済的利益の10%+18万円などとなっています。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

弁護士に示談交渉を代わってもらうメリット

示談交渉について弁護士に依頼する場合、相談料・着手金(事件が成功に終わった場合は成功報酬)等の費用がかかることはとおりですが、弁護士に示談交渉を依頼した場合、ご自身で資料を収集して損害額を計算し、相手方保険会社と交渉を行う時間的・精神的負担を負わずに済みます。

また、弁護士は後遺障害の認定申請を行う際には、なるべく認定がなされやすいようにサポート行ったり、示談交渉の際には豊富な交渉経験や正確な法的知識を基に、相手方保険会社と適切に賠償額についての交渉を行ったりすることができます。

結果として、最終的に支払われる賠償額が、ご自身で交渉を行う場合よりも多額となり、弁護士費用を差し引いても、手元に残る賠償金の額が多くなる可能性もあります。

弁護士に依頼することにより賠償額の増額が見込める可能性の高い損害項目としては、傷害による慰謝料や後遺症による慰謝料・逸失利益等があります。

示談交渉は弁護士にお任せください

これまで説明してきたとおり、交通事故の示談交渉はご自身でも可能ですが、その交渉は必ずしも容易ではなく、相手方保険会社と適切に交渉を行い、十分な額の賠償を受けることは容易ではありません。

また、当該交渉をご自身で行うことは、時間的・精神的な負担が大きいといえます。

加えて、弁護士を用いて交渉を行った場合、傷害による慰謝料や後遺症による慰謝料・逸失利益等について、ご自身で交渉を行う場合よりも賠償額の増額が見込めるため、結果として、お手元に残る賠償額が多くなることも考えられます

交通事故に遭われてこれから相手方保険会社との示談交渉を行う必要があるものの、ご自身でこれを行うことにつき不安を抱かれている場合は、ぜひ弁護士への相談をご検討ください。

亡くなった方の財産は、相続人が相続します。プラスの財産だけでなくマイナスの財産(いわゆる借金)も相続します。正しく理解しておかなければ、取り返しのつかない損をするおそれがあります。
このページでは、亡くなった方の財産に借金があった場合について解説していきます。

相続財産には借金も含まれる

亡くなった方の相続人は、プラスの財産もマイナスの財産もあわせて、亡くなった方の財産をすべて相続します。

プラスの財産の財産だけを相続して、マイナスの財産のみを相続放棄するといったことはできません。
そのため、プラスの財産ばかりに気を取られ、マイナスの財産に気付かずに相続してしまうと、思わぬ損害を被るおそれがあります。

相続放棄すれば借金は相続しなくてもいい

借金を相続したくないという場合には、期間内に相続放棄の手続きを取る必要があります。

他の相続人との話合いで「プラスの財産もマイナスの財産も取得しない」ということになったとしても、それは相続人間での約束にとどまります。債権者等他の関係者に、「私は相続人間の話し合いで、何も取得しないことになりました」と主張しても、効果がありません。その結果、プラスの財産は取得できず、マイナスの財産のみ相続するという、目も当てられない事態になります。

相続放棄をする場合には、期間内に「家庭裁判所」に「相続放棄の申述」をする必要があります。

相続放棄するメリット

亡くなった方のマイナスの財産を承継しません。これにより、債権者から支払請求があっても、支払いの義務はないと主張できます。

次に、遺産分割協議の必要がなくなります。はじめから相続人ではなかったという扱いになるので、遺産を分ける話合いに参加する必要がなくなります。自分の財産ならともかく、亡くなった方の財産の話合いでの拘束時間から解放されます。

相続放棄するデメリット

プラスの財産を相続できなくなります。はじめから相続人ではなかったという扱いになるので、プラスもマイナスも、亡くなった方の財産を一切取得しません。
また、原則として、相続放棄の撤回はできません。たとえ、「相続放棄後に隠し財産があることが発覚した。」というようなことがあっても、プラスの財産は相続できません。

ほかの相続人とトラブルになる可能性がある

例えば、相続人全員が相続放棄をしたいと考えていた場合、先行して相続放棄をしてしまうと、他の相続人とトラブルになる可能性があります。
というのも、管理しなければならない財産があるような場合、その管理を「まだ相続放棄をしていない相続人」に押し付ける形になってしまうからです。

管理したくもない財産の管理を押し付けられた相続人は、「抜け駆けされたせいで自分が管理しなければならなくなるなんて」と、当然納得いかず、相続放棄した人との感情的な軋轢が生じ得ます。
このように、相続放棄をすることで、他の相続人とトラブルになる可能性があります。

限定承認という方法もある

相続したプラスの財産の範囲内でのみ、マイナスの財産も相続するという、「限定承認」という方法もあります。この点、限定承認の手続きは煩雑ですし、負担が大きくなることから、実際には限定承認はほぼ利用されていません。

限定承認ならトラブルを回避しやすい

限定承認であれば、マイナスの財産は相続されたプラスの財産の範囲内でしか相続しないので、相続人からすると、マイナスの財産が少なければ得が出るかもしれないし、予期せぬ手出しもありません。
また、限定承認には、相続人全員での手続きが必要です。そのため、いかに他の相続人に先行して相続放棄をするかという義務の押し付け合いのような無用なトラブルも避けられます。

ただし、相続人全員が煩雑な手続きに協力してくれるかどうかという点、手続き自体が煩雑という点で、使いづらい制度です。まずは、弁護士に相談することをお勧めします。

相続放棄・限定承認には期限がある

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」という期間内に、家庭裁判所に対し、「相続放棄の申述」「限定承認の申述」をする必要があります。この期間を、「熟慮期間」といいます。

「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月」では短いという場合には、家庭裁判所に対し「熟慮期間伸長の申立て」をする必要があります。熟慮期間内に何の申述もなかった場合、単純承認をしたことになります。

債権者から取り立てを受けた場合の対応は?

熟慮期間中に債権者から請求された場合は、「熟慮期間中であること、相続放棄や限定承認をする可能性があること」を伝え、そのため待ってほしいことを伝えましょう。

単純承認をした後に債権者から請求された場合は、その債権が存在するものであれば、法定相続分に応じて支払う必要があります。相続人間での負債の分担割合は、債権者との関係では主張できず、別途相続人間で話し合うことになります。

相続放棄をした後に債権者から支払いを求められた場合には、相続放棄をしたので支払義務はないという旨を債権者に伝え、支払いを拒絶することになります。

相続財産から借金を返済してしまうと相続放棄ができなくなる

相続財産から借金を返済してしまう方がいます。この場合、単純承認をしたとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります。

相続放棄を行うためには、「遺産には絶対に手を付けない」ということを死守してください。しかし、他方で、実際には医療費関係やら賃料関係やらの支払いを求められることも多いです。どのように対応するのが適切か、弁護士に適宜相談しながら対応することをお勧めします。

借金の相続に関するQ&A

法定相続人全員が相続放棄した場合、借金はどうなりますか?

相続人全員が相続放棄した場合、相続財産を引き継ぐ人がいなくなります。相続財産は、最終的に引き継ぐ人がいない場合は、国庫に帰属します。
相続財産に借金がある場合は、借金を控除して残ったプラスの財産が国庫に引き継がれます。

相続放棄する前に借金があるか調べる方法はありますか?

まず、すべての借金を漏れなく調査する方法はありません。個人からの借入金等についての調査手段がないからです。
金融機関等からの借入れであれば、まとめて調査を行うことができます。ただし、これらの調査には、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍等の必要書類があったり、回答にも相当程度の時間がかかったりするため、早めに調査を開始する必要があります。

借金があることを知らず、相続放棄の期限が過ぎてしまったのですが、相続するしかないのでしょうか?

それぞれの申述ごとに裁判所が判断することになりますが、事情によっては、いつから3か月かという時点が遅くなる可能性があります。ただし、あくまでも可能性ですので、いずれにしても早期の調査を行い、必要であれば熟慮期間の伸長の手続きを行うことをお勧めします。
何もせずに被相続人の死亡から3か月経ってしまったという場合には、弁護士にご相談ください。

相続後に借金が発覚したのですが、相続放棄はできますか?

すでに遺産を処分するなどしてしまった場合には、その後に借金が発覚したとしても相続放棄はできません。
そのため、遺産を処分するときには、「今後借金が発覚しても、もう相続放棄できない。」という心構えで処分してください。

亡くなってから4ヶ月ほどたった頃に債権者から連絡があり、借金していたことを知りました。もう相続放棄できないのでしょうか?

債権者から連絡があるまでの間、遺産に手を付けていないのであれば、事情によっては、「借金していたことを知った時点」が熟慮期間の起算点とされる可能性があり、その場合には相続放棄できます。
相続放棄できる可能性があるかどうか、弁護士に相談してみることをお勧めします。

相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします

相続問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
相続問題の経験豊富な弁護士にお任せください

借金の相続についてお困りでしたら、弁護士にご相談ください

借金は、どの被相続人も負っている可能性があります。しかし、被相続人のすべての借金を把握する方法はありません。
また、プラスの財産は、後から見つかっても再度遺産分割をすればよいですが、マイナスの財産の場合、一度相続してしまうとその責任から逃れることはできません。

後になって後悔しないように、まずは弁護士にご相談ください。
ALGでは、相続案件を多く取り扱っておりますので、借金の調査から相続するか否かの手続き、遺産分割協議までフォローできます。是非お気軽にご相談ください。

婚約破棄とは、将来結婚しようという合意を一方的に解消することです。

たとえ婚約しているカップルだとしても、一緒に暮らしていく中で初めてわかることもあり、お互いの家族も含めた考え方に違いがあるということも珍しくありません。

「やっぱり結婚の話は無かったことにしたい。」と婚約を破棄した場合、相手から慰謝料を請求されたら支払わなければならないのでしょうか。

婚約破棄の慰謝料を請求されたら支払わなければならない?

婚約を破棄した側が破棄された側に「お詫び」として一定の金額を渡すということを聞いたことがあるかもしれません。しかし、相手から婚約破棄の慰謝料を請求された場合に必ずしも支払わなければならないわけではありません。

特に、①婚約が成立していると認められない、②婚約破棄に正当な理由がある、③慰謝料請求の時効を迎えている、といったケースでは婚約破棄の慰謝料を支払わなくてもよいと考えられます。

慰謝料を支払わなくてもいいケース

婚約が成立していると認められない

そもそも婚約が成立していると認められない場合には、慰謝料を支払わなくてもよいと考えられます。婚約は、将来結婚しようという合意があれば成立します。婚約の成立には必ずしも結納や婚約指輪の交換などが必要とされるわけではありません。

ただ、結納や婚約指輪の交換などがあった場合には将来結婚しようとする合意が対外的に示されているといえ、婚約の成立が認められやすい傾向にあります。

婚約破棄に正当な理由がある

婚約破棄に正当な理由がある場合には、慰謝料を支払わなくてもよいと考えられます。正当な理由がある場合とは、例えば、相手が他の者と不貞行為に及んでいることや暴力、相手に多額の借金があることがわかった場合などが考えられます。

一方、性格の不一致、容姿に対する不満、親の反対などのみでは正当な理由にはならないと考えられています。

慰謝料請求の時効を迎えている

慰謝料請求の時効を迎えている場合には、慰謝料を支払わなくてもよいと考えられます。時効が成立するために必要な期間は、慰謝料請求を債務不履行に基づいて行うのか、不法行為に基づいて行うのかによって異なります。

慰謝料請求が債務不履行によるものであれば婚約を破棄したときから5年、不法行為によるものであれば婚約を破棄したときから3年が経過すると時効が成立する可能性があります。

婚約破棄の慰謝料相場はどれくらい?

婚約破棄の慰謝料相場は、30万円から300万円程度と言われています。ただ、この金額はあくまで一応の目安です。具体的な金額については、暴力、他の者との交際・不貞の有無、婚約(交際)期間の長さ、妊娠・出産があったかどうか、結婚に向けて支出した費用の多寡などによって異なります。

請求された金額が妥当なのかわからない場合、どうしたらいい?

請求された金額が妥当なのかわからない場合にはどうしてその金額なのかを相手から聞き出すようにしてください。そのうえで相手の言い分に疑問を感じる場合や納得することができない場合には弁護士に相談されることをお勧めします。

慰謝料の請求額を減額する条件とは

上記のとおり、慰謝料の具体的な金額は、暴力、他の者との交際・不貞の有無、婚約(交際)期間の長さ、妊娠・出産があったかどうか、結婚に向けて支出した費用の多寡などによって異なります。

そのため、交際期間が短いことや破棄された側に他の者との交際があったことなど、こちらにとって有利な事情がある場合にはそれらを相手に伝え、慰謝料の減額を求めるべきです。

婚約破棄の慰謝料を請求された場合の対応

支払い義務があるかどうか確認する

婚約破棄の慰謝料を請求された場合には支払い義務があるかどうかを確認しましょう。具体的には、①婚約が成立しているか(例:いつ頃、どのように約束したのか)、②婚約破棄に正当な理由がないか(例:相手の暴力や浮気の有無)、③慰謝料請求について時効を迎えていないか(例:破棄したのはいつ頃か)の3点について、事実関係を確認しましょう。

無視は厳禁、連絡を取る

婚約破棄の慰謝料を請求された場合には無視せず、相手と連絡を取るようにしましょう。

相手からの連絡を無視し、裁判所からの連絡についても無視を続けていると、たとえご自身の認識と異なっていたとしても裁判において相手の言い分どおりの判決がされ、財産を差し押さえられてしまう可能性があります。

そうならないためにも慰謝料を請求された場合には無視せず、こちらの言い分については相手や裁判所に対しにきちんと伝えるようにしましょう。

婚約破棄の慰謝料請求に関する解決事例

婚約破棄の慰謝料の減額に成功した事例

相手方が、依頼者が不当に婚約を破棄したとして80万円の慰謝料を請求してきた事案において、当法人が依頼者を代理して訴訟追行し、勝訴的和解(10万円を支払い)で解決をしました。

本事案においては、当法人は、婚約が成立していないとして争い、損害賠償請求が認められない前提で、接触禁止の合意をすることを目的として10万円という低額の解決金の支払いで紛争を解決しました。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います

離婚問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
離婚問題の経験豊富な弁護士にお任せください

婚約破棄の慰謝料を請求されたら、弁護士にご相談ください

婚約破棄の慰謝料については、そもそも支払わなくてもよいケースや支払わなければならない場合であってもその具体的な金額がわからないことがあり、専門的な知識や経験が求められます。そのため、婚約破棄の慰謝料を請求された場合には、弁護士に相談することをお勧めします。

また、弁護士に対応をご依頼いただくことで、婚約を破棄した相手と直接やり取りをする必要がなくなり、精神的な負担も大きく減らすことができます。

そのため、婚約破棄の慰謝料を請求された場合に、その解決方法が分からないときには、まずは是非一度、弁護士法人ALG&Associatesにご相談ください。

交通事故に遭われた方の症状として多くあるのが、むちうち症状です。
むちうち症状が残られた方は、普段の生活でも支障があり、なかなか大変な生活を強いられることもあるかと思います。

骨折などのように、症状が第三者に分かりやすい怪我とは異なり、自覚症状しか認められない場合もあるため、賠償について思うような賠償が得られないケースも少なくありません。しっかりと、賠償を受けるためにも、むちうち症状に対する賠償について理解を深めましょう。

ここでは、むちうち症状における相手側から受けるべき賠償のうち、大きな比重を占めることが多い慰謝料について説明をさせていただきます。
では、慰謝料としてどのような請求ができるのでしょうか。これから、具体的に解説していきたいと思います。

むちうちで請求できる慰謝料は2種類ある

むちうち症状の場合でも、請求できる慰謝料には、大きく2種類あります。

一つは、傷害慰謝料です。これは、交通事故による怪我で入院や通院を余儀なくされたことに対する慰謝料です。傷害慰謝料は、交通事故の態様、怪我の程度、入通院期間、入通院頻度などにより定まってきます。

もう一つは、後遺障害慰謝料です。これは、主に、入通院期間を経ても残存する症状について、後遺障害に該当する場合に認められる慰謝料です。金額は、後遺障害等級1級から14級によって請求額が変わってきます。

むちうちの慰謝料相場

慰謝料の相場は、どのような基準を用いて算定するのか、どの程度の入通院期間を要したのか、どのような後遺障害に該当するのか、によって変わってきます。

きっちりと慰謝料の請求をしていく際には、慰謝料の算定基準や目安などを知っておくことが重要です。
以下では、場合に分けて、慰謝料の算定基準や目安について、説明していきます。

通院のみの場合の傷害慰謝料相場

まずは、通院のみの場合の傷害慰謝料について、説明していきます。

通院のみの傷害慰謝料は、自賠責基準と弁護士基準によって、異なってきます。自賠責基準では、最低限の補償となりますので、低額となります。他方で、弁護士基準で慰謝料を算定した場合には、裁判例を用いて計算し、自賠責基準よりも多額の慰謝料額となることが多いです。

慰謝料は、通院期間や通院日数をもとに計算をしていきます。
どの程度の期間でどの程度の慰謝料が認められるのか、相場をまとめましたので、参照ください。

月10日通院した場合の慰謝料相場

通院期間 自賠責基準 弁護士基準
1ヶ月 8万6000円 28万円/19万円
2ヶ月 17万2000円 52万円/36万円
3ヶ月 25万8000円 73万円/53万円
4ヶ月 34万4000円 90万円/67万円
5ヶ月 43万円 105万円/79万円
6ヶ月 51万6000円 116万円/89万円

入院した場合は金額が上がる

交通事故の態様によっては、入院をしなければならない場合もあるかと思います。先に説明しましたように、傷害慰謝料は、入通院を余儀なくされたことに対する慰謝料ですので、入院をしなければならない場合には、通院だけの場合と比べると、負担が大きくなってきます。

このため、入院をした場合の慰謝料は、通院のみの場合に比べて、慰謝料の額は、高い傾向にあります。
具体的な金額については、入院期間や通院期間も踏まえた、少し複雑な計算が必要となってきます。

後遺障害が残った場合の慰謝料相場

それでは、傷害慰謝料の他に、後遺障害認定された場合の慰謝料は、どのような金額になるのでしょうか。

後遺障害慰謝料も自賠責基準により算出するのか、弁護士基準により算出するのかによって大きく変わってきます。また、後遺傷害等級は、低い等級で14級、高い等級で1級です。14級から上の等級にいくにつれて、慰謝料の金額は、高額となります。

むち打ち症の場合に後遺障害等級は、12級13号、14級9号が多いです。それぞれの後遺障害に該当する場合の自賠責基準による慰謝料、弁護士基準による慰謝料は、以下のとおりです。

後遺障害が認定された場合の慰謝料相場

後遺障害等級 自賠責基準 弁護士基準
12級13号 94万円 290万円
14級9号 32万円 110万円

むちうちの入通院慰謝料を計算する方法

通院期間90日(3か月)、通院をした日数を30日、入院無し、他覚所見無しの場合を例に、慰謝料の計算方法を具体的にみていきましょう。

自賠責基準

自賠責基準による慰謝料は、1日4300円として対象となる期間をもとに算出します。
対象となる期間は、通院期間と通院日数を2倍にした日数の少ない方となります。

今回のケースでの対象となる期間は、通院期間90日と通院をした日数30日×2を比較して、通院した日数30日×2の60日の方が少ないので、60日が対象となる期間です。
上記の慰謝料算定基準により、慰謝料額を算出すると
4300円×60日=25万8000円
となります。

弁護士基準

それでは、弁護士基準により慰謝料を算出した場合、自賠責基準により算出した慰謝料とどの程度異なってくるのでしょうか。

弁護士基準により算出する場合は、事故の態様などにもよりますが、「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(日弁連交通事故センター東京支部編)(赤い本のため、「赤本」と呼ばれています。)上巻に記載されている表に、通院期間をあてはめて算出します。

慰謝料の基準には、別表Ⅰという基準と別表Ⅱという2つの基準がありますが、むちうち症状の場合には、別表Ⅱを用います。
3か月の通院期間をもとに赤本別表Ⅱを参照すると、53万円です。

主婦の場合でも慰謝料は受け取れる?相場に違いはある?

主婦の方でも、傷害慰謝料や後遺障害慰謝料をもらえるのか?とご不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、そのようにご心配に思われる必要はありません。
主婦の方であっても、入通院による傷害慰謝料を請求することはできますし、後遺障害が認定されれば後遺障害慰謝料を請求することも出来ます。

それでは、主婦であるために、前述の相場とは異なる基準を用いるということはあるのでしょうか。これも、そのように心配される必要はありません。
主婦の方であっても、交通事故による怪我のために入通院を余儀なくされた場合の精神的損害や後遺障害が出た場合の後遺障害慰謝料を、主婦以外の方を区別する理由はないのです。

適正な入通院慰謝料には適切な通院が重要

では、毎日のように頻繁に通院をしたり、できる限り長期間入通院をしていれば、慰謝料として請求できる金額が、増えるのではないか?と考えられる方もおられるかもしれません。

しかし、実際には、毎日のように入通院をしていた場合には、相手保険会社が治療費の支払いをしていても早期の治療期間で治療費の支払いの打ち切りをされてしまい、打ち切り時点までの期間をもとに慰謝料を算定することになる場合もありますし、他方で、長期の入通院をしていても、実際に通院をした日数が極端に少ない場合には、単純に入通院期間をもとに算出するよりも、低額な慰謝料となってしまいます。

このように、毎日にように通院をしたり、極端に通院する日数が少ない場合には、適切な傷害慰謝料を獲得するには、症状に応じた適切な通院頻度で通うことが必要となりますので、注意が必要です。

弁護士の交渉によりむちうちの慰謝料などを大幅に増額できた事例

弁護士の交渉により慰謝料を大幅に増額出来た事例をご紹介します。
半年程度通院されて後遺障害14級9号を獲得した後に、相手保険会社からの示談金の支払いの提示がされた後に、ご依頼いただいたお客様がおられました。

相手保険会社からの提示額に対して、それなりの金額と考えられていたようでしたが、具体的な内訳をみると、傷害慰謝料や後遺障害慰謝料について、自賠責基準をもとにした金額での提示でした。
弁護士の介入により、弁護士基準により算出した傷害慰謝料や後遺障害慰謝料を基準として示談金の算出をすべきことを訴えると、交渉により、100万円以上の増額をすることができました。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

交通事故によるむちうちの慰謝料請求は弁護士にお任せください

むちうち症状は、なかなか、第三者には伝わりにくい症状ですが、それでも、これまでご説明しましたように、きっちりとした金額を請求できます。

適正な慰謝料獲得のための適正な通院については、事故の状況や症状の程度などによりますので、一概にはご説明しきれませんが、交通事故に遭われて、通院の仕方が適切なのかどうかわからない、という方は、一度、弁護士のご相談ください。

また、入通院終了した後でも、弁護士に依頼していない方に対しては、どうしても、弁護士基準により算出した慰謝料額を目安とした交渉に応じて来ない保険会社がほとんどです。そのため、入通院を終了した後でも、増額交渉などで、ご協力できることはたくさんあるかと思います。

そのため、入通院を終了された後でも、適正な賠償を得るためには、ぜひともお気軽にご相談ください。

身近な人が亡くなって、その人の遺産を親族間で分けなければならなくなった際、問題になりやすいのが不動産です。

というのも、不動産は、立地によっては価格が高額になることも多いですが、逆に誰も買い手がつかず固定資産税や手入れの手間だけがかかるようなことも出てきます。また、そもそも適正な価格を算定すること自体が困難ですし、現金ではないのでどうやって分けるかという問題も出てきます。

登記等の煩雑な手続きも待っています。
以上のような理由から、遺産分割において不動産の分割は問題となることが多いといえます。
それでは、不動産はどのように分ければ良いのでしょうか。これから詳しく見ていきましょう。

相続した不動産はどうやって分ければ良いの?

相続した不動産の分け方については、法律に従い、以下の優先順位で確認していくことになります。

遺言書があるなら内容を確認しましょう

亡くなった人の財産は、原則的にはその財産を残した被相続人の意思が記された遺言書の内容に従って相続されるべきと考えられています。
そのため、まずは遺言書があるかどうかと、遺言書に何が書かれているかを確認しましょう。

ただ、遺言書は、形式が重要です。形式が守られていない遺言書に法的効力はありません。
また、自筆で作成された遺言書を自宅で管理していた場合、開封時に家庭裁判所の検認手続きをする必要があります。検認手続きをしないと、遺言書の改ざんを疑われるなど、思いもよらない争いが生じる可能性がありますので、必ず裁判所の検認手続きの中で開封しましょう。

売却・現金化して相続人で分ける(換価分割)

次に、不動産を売却・現金化して相続人で分けるという方法があります。これを換価分割といいます。
換価分割は、不動産を実際に売却するなどしてお金に換えるため、相続人間で公平に分けられるという利点はあります。

ただし、不動産の売却には手間と時間がかかります。そのため、誰が売却を行うのか、売却時期はいつまでにするのか、はじめの売り出し価格や、最低でもこれだけはという売却価格はいくらにするのか等、細やかな話し合いが必要です。また、購入者が現れなかった場合にどうするのかというのも問題となります。

相続人の一人がそのまま相続する(現物分割)

相続人の一人がそのまま相続する方法を、現物分割といいます。
この場合、不動産をお金に換えることなく、共有にすることもなく、形状や性質を変更することなくそのまま一人に相続させます。

遺産分割の原則的な方法は、遺産の形状や性質を変更することなく相続人に受け継がせることができる現物分割です。

相続する人がほかの相続人にお金を払う(代償分割)

一部の相続人に法定相続分を超える額の財産を取得させたうえで、他の相続人に対して代償金を支払わせる方法を、代償分割といいます。

例えば、相続財産が自宅不動産のみの場合、同居していた一人の相続人に相続させたら、法定相続分を超える額の財産を取得させることになります。この場合、他の相続人が相続できるはずの額をもらってしまっていることになりますので、その代償として、代償金の支払いをさせるということです。

ただし、いくら取得させないと家がなくなるとはいえ、同居していた一人の相続人に資力があるとは限りません。そのため、代償分割を行う場合には、代償金を支払う相続人に資力があるかどうかが問題となります。また、代償金の支払時期や支払方法について細やかな話し合いが必要です。

複数の相続人で共有する(共有分割)

遺産の一部又は全部を、具体的相続分によって共有取得する分割方法です。これにより、不動産を相続人間で共有するという状態になります。

共有分割は、手続き上は共有の登記をするだけなので簡単です。ただ、簡単なのはそのときだけ。共有ということは、売る等の処分をするときに全員の同意が必要ですし、共有者が亡くなった場合はその相続人が共有者になってくる等、権利関係が複雑になります。過去、60名以上の署名が必要になった等の事例もあります。そのため、共有分割はあまりお勧めできません。

不動産の相続には名義変更が必要

相続登記はいつまでにやればいい?

2024年4月1日、不動産の相続登記が義務化されます。これにより、正当な理由がある場合を除いて、相続によって不動産を取得したことを知ったときから3年以内に相続登記を行わなければならなくなります。相続登記を怠ると、10万円以下の過料が課せられる恐れがあるため、注意が必要です。

相続登記の義務は、2024年4月1日よりも前に相続が発生していた場合にも課されますので、この点にも注意が必要です。

相続登記に必要な書類

相続登記には、たくさんの書類が必要になります。代表的なものとしては、以下のとおりです。

①登記申請書
②遺言書・遺産分割協議書・調停調書等の謄本
(当該不動産を誰が取得したのかがわかる書類)
③相続人全員の戸籍謄本
④相続関係説明図
⑤不動産の相続人の住民票
⑥不動産の相続人の印鑑証明書
⑦被相続人の戸籍謄本(被相続人の出生から死亡までの全て(すべて揃って、初めて法定相続人すべてが把握できます。))
⑧被相続人の住民票の除票
⑨不動産の固定資産評価証明書
⑩委任状(専門家に登記手続きを依頼する場合)

提出先

相続した不動産の所在地を管轄している法務局に提出します。

不動産の相続時に発生する税金

相続税

相続したとき、相続税がかかります。不動産についても例外ではありません。
不動産の時価額によって相続税がどのくらいかかるのかが変わってきますが、基本的には、基礎控除額を上回る時価額の不動産を相続した場合に、相続税が発生します。

基礎控除の額は、「3000万円+600万円×法定相続人の人数」で決まります。ご自身の場合に当てはめて計算してみましょう。

登録免許税

相続登記にかかる税金です。登録免許税の税率は、不動産の固定資産税評価額の0.4%と決められています。
相続登記は2024年4月1日から義務化されるため、忘れずに行いましょう。

相続したくない不動産はどうすればいい?

「相続土地国庫帰属制度」を知っていますか?相続したくない不動産があり、それが土地である場合、一定の条件を満たせば、相続した土地の所有権を手放して、国に引き取ってもらうことができます。
また、相続したくない不動産以外の財産についても相続しなくてよいという場合は、相続放棄をするのも手でしょう。

さらに、自身が相続したくない不動産でも、他の相続人は欲しがっているかもしれません。その場合には、当該相続人にその不動産を取得させ、別の相続財産をもらうないし代償金をもらうという手もあります。

不動産の相続に関するQ&A

父が亡くなったのですが、不動産の名義人が祖父になっていました。この場合、私たちは相続できないのでしょうか?

祖父が亡くなっている場合、相続することは可能だと考えられます。
まず、今回の状況は、亡くなった方の財産の遺産分割が行われないまま相続人が死亡して次の相続が発生した、いわゆる「数次相続」と言われる状況です。
このような場合には、まず初めに亡くなった方の遺産分割協議を行い、次に、次になくなった方の遺産分割協議を行うことになります。この場合、原則としては、相続登記を2回行う必要があります。
ただし、初めに亡くなった方の相続人が一人であった場合には、中間省略登記を行うことができるため、相続登記は1回で済みます。

相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします

相続問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
相続問題の経験豊富な弁護士にお任せください

不動産の相続は弁護士へ依頼するのがおすすめ

以上のとおり、不動産の相続には書類がたくさん必要で、手続きも煩雑です。
また、資料や情報が入手できても、不動産は高額になることが多いので、相続人間でどのように遺産分割を行うのかについての話合いがまとまらないこともあります。また、義務化される相続登記手続を行うためには、要件を満たした遺産分割協議書の作成が必須です。

これらの手続きは非常に煩雑ですので、円滑に進めるためにも、まずは相続の専門家である弁護士にご相談ください。
特に、弁護士法人ALG&Associatesでは、これまでにもたくさんの相続問題を解決してきておりますので、ぜひ一度お問い合わせください。

交通事故の解決のための一つの方法として、交通事故紛争処理センターを利用することが考えられます。今回は、交通事故紛争処理センターを利用した交通事故の解決について、その手続きの流れやメリット・デメリットなどについてご説明していきます。

交通事故紛争処理センターとは

交通事故紛争処理センターとは、自動車事故の損害賠償について、弁護士が和解のあっせんを行ってくれる公益財団法人です。
交通事故における損害賠償について知識があり、公平中立な弁護士が担当してくれることとなります。
また、和解のあっせんによる和解が成立しなかった場合、審査会による審査を受けることもできます。

交通事故紛争処理センター(ADR)でできること

和解あっせん

担当の弁護士が、とそれぞれの主張を確認した上で、公正中立の立場で、和解のあっせんをしてくれます。3回から5回くらいの回数で終了するケースが多いようです。
当事者が合意できた場合には和解が成立し、事件が解決することとなります。

審査

和解のあっせんによっては合意ができず、和解が成立しなかった場合には、審査会に審査を申し立てることができます。審査会は、合議によって、損害賠償についての裁定を出すこととなり、この裁定内容に被害者が同意する場合には原則として和解が成立することとなります。

交通事故の無料相談

担当してくれる弁護士は、当該紛争についての法律相談を無料で行ってくれます。
担当してくれる弁護士は公正中立な立場で、必要な法律知識や交渉について相談に対応してくれます。

交通事故紛争処理センター利用のメリット・デメリット

交通事故紛争処理センターを利用することにはメリットとデメリットがあります。以下で、詳しくご説明していきます。

メリット

● 申立費用が無料
交通事故紛争処理センターに和解のあっせん等を申し立てるにあたっては申立費用はかかりません。担当する弁護士への相談等についても無料です。

● 期間が短い
多くの場合、3回から5回程度の回数で解決することが多く、訴訟と比べて短期間で解決することが多いといえます。

● 公平公正な機関で信頼性が高い
交通事故紛争処理センターは、公益財団法人であり、公平公正な組織であるといえます。また、知識のある弁護士が和解のあっせんを担当し、審査を担当する審査会も、弁護士に加え、法律学者や裁判官経験者で構成されており、信頼性が高いといえます。

● 弁護士基準ベースの高額の賠償額が見込める
交通事故紛争処理センターによりあっせんされる和解案は、いわゆる弁護士基準をベースとする和解案であるため、弁護士を立てて交渉した場合と同様の和解案を得ることができます。

デメリット

● 依頼できるケースが限られる
全ての交通事故について、交通事故紛争処理センターが利用できるわけではなく、加害者側が自動車以外の場合の事故では、利用ができません。また、まだ治療中の場合や、加害者が任意保険に未加入だったり、どの任意保険に加入しているか不明の場合は利用できません。

● 遅延損害金を請求できない
交通事故紛争処理センターによる解決の場合、遅延損害金を支払ってもらうことはできません。そのため、遅延損害金の支払いを受けたい場合には、訴訟等による解決を図る必要があります。

● 弁護士を変えることができない
原則として、担当する弁護士が変わることはありません。そのため、担当してくれた弁護士と相性が合わないなどと感じても弁護士の変更をさせることはできません。

● 何回も出向く必要がある
解決までに3回から5回程度の回数となることが多いとご説明しましたが、解決するまで、センターの和解あっせんの場に、原則として被害者本人が出席する必要があります。

交通事故紛争処理センターを利用した解決までの流れ

全体的な流れとしては、利用申し込み→担当弁護士による相談→和解のあっせん案の提示→合意又は不調(不成立)といった流れとなります。また、和解が成立せず、あっせん不調となった場合には、審査の申し立てをして審査会の裁定を受けることができます。

➀示談あっせんの申込

基本的な流れとしては、電話による申し込みの後、利用の予約の受付を行い、その後送られてくる利用申込書を記載の上、初回の相談の際に持参し提出することとなります。

➁初回相談

初回相談の際に、必要な資料を提出し、当方の主張等について担当してくれる弁護士に相談することとなります。その後次回の期日を決めます。

➂相談担当弁護士による和解あっせん

双方から必要な情報が聞き取れた段階で、担当弁護士が、和解をあっせんします。担当弁護士は公正中立な立場で和解案を双方に提示することとなります。

➃あっせん案合意

当事者双方が提示された和解案に合意できる場合には、和解が成立します。必要な書面を取り交した上で、合意した和解案の通りの解決を進めていくこととなります。

あっせんが不合意になった場合は審査申立

もしも、和解案について合意に達することができなかった場合、そのまま交通事故紛争処理センターの利用を終了し、訴訟等の別の手段による解決を図ることとするか、それとも同センターの審査会による審査を受けるかを選ぶことができます。

審査会による審査

審査を申し立てた場合、審査会による裁定が出されることになります。その上で、被害者である申立人は、この裁定として出された和解案に同意するかどうかを選択することとなります。保険会社は、この裁定のないようを尊重することとなっているため、原則として、被害者出る申立人が裁定に同意すれば和解が成立します。

裁定でも決まらない場合は

このような審査会による審査によって出された裁定によっても和解を成立させることができない場合、交通事故紛争処理センターによる手続きは終了し、訴訟等による事件の解決を図ることとなります。

物損事故の場合にも交通事故紛争処理センター(ADR)は使えるのか?

物損事故であっても交通事故紛争処理センターを利用することができます。

紛争処理センターを利用し、過失割合や賠償額共に有利にすすめられた解決事例・判例

実際に、交通事故紛争処理センターを利用して、過失割合や賠償額を有利に進めることができた事例をご説明します。
本件は、弁護士が代理人についている事案です。

まず、過失割合について、優先道路上の衝突事故として1対9と考えられる事案について、相手方保険会社は交差点上の中央線が消失していたとして2対8の過失割合を主張していました。しかし、代理人弁護士が、現地調査や刑事記録の精査等を行った上で、各種証拠を提出し、センターの担当弁護士の理解を得て、過失割合は1対9とされました。

さらに、賠償金額についても、代理人弁護士がついているにもかかわらず、それまで弁護士基準を大きく下回る賠償案しか相手方保険会社は提示してこなかったところ、センターの弁護士は、弁護士基準での和解案を提示してくれました。
これによって、被害者側が主張する過失割合で弁護士基準での賠償を受けることができました

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

交通事故紛争処理センターを利用するときでも弁護士にご相談ください

交通事故紛争処理センターを利用する場合でも、代理人の弁護士をつけることが可能です。
代理人の弁護士をつけることによって、弁護士から事案の内容や当方の主張を、より正確にセンターの担当弁護士に伝えることができます。また必要な資料の用意を弁護士に任せることもできます。

これらのことはより有利な和解案を勝ち取ることにもつながるため、交通事故紛争処理センターを利用する場合にも弁護士にご相談ください。

経済的DVとは

配偶者の一方が、他方に対して、活費を渡さない、仕事を制限する等、経済的に他方配偶者を追い詰める行為を指します。精神的DVの一種とも、モラルハラスメントの一種ともされており、分類については、見解が分かれるようです。

後述するとおり、その態様も多岐にわたり、自分がされていることが経済的DVに該当するかも判断しづらいものと思われます。

経済的DVの具体例

経済的DVは、上記のとおり、相手方配偶者を経済的に追い詰める行為を言いますので、金銭関係、就労関係に関する言動がそれにあたります。一般的には、後述するような行為が経済的DVに該当すると言われておりますので、ご参考にしてください

生活費を渡さない・足りない金額しかくれない

収入がある配偶者が、生活に必要な費用の支出に協力しない場合、例えば、働いている夫が、専業主婦の妻に対して、食費や日用品の購入に必要な生活費を一切渡さない、あるいは、渡したとしても、不足する金額しかされないという場合が典型的かと思われます。

もっとも、そもそも、収入が低く家庭全体での収支がマイナスになっている、最終的には生活に支障は出ていない等という場合には、経済的DVと判断されるのは難しいと考えられます。

働けるのに働かない

ご自身の収入だけでは生活をすることができない場合には、家庭生活を営んでいくためには、配偶者にも協力して働いてもらう必要があることも少なくありません。

当然、病気や怪我をしている場合、子供が小さく保育園に預けたいのに保育園に入園できなかったから子供の世話をしなければならない場合等やむを得ず、働けない場合はあると思われます。

しかし、収入が不足している場合に、配偶者が働けない特別な事情がないにもかかわらず、配偶者が頑なに働かないときには、経済的DVと判断される可能性があります。

働かせてくれない・仕事を辞めさせられた

上記の場合とは逆に、ご自身が働きたいと思っているにもかかわらず、配偶者が就労することに強く反対する場合があります。このような配偶者は、他方配偶者に対して経済的に優位に立ち続けることで、家庭内の力関係を有利なものにしたいと考えていると思われます。

このような場合には、働きたい理由、家庭内の役割り分担、働いていないことに対する配偶者の言動等によりますが、経済的DVと判断される場合があると思われます。

自由に使えるお金を渡してくれない

相手方配偶者は、自分の収入から生活費を除いた金額は、自由に使用しているのに、自分は生活費の中から自分のためのものを買うことも許されず、小遣いもないといった場合は、経済的DVにあたると判断される可能性があります。また、生活費が領収書と引き換えの後払い制のような場合も、この類型にあたると思われます。

後者のケースの場合、ひどい時には、領収書の内容次第で生活費としては認めず、浪費だとして領収書を渡してもお金を渡さない場合もあります。

借金を繰り返す・借金を強制される

働いているし、一定額の生活費を渡すものの、ギャンブル、浪費やその他の理由で借金を繰り返し、又は、自分はブラックリストに登録されているため借金ができないことから配偶者の名義で借金をさせようとする場合には、経済的DVにあたると判断される可能性があります。

経済的DVとはいえないケース

上記のような状況にあたるとしても、全てが経済的DVに該当するとは限りません。例えば、以下のような事情がある場合には、経済的DVとは判断されにくいと考えられます。

① そもそも配偶者の収入が少なく、他方配偶者に対して渡している金額以上の生活費を渡すことができない場合
② 配偶者は生活費を渡してくれない又は、配偶者が働かないが、自分に収入があるため生活は苦しくない。
③ 借金をしているものの、生活費を圧迫しない範囲で返済が可能となっている。

経済的DVは離婚の原因として認められるのか

民法上定められた離婚原因は、

① 配偶者に不貞な行為があったとき。
② 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
③ 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき。
④ 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
⑤ その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

の5つになります(民法770条)。

上記に掲げた経済的DVとしての態様は、上記の①~④にピッタリ当てはまるものはありません。強いて申し上げれば、一方配偶者が他方配偶者に対して生活費を渡さない場合には、「②配偶者から悪意で遺棄されたとき」に該当する可能性があります。

なお、この「悪意」とは、婚姻生活を壊すことを意図し、又はそうなってもいいという意思を言い、「遺棄」とは、正当な理由のない夫婦の協力・扶助義務、又は婚姻費用分担義務の不履行と考えられています。

なお、他の態様の経済的DVについては、基本的には、「⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由」として主張していくことになります。

経済的DVで離婚するときに加害者に請求できるもの

経済的DVをされた被害者は、加害者である配偶者にどのような請求をすることができるのでしょうか。以下詳しく解説します。

婚姻費用

まず、離婚をするまでの間の生活費として、婚姻費用を請求することが考えられます。婚姻費用は、経済的DVの有無にかかわらず、収入が高い一方配偶者が、収入の低い(ない)他方配偶者に対して支払い義務が生じるものです。

具体的な金額は、当事者双方の収入の有無及びその金額(働いていない場合には、その働いていない理由)、子供の有無、その人数、年齢、どちらが監護養育しているのか、といった事情によって、どちらがどちらに支払うのかは変動します。

経済的DVの加害者が働いておらず、被害者が働いている場合には、しっかり経済的DVをされたことについて争っていかなければ、被害者が加害者に対して婚姻費用を支払うことになりかねませんのでご注意ください。

慰謝料

経済的DVが上記の「②配偶者から悪意で遺棄されたとき」に該当する場合には、相手方配偶者が有責配偶者となると判断される可能性があるため、慰謝料請求をする余地があります。
この場合、被害者側において、経済的DVがあった事実、経済的DVにより受けた精神的苦痛があったこと等を立証することが必要となります。

また、その金額は、経済的DVの具体的内容、程度、経済的DVを受けていた期間等によって異なります。

経済的DVの証拠になるもの

上記のとおり、経済的DVを受けていたことを理由として慰謝料を請求をするのであれば、経済的DVを受けていたことを被害者側で立証することが必要となります。
ここで経済的DVを受けた証拠として役立つと考えられるのは、例えば以下のようなものになります。

  • 受け取っている生活費では、生活ができないこと、生活が苦しいことを示す家計簿
  • 生活費を支払ってもらっていないことを示す通帳の入出金履歴、メッセージアプリでのやり取り
  • 相手方の借金を証明する借入明細、借用書、借金の返済の履歴
  • 経済的DVのせいで精神科・心療内科への通院をしている場合には、当該病院の診断書

証拠となりうるものは、上記にもありますので、客観的記録として経済的DVを証明する資料についてはしっかり集めていくべきと考えます。

財産分与

経済的DVを受けていたか否かにかかわらず、婚姻中に夫婦で築いた」財産があれば、この半分を財産分与として請求することは可能です。
もっとも、経済的DVの加害者配偶者が生活費以外のお金を全て使い切ってしまっていた場合には、財産分与の対象財産がないことになるため、請求は難しい可能性もあります。

養育費

夫婦の間に子供がおり、ご自身が親権を獲得する場合には、相手方配偶者に対して養育費を請求することは可能です。

具体的な金額は、婚姻費用と同様、当事者双方の収入、子供の人数、年齢といった事情によって変動します。また、仮に相手方配偶者が働いていないとしても、働いていない理由によっては、一定額の収入があるものとして判断してもらうことも可能ですので、しっかり争っていく必要があります。

ただし、実際には働いていない場合には、養育費の回収をすることができない可能性もありますので、ご注意ください。

経済的DVと離婚に関するQ&A

勝手に連帯保証人にされてしまった場合は経済的DVに該当しますか?

勝手に連帯保証人にされた場合には、そのこと自体が経済的DVと判断される可能性はあります。
もっとも、仮に経済的DVと判断されたとしても借金の貸主(債権者)との間では何の効力もないため、別途、債権者に対して、「この保証契約は、本人である自分の意思に基づかないものであるため、無効である。」旨主張して、保証契約を無効とするための行動をする必要があります。
具体的には、債権者に交渉し、交渉で保証契約を無効にできなかった場合には、裁判で争うことも視野に入れなければなりません。

専業主婦で経済的DVを受けているため、収入や貯金がありません。それでも子供の親権はとれますか?

親権の判断において、考慮されるのは親の経済力だけではないため、収入や貯金がないことだけを理由として、親権の獲得を否定されることはありません。
親権の判断において、重視されるのは、これまでの子育ての実績や、子育てを手伝ってくれる親類の有無等これから子供を育てていくための環境が整っているのか、子供の年齢によっては、子供の意思等が重視される傾向にあります。
なお、経済的な面については、離婚時に財産分与を受けたり、離婚後に養育費の支払いを受けたり、行政からの給付金等が考えられるため、収入や貯金がないとしても生活費を賄うことができる可能性は十分あります。

経済的DVの加害者と離婚するために別居を考えていますが、DVシェルターには入れますか?

DVシェルターは、収容人数が限られるため、配偶者から身体的な暴力を振るわれている場合等、心身を守るためにシェルターに入る緊急の必要性がある場合が優先されてしまうため、経済的DVでシェルターに入ることは難しいと考えられます。

給料が下がってしまい生活が苦しい状況で、妻に経済的DVだと言われてしまいました。妻は働けるのに働いていません。これでも私が悪いのでしょうか?

収入が下がってしまったことから生活が苦しくなってしまった場合には、やむを得ず、生活費として渡せる金額が少なくなってしまっているにすぎません。法律は、このような場合にまで、経済的DVを認定することはないと考えます。むしろ、このような場合に働けるのに働かない妻の側が夫婦の扶助協力の義務違反として、経済的DVを主張できる可能性もあります。
しかし、相談者様が低い収入に甘んじて、長期間現状を改善しようとしない場合には、経済的DVと判断されるかどうかは別として、相談者様に非があると判断される可能性は否定できないと考えます。

あなたの離婚のお悩みに弁護士が寄り添います

離婚問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
離婚問題の経験豊富な弁護士にお任せください

経済的DVを理由に離婚を検討しているときは弁護士に相談してみましょう

経済的DVは、当該行為が該当するか否かの判断、用意した証拠が足りているかどうかの判断が難しい事案になります。また、相手方が働いていない場合には、婚姻費用、養育費、財産分与等、経済的DVの有無に寄らず請求しうる項目について、しっかりと争っていかなければ適正な金額を算定できない可能性があります。

そのため、経済的DVを理由として離婚を検討している場合には、専門家の知識が必要となります。離婚に向けて動き出す前に一度弁護士に相談することをお勧めいたします。

人が亡くなったとき、どなたが相続人になるのかは、民法で定められています。この定められた相続人を、「法定相続人」といいます。
では、具体的に、どなたが相続人になるのでしょうか。
法定相続人と、その相続分について、くわしく見ていきましょう。

相続人の範囲 (法定相続人)

まず、配偶者は必ず相続人になります。

被相続人に戸籍上子供がいた場合、その子供も法定相続人となります。
被相続人に戸籍上の子供がいない場合には、直系尊属(被相続人の両親や祖父母)が相続人となります。直系尊属が相続人となる場合、被相続人に近い方から優先して相続人となります。

被相続人に戸籍上の子供も直系尊属もいない(死亡した場合、相続放棄をした場合を含みます。)場合には、被相続人の兄弟姉妹が相続人となります。

このように、配偶者は常に相続人になりますが、それ以外は 戸籍上の子供→直系尊属→兄弟姉妹 の優先順位があり、子供から順に相続人になり、先順位の人がいなければ後順位の人が相続人となります。

具体的には、以下の表のとおりとなります。

相続順位 相続人 相続人が亡くなっている場合
必ず相続人になる 配偶者 ——
第1順位 子 (直系卑属)
第2順位 父母 (直系尊属) 祖父母
第3順位 兄弟姉妹 (傍系血族) 甥姪

配偶者は必ず相続人

死亡した人の配偶者は、必ず相続人になります。これは、民法第890条本文に定められています。
この「配偶者」は、戸籍上の配偶者のみをいいます。内縁関係の妻・夫は含まれません。

第1順位は子

死亡した人の子は、相続人になります。これは、民法第887条1項に定められています。
この「子」は、戸籍上の子をいいます。実子か養子かに関わりません。
他方で、戸籍上の子になっていない、生物学上は子であっても認知等されておらず、戸籍上の子となっていない子は含まれません。この場合には、死後認知訴訟等で、法律上の子となり戸籍上も子となった場合には、相続人になります。

第2順位は親

死亡した人に、戸籍上の子がおらず、又は戸籍上の子が亡くなった場合に代襲する者がいない場合は、直系尊属が相続人になります。これは、民法第889条1項1号に定められています。
直系尊属が相続人となる場合、被相続人に近い方から優先して相続人となります。
具体的に言うと、父母も祖父母も生存している場合、父母だけが相続人となります。

第3順位は兄弟姉妹

死亡した人に、戸籍上の子やその代襲者も、直系尊属もいない場合、被相続人の兄弟姉妹が相続人になります。これは、民法第889条1項2号に定められています。

兄弟姉妹にも次に述べる代襲相続が認められていますが、代襲相続者が相続権を失った場合の再代襲は認められていません。これは、民法第889条2項が民法887条2項のみを準用しており、3項を準用していないことによります。

相続人が亡くなっている場合の代襲相続について

代襲相続(読み:だいしゅうそうぞく)とは、相続人が死亡したときに、その相続権を承継させることをいいます。民法第887条2項本文、民法第889条2項等に定められています。
すでに述べたとおり、子、兄弟姉妹に認められ、子には再代襲相続も認められています。

相続人になれない人

法定相続人に当たる場合でも、次の場合に該当する人は、例外的に相続人になれない人です。
以下で詳しく述べますが、相続放棄をした人、相続放棄をした相続人の子、相続欠格になった人、相続排除された人です。

相続放棄をした相続人の子

相続放棄をした人は、放棄した相続については、はじめから相続人にならなかったものとみなされます。これは、民法第939条に定められています。
はじめから相続人にならなかったものとみなされるので、相続放棄をした相続人の子が、相続人に代わって相続することはできません。そのため、この場合、代襲相続も認められません。

相続欠格になった人

相続欠格事由に該当し、相続欠格になった人は、相続人になれません。欠格事由は、民法第891条各号に定められています。
欠格事由には5つありますが、いずれも相続に関して不当な利益を得ることになるような類型となっています。
その趣旨を踏まえ、当該相続に関して不当な利益を得ることを目的としていない場合に、相続欠格者に当たらないものとした裁判例もあります。

相続廃除された人

虐待等、生前の被相続人に対する著しい非行がある場合には、被相続人が推定相続人から相続権を奪うことを求めることができます。これは、相続人の廃除と呼ばれ、民法第892条、第893条に定められています。
排除の手続きは、家庭裁判所を使う又は遺言によることで行うことができます。

相続人が誰もいない場合はどうなるのか

法定相続人が誰もいない場合には、最終的に遺産は国庫に帰属することになります。これは、民法第959条に定められています。
自身の財産を思い通りに分配したいという場合には、相続人以外にも生前贈与や遺贈ができます。贈与税や相続税が絡んでくるので、専門家に相談するのが望ましいですが、ご自身での財産処分を考えた方が良いと思います。

相続財産の範囲

相続が発生し、実際に法定相続分で遺産を分けるという場合には、被相続人の財産のうち、相続財産の範囲はどこまでか、すなわち相続財産の範囲が重要になります。民法第896条本文では、相続開始時点における被相続人の財産に属した一切の権利義務とされています。以下、くわしく見ていきましょう。

プラスの財産

プラスの財産は、割とわかりやすいかと思います。
例えば、被相続人が生前有していた現金、預貯金、不動産、家財道具、自動車、有価証券、債券など、金銭的価値を有するものは、後述する対象とならないものを除き全て相続財産の範囲に含まれます。

マイナスの財産

マイナスの財産は、有している方はあまり契約書等を保管していることが多くないため、請求を受けない限り発覚しないことも多いかと思います。
例えば、被相続人の借金、買掛金、保証債務、賃貸物件に係る賃料債務、返還義務、原状回復義務など、被相続人が負う義務についても、後述する対象とならないものを除きすべて相続財産の範囲に含まれます。

対象とならないもの

相続人以外への生前贈与や遺贈は、相続財産の対象になりません。
このほか、被相続人の一身専属的な権利・義務とされる年金や生活保護の受給権、身元保証債務、雇用契約における使用者や労働者の地位なども、相続財産の対象になりません。
また、祭祀財産についても、相続財産の対象になりません。これは、純金製の仏壇であってもそうです。

相続する割合 (法定相続分)

被相続人作成に係る遺言書がない場合には、民法で相続する割合が定められています。これを法定相続分といい、民法第890条本文、民法第900条各号に定められています。 以下の表をご参照ください。

相続人 相続する割合
配偶者のみ(890条本文) 配偶者 全て
配偶者と子(900条1号 配偶者 1/2、子(全員で) 1/2
子のみ(900条4号) 子(全員で) 全て
配偶者と親(900条2号) 配偶者2/3、親(全員で)1/3
親のみ(900条4号) 親(全員で)全て
配偶者と兄弟姉妹(900条3号) 配偶者3/4、兄弟姉妹(全員で)1/4
兄弟姉妹のみ(900条4号) 兄弟姉妹(全員で)全て

遺言書の内容が優先されることに注意

被相続人は、遺言によって財産の全部又は一部を処分することができます。これは、民法第964条で定められています。
よく考えてみると、自分の築いてきた財産を自分で処分することができるという当たり前の規定ですが、亡くなってしまうと、法定相続人やら法定相続分やらという、意思を表明しなかった場合の定めがあるため、自分の財産を自分で処分したい場合には、遺言書を作成することが肝要です。

相続が生じた場合、その優先順位としては、①その財産を築いた者が作成した遺言書、②相続人間での合意ができた場合の遺産分割協議、③意思も表示されていないし合意もできていない場合の法定相続分となっています。

相続に強い弁護士があなたをフルサポートいたします

相続問題ご相談受付

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
相続問題の経験豊富な弁護士にお任せください

遺産相続でお困りならば弁護士にご相談ください。相続人や相続財産の確定など豊富な経験と知識でサポートいたします

人が亡くなり、相続が発生した場合、相続人の範囲を確定することや、相続財産の範囲を確定することなど、場合によっては膨大な資料収集が必要となったり、相続人間の恨みつらみなど、積年の感情のもつれから話が進まなくなるなどということが、多く生じます。

この点、ALGでは数多くの相続案件を扱った豊富な経験と知識があります。ご相談いただくことで、資料集めや相手方の対応など、スムーズに行うことも可能になるかと思います。相続でお困りの場合は、ぜひ専門家である弁護士にご相談ください。

交通事故に巻き込まれてしまった際に、今後の治療をどのように受けていったらよいのか、賠償金がいくら支払われるのかといった点が分からず、不安に思われる方も多いと思います。この記事では、弁護士に依頼をするタイミングについて説明していきます。

交通事故で弁護士に相談・依頼するタイミングは?

交通事故に巻き込まれてしまったというのは、人生初の経験という方が大半です。そのため、これからどのような手続きをしないといけないのか、保険会社と何を話し合いすればいいのかといった様々なことに不安を感じる方も多いかと思います。
そのような場面では、弁護士に相談することで、どのように対応すればいいかという点や今後の展開の見通しについてアドバイスを受けることができます。また、交渉を依頼すれば、弁護士に保険会社の対応などを任せることもできます。

弁護士に相談するタイミングと受けられるメリット

交通事故発生から解決までの大まかな流れは、以下のとおりです。

①事故の発生
②傷病の治療(入院または通院)
③治療終了(症状固定)後、後遺障害が残ってしまった場合には後遺障害等級認定申請
④示談交渉
⑤示談が成立しなかった場合は、調停・裁判
⑥解決(示談成立、判決等)

基本的に、解決に至るまでの間であれば、どのタイミングでも弁護士に相談・依頼をすることができます。場面ごとにそれぞれ弁護士を入れるメリットがありますので、最大限、弁護士を活用していくのであれば、事故直後に相談をすることをおすすめします。
以下の項目では、場面ごとに分けて、弁護士を入れることのメリットを説明していきます。

事故直後に相談するメリット

事故直後は、ケガの痛みもまだ強く、特に治療が必要な時期かと思います。集中して治療をしなければならないときに、保険会社と自分で連絡を取らなければならない状態は、心理的・精神的な負担も大きいかと思います。
そのような場合、弁護士に事件を依頼することで、自身は治療に専念できるため、負担を大きく減らすことに繋がります。

また、治療をしていく上で、とにかく多く通院をした方が有利になるというわけではありませんが、少なすぎても慰謝料を減額されてしまうことがあります。この点、どのくらい通院をした方が良いのかという点について、早い段階でアドバイスを受けることができます。

このように、事故直後に弁護士を入れることで、ストレスを減らして必要な治療を受けつつも、最終的な解決を見据えた方針で進めていきやすいため、しっかりと賠償を受けることが実現しやすくなります。

治療中・入院中に相談するメリット

治療中、何らかの事情で転院を交通事故で負った怪我について、その治療の具体的内容は、医師と相談の上決定してもらう必要があります。このとき、弁護士を入れておけば、治療方針を実現できるように保険会社との調整を任せることができます。

さらに、治療をしばらく続けていると、保険会社から治療費の打ち切りを打診されることがあります。そのような場合に、必要に応じて延長交渉を行う際に、その交渉を弁護士に依頼することもできます。

後遺障害等級認定の際に相談するメリット

治療をしばらく続けていくと、症状の改善といった効果が薄くなってくるタイミングがあります。それを症状固定といい、その時点から治療を終了することになりますが、痛みなどが残っている場合には、後遺障害等級申請を検討することになります。

このとき、弁護士に依頼をしていれば、適切な後遺障害等級の認定を目指していくために、後遺障害診断書を医師に作成依頼する段階から、弁護士からの助言を受けることができます。また、弁護士は、申請に対する結果に不服がある場合の異議申立てのサポートも行います。

示談交渉時に相談するメリット

治療も終了し、後遺障害等級も確定すると、最終的な賠償額について示談交渉を行うことになります。このとき、保険会社の担当が提示する金額が妥当な額なのかどうか分からず、自分で進めることに不安を感じる人もいると思います。

このようなときに、弁護士に依頼すれば、法律の専門家に過失割合の主張や増額交渉を任せることができます。賠償額の算定基準には以下の3つの基準がありますが、弁護士が交渉に入った際には、被害者の受けた苦痛に見合った適切な賠償額の実現を目指して、③の基準を前提に交渉を行います。

①自賠責基準  …事故の被害者に支払われる最低限度を定めた賠償基準
②任意保険基準 …保険会社が任意で設定している基準で、①の基準を少し上回る程度が多い
③弁護士基準  …訴訟で認定される見込みのある金額をもとにした賠償基準

調停・裁判になったときに相談するメリット

交渉が決裂した場合、賠償額を確定するためには、調停又は訴訟の手続きに進むことになります。裁判所を介した手続きである調停や訴訟では、交渉と異なり、必要な主張を証拠とともに説明していく必要があります。
主張の出し方を間違えると、そのことが不利に扱われてしまうこともあります。効果的に主張・立証を行っていくためには、弁護士のサポートを受けることをお勧めします。

また、裁判所への書面の出し方や期限等は、法律で定められたルールがあります。この点も、弁護士に依頼をすれば、形式面の煩雑さを気にすることなく、手続きを進めていくことができます。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

死亡事故の場合はいつ相談・依頼すべきか?

身近な人が突然に亡くなったという心労は計り知れないものかと思います。そのような中で賠償額について保険会社とやり取りをしなければならないというのは、非常に大きな負担になり得ます。弁護士に保険会社との窓口を任せておくことで、損害賠償請求に関する負担を軽減することができます。

弁護士への相談・依頼が手遅れになってしまうタイミング

弁護士への相談・依頼が遅れることによって、取り返しがつかなくなるケースもあります。以下のような場合には、弁護士への依頼ができないケースがありますので、ご注意ください。

既に示談が成立している

既に保険会社や加害者本人との間で示談が成立し、賠償金が支払われてしまっているようなケースでは、弁護士の介入が手遅れとなっていることが多いです。最終的な賠償金の支払いの際には、この金額をもらった後はどのような理由でもこれ以上請求しないという文言が記載された書面を作成していることが多いため、覆すことは非常に困難です。

なお、例外的に、示談の際には、後遺障害が無いと考えて物損と傷害部分のみで示談をしていたようなときに、その時点では予想することができなかった後遺障害があることが後から判明したような場合には、その後遺障害について別途の請求をする余地はあり得ます。

損害賠償請求の時効が成立している

交通事故の損害賠償請求には、消滅時効があります。消滅時効が成立するまでの期間は、物的損害か人身損害でそれぞれ違います。また、具体的な事故状況によって、消滅時効の起算点は変わってきます。起算点と成立までの期間は、以下のとおりです。

・事故発生時点で加害者が分かっているとき
→事故が発生したときから、物的損害は3年、人身損害は5年

・事故発生からしばらくして加害者が判明したとき
→加害者を知ったときから、物的損害は3年、人身損害は5年(なお、警察が加害者の情報を知っている場合には、交通事故証明書に記載されます。この場合、事故発生時が、加害者を知ったときと判断される可能性があります。)

・交通事故で後遺症が残った場合(人身事故のみ)
→後遺障害による損害部分は、症状固定時から5年

なお、加害者が分からなかったとしても、交通事故発生から20年が経過したときは、除斥期間が経過したものとして、上記の時効の定めに関わらず、請求できなくなります(民法724条2号)。

相談・依頼する前に知っておきたい!弁護士の選び方

弁護士の選び方には、様々な考え方がありますが、特に、話しやすい、質問しやすいということが重要かと思います。 質問しにくい雰囲気や、質問しても答えがよく分からないといった感覚をもったままであると、弁護士とのコミュニケーションがうまく成立しません。すると、弁護士としても、ご依頼者様の実現したい利益をうまくくみ取ることができず、適切な賠償を得ることが難しくなってしまいます。

弁護士が法律の専門家であるとして、弁護士の言っている内容が分からないと感じていても言い出せないという方が一定数いらっしゃいます。しかし、適切な賠償を得ること目指していく上では、弁護士とのコミュニケーションは非常に重要です。まず法律相談の際に、ご自身が話しやすい、質問をしやすいと感じる方を選んでみてはいかがでしょうか。

弁護士法人ALGが解決した交通事故事例

弁護士に依頼した結果、運転手と同乗者の両方とも、ご相談日から約1か月で30万円増額できた事例

信号待ちで停車中に後ろから追突され、運転手と同乗者が怪我を負った事案で、既に治療も終了して、保険会社から賠償金の提示がなされている段階でご依頼を受けました。ご相談時において、保険会社から両名に対する慰謝料額の提示は、それぞれ、自賠責基準に基づく約25万円でした。弁護士が介入して弁護士基準での慰謝料額を求めて交渉を行った結果、両名とも慰謝料額が約55万円まで増額しました。書類のやり取りなどの手続きも含め、約1か月で、どちらの方も、30万円の増額となりました。

まずは交通事故チームのスタッフが丁寧に分かりやすくご対応いたします

交通事故被害者専門ダイヤル

0120-979-039

24時間予約受付・年中無休・通話無料

メール相談受付
交通事故の経験豊富な弁護士にお任せください

よくある質問

早めに弁護士に依頼することで、解決までの期間を短縮することはできますか?

交渉にあたっては、過失割合や事故との因果関係というような争点が生じることがあります。このとき、主張が認められるか否かは、法的な議論が必要となってくることが多く、弁護士が介入して、当方主張の法的な根拠を示すことで、結果として、保険会社との交渉がスムーズにいくこともあります。このような意味で解決までの期間が短縮されるということはあり得ます。

示談交渉の途中からでも弁護士に依頼することは可能ですか?

示談交渉の途中から弁護士に依頼をすることも可能です。その場合、弁護士は、今までの交渉の経緯をお聞きして、争点などを把握した上で必要な主張を検討します。その時点からでも、証拠収集が可能な部分については、必要な範囲で追加調査を行うこともあります。

他方で、従前の交渉において、相手方が支払う意向を示していた部分について、弁護士を入れるのであれば厳格に主張をするとして、態度を変えてくることはあります。そのため、必ずしも従前の交渉状況が引き継がれるとは限らないため、その点は注意が必要です。

弁護士に相談・依頼するデメリットはありますか?

基本的に、弁護士に相談をすることにデメリットはないと言えます。弁護士に相談をすると、今後の見通しなどを聞くことができたり、アドバイスを受けたりすることができますが、相談をしたこと自体は相手方保険会社に伝わらないこともあるので、特に影響はないと思われます。

他方で、弁護士に事件を依頼することについて、場面によっては、デメリットが生じることもあり得ます。それは、弁護士特約に入っていない場合、ご自身で弁護士費用を支払う必要があるため、損害賠償の増額がそこまで大きくない場合には、弁護士費用を支払うことで、結果的にマイナスになるケースもあり得ます。この点は、事前に法律相談で弁護士にご確認下さい。

交通事故で後悔しないためにも、早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士を入れるタイミングは、示談が成立するまでであれば、いつでも問題ありません。そのため、弁護士に相談するには遅すぎるのではないかと考える前に、まずは、弁護士にご相談をしてみてください。

どの段階で弁護士を入れたとしても、弁護士特約に入っていれば費用負担を気にする必要はありません。そのため、保険会社とのやり取りや雑多な手続きの負担を減らして、治療に専念するためにも、早い段階で弁護士に依頼をすることをお勧めします。

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善
監修:弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:45721)
愛知県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。