相続放棄の手続き方法と注意点

コラム

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善

監修弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長 弁護士

人が亡くなった場合、その子や配偶者、両親、兄弟姉妹などが亡くなった方(被相続人)の財産を相続することになります。しかし、プラスの財産よりも借金の方が多くて相続すると損をしてしまう、何年も前から交流がなく今更財産を引き継ぎたくないという場合もあります。このような場合、相続放棄をすることで、被相続人の財産を引き継がないということができます。このページでは、相続放棄についてご説明をいたします。

相続放棄とは

相続放棄とは、相続開始後に、相続人が相続を拒否することをいいます。相続人が相続放棄をすると、被相続人の全ての財産(プラスもマイナスも)を相続しないこととなります。特定の財産のみを放棄するとすることはできませんので、相続放棄をするか否かは、全ての相続財産から判断をする必要があります。
なお、似たようなもので「相続分の放棄」というものもあります。これは自身の相続分をほかの相続人に渡すことをいい、相続放棄とは別のものです。相続分の放棄においては、マイナスの財産は放棄することができませんので、注意が必要です。

相続放棄の手続き方法

相続放棄は、家庭裁判所の申述などの手続きが必要となります。ここでは、相続放棄の手続きについて、ご説明します。

必要書類を集める

相続放棄をするにあたっては、まず必要な書類を集めることが必要です。共通で必要となる資料としては、被相続人の住民票の除票又は戸籍の附票、被相続人の戸籍謄本、申述人の戸籍謄本、相続放棄申述書があります。
また、相続人が配偶者、子以外の場合、上記の資料以外に自身が被相続人の相続人に当たることを証明する資料が必要となります。例えば、相続人が被相続人の両親の場合、上記に加え、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本などが必要となります。
戸籍謄本、戸籍の附票は被相続人の本籍地を管轄する役所、住民票の除票は被相続人の最後の住所地を管轄する役所で取得することができます。また、相続放棄申述書は、裁判所のページなどから書式を取得することができます。

家庭裁判所に必要書類を提出する

必要書類を取得したら、家庭裁判所に必要書類を提出して、相続放棄の申述を行います。家庭裁判所は、どこでもよいわけではなく、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所に提出しなければなりません。 なお、提出方法としては、持参して提出する方法、郵送で提出する方法のいずれでも可能です。

家庭裁判所から届いた書類に回答し、返送する

家庭裁判所に必要書類を提出すると、家庭裁判所の裁判官が、相続放棄申述書を確認して相続放棄を認めるか否かを判断します。この際、相続放棄の不許可事由がないかを確認するために、相続放棄照会書といわれる書面が送られてくることがあります。相続放棄照会書が送られてきたら、その内容に沿って回答をし、家庭裁判所に送り返しましょう。なお、この相続放棄照会書は、各家庭裁判所の運用もあり、必ずしも送られてくるわけではありません。

返送期限内に照会書を送れない場合

相続放棄照会書は、裁判官が相続放棄を認めるか否かを判断するための資料であり、必要書類というわけではありません。そのため、返送期限内に照会書を送らないからといって直ちに相続放棄が不許可となるわけではありません。
しかし、相続放棄を認めるべきか否かの重要な資料であることから、期限内に照会書が送れない場合、不利益に取り扱われる可能性はあります。
期限内に送れない場合は、家庭裁判所に一報を入れるなどして、対応をした方がよいでしょう。

相続放棄申述受理通知書が届いたら手続き完了

相続放棄が認められた場合、家庭裁判所から相続放棄申述受理通知書が届きます。相続放棄受理通知書は、相続放棄が認められたことの証拠となりますが、再発行ができません。そのため、相続放棄受理通知書の原本を大切にとっておいてください。
場合によっては、債権者から相続放棄の証明書が欲しいと言われることもあります。この場合は、「相続放棄受理通知書」のコピーや、「相続放棄受理証明書」(家庭裁判所から取得できます。)を渡すようにしてください。
なお、どれくらいの期間で相続放棄受理通知書が届くかは、家庭裁判所の処理能力の問題もあり、一概には言えません(一般的には、都市部の方が時間を要する傾向にあります。)。

相続放棄の期限は3ヶ月

相続放棄の申述ができるのは、相続を知ってから3ヶ月以内とされています。この3ヶ月を過ぎた場合、相続放棄が認められなくなりますので、期間には十分注意をしてください。
なお、この3ヶ月というのは、相続放棄の申述期間ですので、相続放棄申述書の提出が期間内に間に合えば大丈夫です。必要書類が足りずに書類の追完等を求められることもありますが、追完の書類は3ヶ月を超えていても問題ありません(ただし、いつまでも放置してもいいわけではないので、速やかに追完することが必要です。)。

3ヶ月の期限を過ぎそうな場合

相続放棄をすると、全ての相続財産を相続しないこととなります。そのため、通常は、相続財産を調査した上で、相続放棄するか否かを決めますが、3ヶ月では調査が足りないこともあります。このように3ヶ月の期限を過ぎてしまいそうな場合、家庭裁判所に、「相続の承認又は放棄の期間の伸長」を求めることができます。この伸長が認められると、通常は、3か月程度、期間を延ばせることができます。

3ヶ月の期限を過ぎてしまった場合

相続を知ってから3ヶ月を過ぎてしまった場合、相続放棄は認められなくなってしまいます。しかし、例えば、相続人に財産がないと思っていたとか、自身が引き継ぐべき財産がないと信じていたような場合においては、3ヶ月を過ぎても相続放棄が認められることがあります。期限を超えているため、通常の相続放棄よりは認められづらいことは間違いありません。しかし、事情によっては、相続放棄が認められることもありますので、弁護士に相談をするのがよいでしょう。

相続放棄の申し立ては一度しかできない

相続放棄の申述は一度きりであり、却下された後に、再度、相続放棄の申述をしても認められません。被相続人が亡くなって3ヶ月以内であり、かつ、相続財産を何ら使用していなければ、多くの場合、相続放棄の申述が受理されると思います。しかし、裁判官も書面のみで判断するため、相続放棄申述書や相続放棄照会書の記載の仕方が悪くて、相続放棄の不許可事由があるように誤解させる内容になっていると不許可となることもあり得ます。やり直しができませんので、弁護士などの専門家に依頼した方が間違いはないでしょう。

相続放棄が無効・取消しになるケースがある

相続放棄の申述が受理されたとしても、無効・取消しとなる場合はあります。
例えば、他人が勝手に相続放棄の申述をしているような場合は、相続人に放棄をする意思がありませんので、無効となります。
また、他の相続人に脅迫されたり、騙されたりして相続放棄をした場合には、相続放棄の申述を取り消すことができます。ただし、取消しには、期間制限があり、追認をすることができる時(例えば、騙されていた場合は、騙されたことに気付いた時)から、6ヶ月以内に取り消す必要があります。なお、相続放棄が受理された時から10年を限度とするため、相続放棄が受理された時から10年を超えたら相続放棄を取り消すことができません。

後から財産がプラスだと分かっても撤回できない

相続放棄の申述が受理された後に、被相続人にプラスの財産があると分かったとしても、相続放棄を撤回することはできません。そのため、相続放棄をするか否かは、慎重に判断するべきです。後悔しないように、プラスの財産がないかを調査するなどして、相続放棄するか否かを決断した方がよいでしょう。

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相続放棄は一人でもできるがトラブルになる場合も…

相続放棄は単独でできますので、複数の相続人がいる場合であっても、ほかの相続人の許可や同意なく法族放棄を行うことができます。もっとも、相続放棄をすると、ほかの相続人が取得する財産が増えるなど、ほかの相続人に影響を及ぼします。ほかの相続人に知らせずに相続放棄をするとトラブルになることもあり得ますので、事前に、ほかの相続人に知らせるなどした上で、相続放棄をする方がよいでしょう。

明らかに相続放棄したほうがいい場合

被相続人に多額の借金がある場合、多額の負債を背負うことになるため、相続放棄をした方がよいと考えられます。この場合、相続放棄をすると、相続放棄をした相続人は借金を相続しないことになりますが、ほかの相続人が相続する借金は、より多くなります。このような場合、ほかの相続人に相続放棄をすることを伝えないと、ほかの相続人が想定以上に借金を背負うことになります。また、被相続人の子全員が相続放棄をした場合は、被相続人の両親が相続人となりますが、被相続人の両親は、知らないうちに相続人となっており、突然、債権者から督促状が届くということにもなりかねません。多額の借金があるような場合は、ほかの相続人や相続人となり得る者に相続放棄をすることを伝えた方がよいでしょう。

把握していない相続人がいる場合がある

相続人になり得るのは、基本的に、配偶者、子、両親、兄弟姉妹です。つまり、一定の親族関係がある者が相続人となるため、ほかの相続人を把握できていることが多いでしょう。しかし、被相続人が知らぬ間に養子縁組をしている場合や、認知していない子がいる場合など、把握できていない相続人がいることもあります。このような場合においては、ほかの相続人に相続放棄を伝えることは困難ですので、連絡しないまま相続放棄をするほかないでしょう。

相続放棄後の相続財産について

相続放棄をしても、相続財産と全く無関係になるというわけではありません。そこで、相続放棄後の相続財産に関して、ご説明します。

墓や生命保険など、相続放棄しても受け取れるものはある

仏壇、墓などの祭祀、墳墓については、相続財産に含まれないとされています。相続放棄は、相続財産を承継しないというものであるため、相続放棄をしたとしても、仏壇や墓などといったものを引き継ぐことは可能です。
また、生命保険金は、受取人が受領するものであり、相続人の相続財産には含まれません。そのため、受取人は、相続放棄をしたとしても、生命保険金を受け取ることができます。ただし、保険金の受取人が被相続人になっている場合においては、生命保険金は、相続財産の一部ですので、受け取ることができません。生命保険金については、受け取れない場合もありますので、注意が必要です。

全員で相続放棄をしても家や土地の管理義務は残る

相続放棄をしても、次の相続人が相続財産の管理を始めることができるまで、その財産の管理を継続しなければならないとされています。
例えば、被相続人には、子が一人と両親がおり、相続財産として持ち家(家・土地)があるとします。そして、子が、被相続人の持ち家で被相続人と一緒に生活をしていた場合、子は、相続放棄をしても、次の相続人である被相続人の両親が、この持ち家の管理を始めるまでは、持ち家の管理をしなければなりません。このように相続放棄をしても一定の管理義務が残りますので、注意が必要です。
なお、相続人の全員が相続放棄をした場合、相続財産を引き継ぐ者がいなくなってしまいます。この場合、相続財産管理人の選任申立てをして、相続財産管理人が相続財産が管理を始めるまでは、相続放棄をした相続人が相続財産の管理をし続ける必要があります。

相続放棄したのに固定資産税の請求がきたら

固定資産税について、被相続人が亡くなる前に発生していたものに関しては、相続財産の一部であり、相続放棄をするのであれば、支払う必要はありません。
一方で、被相続人が亡くなった後に発生した固定資産税については、相続人が納税義務者に当たる可能性があります。過去の裁判例において、被相続人の債権者が不動産の仮差押えを行い、その仮差押えに基づいて相続人を所有者とする登記をしたことから、相続人に固定資産税が課税されたという事案に対して、相続人が固定資産税の納税義務者に当たると判断したものがあります。このように、被相続人が亡くなった後に発生した固定資産税に関しては、相続財産ではなく、相続人の義務であることがありますので、注意が必要です。

相続放棄手続きにおける債権者対応

債権者から、債務の履行を求めてくることがあります。このような場合において、誤った対応をすると、相続放棄ができなくなったり、相続放棄の効力が否定されてしまうことがあります。債権者の対応については、本当に対応してよいものなのかどうかをしっかりと考える必要があります。

「とりあえず対応しよう」はNG

上記のとおり、誤った対応をしてしまうと相続放棄が認められなくなるリスクがあります。請求が来ると、その煩わしさからついつい請求に応じて支払ってしまおうなどと考えることもあるかもしれません。しかし、支払いをすると相続財産の承継をしたと判断され、相続放棄ができなくなってしまいます。そのため、相続放棄をするのであれば、支払いに応じてはいけません。これは、相続放棄をした後であっても同様です。請求が来たからといって、安易に「とりあえず対応しよう」などと考えるのはやめましょう。

「利子だけ払っておこう」はNG

利子の支払いについても、相続財産を承継していなければ支払う必要がないものです。そのため、利子のみの支払いであったとしても、相続財産の承継をしたと判断され、相続放棄が認められなくなってしまいます。相続放棄をするのであれば、利子も支払うべきではありません。
元本同様、安易に支払いをすると相続放棄が認められなくなりますので、支払いをしないようにしましょう。

サインはしないようにしましょう

場合によっては、債権者から、相続財産の処分のためとしてサインを求められたり、債務を承継した証拠としてサインを求められることがあります。しかし、このような書面にサインをしてしまうと、相続財産を承継したと判断されるおそれがあり、相続放棄が認められなくなることがあります。
債権者からサインを求められた場合も、安易にサインをしようとせず、何の書面なのか、どうして必要なのか、サインをしたらどうなるのかなどを十分に確認しましょう。

相続財産に触れないようにしましょう

上記のとおり、相続財産を承継したと判断された場合は相続放棄が認められなくなってしまいます。相続財産を使用したり、利用したり、捨てたりしたりすると、相続財産を承継したと判断されかねません。基本的には、相続財産には、手を触れないようにして、そのままにしておくのがよいでしょう。

相続放棄に関するお悩みは弁護士にご相談下さい

相続放棄は、不許可事由がなければ認められるものですが、被相続人の戸籍謄本、住民票の除票などいくつもの必要書類を収集・提出する必要があり、手間がかかります。また、被相続人が亡くなった後、3ヶ月が経過している場合には、期間制限内に相続放棄の申述をしているということが分かるように申述をしなければ、相続放棄が不許可となってしまうおそれがあるため、注意が必要となります。相続放棄に関して、お困りのことがあれば、弁護士法人ALG&Associatesまで、ご相談をいただければと思います。

養育費は子どもの成長にかかわる重要なお金です。しかし、離婚後に養育費が支払われなくなるケースは残念ながら後を絶ちません。
そこで、離婚時の取り決めは「公正証書」に残すことをおすすめします。公正証書は、当事者間の強力な契約書になるため、養育費の未払いを防ぐのに効果的です。
とはいえ、「公正証書は大げさじゃないか」「手続きが面倒」などと思われる方も多いでしょう。そこで本記事では、公正証書のメリットやポイント、手続きなどを詳しく解説します。子どもの未来のためにも、離婚前にしっかり確認しておきましょう。

養育費を公正証書に残すべき理由とは?

公正証書とは、公証人が法律にもとづいて作成する公文書のことです。
公正証書は強い拘束力をもつため、合意内容の有力な証拠になります。また、離婚後に未払いとなった養育費を速やかに回収するのに役立ちます。
この点、「離婚協議書や合意書に残しておけば十分」と思われる方もいるでしょう。しかし、離婚協議書や合意書は私文書で強制力に欠けるため、公正証書に残しておくのが安心です。

養育費に関することを公正証書に残すことのメリット

養育費を公正証書に残すメリットは、主に3つあります。以下で詳しくみていきましょう。

合意した条件について争いにくくなる

公正証書は、公証人が当事者に内容を確認しながら作成されるため、後日言った言わないのトラブルになりにくいです。
また、公証人は元裁判官や元検察官といった法律の専門家が就くことが多く、作成された公正証書の内容には信ぴょう性があります。そのため、後に公正証書に記載した内容で揉めるということは考えにくいでしょう。
さらに、作成された公正証書の原本は、長期間保管されるため、相手に改ざん・破棄される心配もありません。

養育費の支払いが滞ったときに強制執行ができる

養育費を公正証書に残しておくと、離婚後に養育費が支払われなくなっても裁判を起こすことなく強制執行ができます。強制執行をすれば、相手の給与や貯金といった財産を差し押さえ、未払いの養育費を強制的かつ速やかに回収することが可能です。
ただし、強制執行をするには、公正証書を「強制執行認諾文言付公正証書」にする必要があるためご注意ください。

財産開示手続きが利用できる

強制執行をするには相手の財産を特定する必要があるため、「財産開示手続き」が利用できます。財産開示手続きとは、相手を裁判所に呼び出し、どんな財産を持っているのか開示させる手続きです。
かつて、財産開示手続きを利用できるのは判決書や調停調書がある場合のみでしたが、2020年4月の民事執行法改正により、公正証書がある場合も財産開示手続きが利用できるようになりました。
また、相手が財産開示手続きに応じない場合、「6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられることになりました。
これにより、未払いの養育費を回収しやすくなることが期待されています。

養育費に関することを公正証書に残すことのデメリット

一方、養育費を公正証書に残すことにはデメリットもありますので、以下で確認しておきましょう。
主に「公正証書の作成時」にデメリットがあるようです。

作成費用がかかる

公正証書の作成には費用がかかり、その目的価額により金額が異なります。基本的には「取り決めた養育費の総額」が目的価額となりますが、養育費の場合は長期にわたる場合でも10年分が目的価額の上限となります。詳しい金額は下表をご覧ください。なお、この手数料以外にも文書料や送達料が数千円程かかることがあります。
また、公正証書の作成は弁護士に依頼することもできます。弁護士に依頼すれば、文案の作成や公証役場への手続きを代行してもらえるため安心でしょう。なお、弁護士費用はご依頼内容によって異なるため、まずはご相談ください。

目的の金額(養育費の合計金額)公正証書作成の手数料
100万円以下5,000円
100万円超、200万円以下7,000円
200万円超、500万円以下11,000円
500万円超、1,000万円以下17,000円
1,000万円超、3,000万円以下23,000円
3,000万円超、5,000万円以下29,000円
5,000万円超、1億円万円以下43,000円

作成するのに時間がかかる

公正証書は、申し込んだらすぐに受け取れるものではなく、完成までに2週間ほどかかるのが一般的です。また、養育費などについて、協議・合意のうえ申し込む必要があります。
完成までの流れとしては、文案を用意のうえ申込みを行い、公証人から指示された書類を集めつつ、当事者双方が公証役場に出向いて、公証人と内容を確認しながら作成することとなります。

作成するのは夫婦で協力しなくてはいけない

公正証書は、公証役場の窓口が開いている平日9~17時の間に、“当事者双方が”出向く必要があります。
このため、相手が公証役場に行くのを拒否したり、お互いの都合が合わなかったりするなど、協力し合うのが難しい場合は、公正証書の作成も自ずと難しくなってくるでしょう。

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養育費と公正証書の書き方

ここから、養育費について取り決めるべき項目や相場をご紹介します。
公正証書は、当事者が話し合い合意した内容をもとに作成されます。話し合いで漏れがあると、せっかく公正証書を作成しても離婚後にトラブルとなりかねないため、しっかり確認しておくことが重要です。

毎月の支払額

養育費の支払いは長期にわたるため、「毎月○円支払う」と定額を決めて支払うのが基本です。
金額は夫婦で合意できればいくらでも良いですが、相場を知りたい場合、実際の調停や裁判でも使われる「養育費算定表」で調べることができます。
養育費算定表の見方は、まず子どもの人数に合った表を選びます。その表に、当事者双方の雇用形態と年収・子どもの人数と年齢をあてはめ、交わる枠が養育費の相場となります。
以下で2つの具体例を記載しますので、参考になさってください。

【(例1)権利者:専業主婦/義務者:会社員、年収、500万円/0~14歳の子供1人 →相場:6~8万円】

権利者が専業主婦、義務者が年収500万円の会社員、14歳以下の子供1人の場合の養育費相場

【(例2)権利者:会社員、年収200万円/義務者:会社員、年収300万円/0~14歳の子供2人 →相場:2~4万円】

権利者が年収200万円の会社員、義務者が年収300万円の会社員、14歳以下の子供2人の場合の養育費相場

養育費の支払日

養育費を定期的に支払う場合、支払日を決めておくのがポイントです。支払日を決めておけば、滞りなく支払われているかチェックしやすくなりますし、期日通りに支払われなかったときの証拠になり得ます。
例えば、毎月支払うのであれば「毎月○日」「毎月末日」などと取り決めましょう。一般的に、給与支払日の5日以内を支払日とするケースが多いようです。

支払開始日

「いつから養育費を支払うのか」も取り決める必要があります。
離婚前の夫婦であれば、「離婚が成立した月の翌月から」とするのが一般的です。また、離婚後に養育費を取り決める場合、「○年○月から」と支払開始日をはっきり決めておきましょう。

支払終了日

養育費は、子どもが経済的に自立するまでにかかるお金のため、現在の成人年齢である「20歳まで」支払うケースが多いです。ただし、家庭の事情によっては「大学卒業まで」「高校卒業まで」とするケースもあります。
しかし、「大学卒業まで」とする際は注意が必要です。なぜなら、浪人や大学院進学など予期せぬことがあると、支払期間が長くなってしまうためです。そのようなトラブルを防ぐため、「○歳の○月まで」と具体的に取り決めることもあります。

支払方法

養育費の支払方法は「口座振り込み」にするのが一般的です。このとき、養育費として支払ったと証明するため、子ども名義の口座を作って振り込むのも良いでしょう。
ただし、口座振り込みでは、振込手数料をどちらが負担するかで揉めやすいです。振込手数料をどちらが負担するかは、まれに争いになるため、義務者負担と明記しておくことをお勧めします。

養育費の変更について

離婚後は、失業・病気・子供の進学といった「事情の変化」が起こり得ます。そのため、公正証書では「養育費の変更」についても記載しておきましょう。例えば、「離婚後に事情の変化があった場合、改めて協議する」という文言を入れておくと安心です。
なお詳しくは後述しますが、この文言がなくても、家庭裁判所に認められれば一度取り決めた養育費を変更することができます。

強制執行について

養育費の取り決めに際しては、支払われなくなってしまうことも想定しなくてはなりません。この対策として、公正証書は、「強制執行認諾文言付」にすることを徹底しましょう。
これにより、養育費が支払われなくなっても速やかに強制執行を申し立て、お金を回収できる可能性を高められます。

一度公正証書に養育費のことを残したら、金額は変更できない?

公正証書に残している場合でも、以下のような「事情の変化」があれば、養育費の金額を変更できる場合があります。

  • 義務者、権利者の収入の変化
  • 子どもの進学や病気により、高額なお金がかかる
  • 義務者が再婚し、扶養家族が増えた
  • 権利者が再婚し、子どもと再婚相手が養子縁組をした

なお、公正証書の有無にかかわらず、当事者が合意すれば基本的に養育費の金額を変更することは可能です。合意に至れば、後々のトラブルを避けるためにも新たに公正証書を作成することをおすすめします。一方、合意できなければ、家庭裁判所に養育費の変更を求めて調停や審判を申し立てる必要があります。

よくある質問

養育費について公正証書を作成したいのですが、相手に拒否された場合はどうしたらいいですか?

公正証書は、当事者双方が揃って作成するため、相手に拒否されると作成は困難です。その場合、「離婚調停または審判」を申し立て、養育費を取り決めましょう。調停や審判で作成される調停調書・審判書があれば、養育費が支払われなくなってもすぐに強制執行ができます。
とはいえ、すぐにでも離婚したい方もいるでしょう。その場合、せめて「離婚協議書」や「合意書」を作成し、双方の署名・捺印をしておきましょう。離婚協議書だけでは強制執行はできませんが、合意した内容の証明にはなります。そのため、離婚後に養育費請求調停や審判を申し立てた際に、証拠として役立つ可能性があります。

養育費の公正証書はどこで作成することができますか?

公正証書は、各都道府県にある公証役場であれば、どこで作成しても構いません。
ただし、養育費の支払いが途絶えて強制執行する可能性を踏まえると、便宜上、権利者の住んでいる所に近い公証役場を選ぶべきでしょう。というのも、強制執行する際は、公正証書を作成し原本が保管されている公証役場に、権利者が出向いて手続きを行う必要があるためです。

離婚の際に公正証書を作成したいのですが、養育費に関して書けないことなどありますか?

公正証書には、「法的に無効なもの」「公序良俗に反するもの」「明らかに実現不可能なこと」は書くことができません。養育費の場合、以下のようなことは記載できません。

・養育費を一切支払わないこと
・給与に対して、養育費が高額すぎること

当事者双方が合意できれば何でも記載できるわけではないため、取り決める際は注意が必要です。
なお、公正証書に記載できるか不明なことがある場合、作成の申込み後に公証人に確認されると良いでしょう。

公正証書がないと養育費がもらえませんか?

離婚時に公正証書を作成していなくても、養育費は請求できます。なぜなら、養育費を請求するのは子どもの権利であり、夫婦間の合意がないからといって失われるものではないからです。
公正証書がなく養育費を請求する場合、まずは相手に支払ってほしい旨を伝えましょう。連絡方法は、電話・メール・手紙など何でも構いません。
相手が応じない場合、「内容証明郵便」を送るのも効果的です。内容証明郵便は、送った内容や日時が公的に記録されるため、相手にこちらの本気度が伝わりやすいでしょう。
それでも相手が応じなければ、家庭裁判所に「養育費請求調停」を申し立て、裁判所を挟んで取り決めることになります。

養育費の公正証書を作成する際は弁護士にご相談ください

養育費の公正証書はご自身でも作成できますが、すべての項目を漏れなく記載するのは困難です。また、相手と合意できても、法的に不適切な内容だとせっかく作成しても後のトラブルになりかねません。
そこで、養育費の公正証書の作成は弁護士にご相談ください。弁護士は、法律のプロとして適切な公正証書を作成できるのはもちろん、ご依頼者様が有利になるようアドバイスをすることができます。また、書類の準備や手続も弁護士に代行してもらえるため、負担が軽くなるでしょう。
子どもの生活や未来のためにも、養育費の公正証書をしっかり作成しておくことはとても重要です。おひとりで悩まず、まずは弁護士法人ALGへお気軽にご相談ください。

逸失利益とは、交通事故の被害者が、交通事故がなければ得られたであろう利益をいいます。逸失利益は、広い意味では、怪我を治療中に仕事を休んだことに対する損害(休業損害)と、後遺症により労働能力が低下したことによる損害(後遺障害逸失利益)とを含みますが、この記事では、後者の損害を指すものとして説明します。

主婦の逸失利益は認められるのか

後遺障害逸失利益とは、交通事故により不幸にも後遺障害を負った方が、事故による後遺障害がなければ労働により得られたであろう利益をいいます。交通事故により後遺障害を負った方は、その後遺障害により、労働能力が低下することがあります。その労働能力の低下分に相当する損害が、後遺障害逸失利益です。
ところで、専業主婦・主夫の方は、労働をして他人から収入を得ているわけではないため、労働能力の低下分に相当する損害がないとも思えます。しかし、裁判例、実務では、専業主婦・主夫についても労働能力の低下を観念し、これを金銭的に評価して損害と認めます。そのため、専業主婦・主夫の方でも、後遺障害逸失利益について加害者に対して損害賠償請求することは可能です。

主婦・主夫の逸失利益の計算方法

主婦・主夫の場合の逸失利益の計算方法は、働いて収入を得ている方と基本的に同じです。基礎収入、労働能力喪失率、労働能力喪失期間を基に算定されます。このうち、主婦・主夫については、基礎収入の算定につき特別の扱いが必要になります。

専業主婦の場合

専業主婦・主夫の後遺障害逸失利益の計算方法は
(基礎収入)×(労働能力喪失率)×(労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数)
です。このうち、「基礎収入」は、性別に応じた全年齢平均賃金を参照することが一般的です。
被害者の方が亡くなった場合の計算方法は
(基礎収入)×(1-生活費控除率)×(就労可能年数に対応するライプニッツ係数)
です。
労働能力喪失率、ライプニッツ係数、生活費控除は下の項目で説明します。

専業主夫の場合の基礎収入はどうなる?

専業主婦・主婦の場合は、労働による収入がありませんから過去の実績に基づいて基礎収入を算定することができません。そのため、厚生労働省が発表している、性別に応じた全年齢平均賃金を参照して決定します(通称、賃金センサス)。

兼業主婦の場合

兼業主夫・主婦(家事労働を主としているが働いて収入も得ている場合)は、専業主婦・主夫と同じように、全年齢平均賃金を参照して基礎収入を算定することも、仕事の収入により基礎収入を算定することも可能です。もっとも、全年齢平均賃金を参照する場合に、仕事の収入を重ねて計算することは認められません。そのため、仕事の収入が、全年齢平均賃金よりも高額である場合には、仕事の収入により、そうでない場合には、全年齢平均賃金を参照して基礎収入を算定することが一般的です。

基礎収入には家事労働分が加算されないの?

兼業主婦・主夫の場合の計算方法は上記の通りです。そのため、仕事の収入に、家事労働分を加算するという考え方は認められません。

高齢主婦の場合

高齢主婦・主夫の場合に、全年齢平均賃金を用いて後遺障害逸失利益を算定する場合には、高齢故の稼働能力の低下を踏まえ、全年齢平均賃金より減額して基礎収入を算定するのが一般的です。

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労働能力喪失率

労働能力喪失率は、後遺障害の等級により定まるのが一般的です(下記表をご参照ください)。もっとも、具体的事情により、下記表と異なる判断がされることもあります。

労働能力喪失率表(国土交通省)

労働能力喪失期間とライプニッツ係数

労働能力喪失期間とは、事故により労働能力が失われる期間です。通常は、症状固定日(それ以上治療をしても症状が良くも悪くもならない状態となった日)から、67歳までの期間を、労働能力喪失期間とします。
ライプニッツ係数とは、事故による損害賠償を一括で受けることによる金額調整を行うための係数です。事故による後遺障害による逸失利益は本来毎年発生するものですが損害賠償請求においてはその金額を一括で受け取ることになるため、金額調整を行わないと、賠償額が過大になります。そのため、「労働能力喪失期間に対応したライプニッツ係数」として、労働能力喪失期間にライプニッツ係数を乗じた金額を用います。

生活費控除について

生活費控除とは、事故による被害者が死亡した場合の逸失利益を算定する際に用いる考え方です。事故により死亡した被害者の方は、事故がなければ得られるはずであった収入が得られなくなったという損害を受けている反面、生存していれば支払わなければならなかった生活費につき支払を免れたともいえます。そのため、死亡による逸失利益の算定においては、(生活費控除)を行います。

一家の支柱の場合かつ被扶養者1人の場合40%
一家の支柱の場合かつ被扶養者2人以上の場合30%
女性(主婦、独身、幼児等を含む)の場合30%
男性(独身、幼児等を含む)50%

主婦の逸失利益に関する解決事例・判例

主婦(夫)としての適切な後遺障害逸失利益と後遺障害等級14級が認定された事例

専業主夫の方が、交通事故により頸椎捻挫を受傷し、後遺障害14級9号の認定を受けた上で、主夫としての後遺障害逸失利益が認定された事例です。相手方保険会社は、被害者の方が男性であったこと及び家族と住民票上の住所が異なっていたことから主夫としての後遺障害逸失利益の発生を争っていましたが、主夫業の実態や同居の実態を説明することで、後遺障害逸失利益が認定されました。

後遺障害等級12級と専業主婦の逸失利益が認められた事例

専業主婦の方が、交通事故により右鎖骨遠位端骨折を受傷し、後遺障害12級13号の認定を受けた上で、主婦としての後遺障害逸失利益が認定された事例です。被害者の方は、右肩痛のために右肩を上げることができなくなりましたが、相手方保険会社は当初後遺障害逸失利益を5年分しか認めませんでした。これに対し、長期間の家事労働における支障を説明することで、14年分の後遺障害逸失利益が認定されました。

主婦の逸失利益についてご不明点があれば弁護士にご相談ください

主婦・主夫の方の中には、働いて収入を得ていないからとの理由で、逸失利益の請求をあきらめてしまう人がいます。しかし、主婦・主夫の方であっても逸失利益を請求することは可能です。主婦・主夫の方で逸失利益にご不明点があれば弁護士にご相談ください。

介護がきっかけで離婚する、いわゆる「介護離婚」が増えています。
介護離婚に至る事情は、「介護疲れが限界だった」「夫婦で責任の押し付け合いになった」等、さまざまです。
しかし、衝動的に離婚してしまうのは危険です。離婚後の生活や子供の親権について、離婚前に夫婦でもれなく取り決めなければなりません。また、介護離婚では、慰謝料を請求するにも事前の対策が必要です。
本記事では、介護離婚の進め方やポイントを解説していきます。離婚に踏み切る前に、ぜひご覧ください。

介護離婚とは

介護離婚とは、「介護のストレス」が原因で離婚することです。代表的なのは、妻が夫の両親の介護に疲れて離婚を切り出すケースです。また、夫や妻の介護・障害がある子どもの介護に耐えきれず離婚するケースもあります。
介護離婚の背景には、「夫婦のどちらかにだけ負担がかかっていること」「役割分担ができていないこと」が挙げられます。以下で詳しくみていきましょう。

義両親の介護を理由に離婚するケース

介護離婚で多いのが、義両親の介護がきっかけで妻から離婚を切り出すケースです。この背景には、「義両親の介護=嫁の仕事」という考えが未だに根強く、妻1人に負担がかかっていることがあります。
介護には、体力的にも精神的にも想像以上の負担がかかります。その負担を1人で抱える妻からすれば、「離婚して解放されたい」と思うのが自然でしょう。
また、夫には、「妻が義両親の介護をするのは当然だ」と考える人もいます。協力も感謝もされない家政婦のような扱いに虚しさを感じ、離婚を望むようになる妻は多いです。

介護した義両親の遺産は離婚時にもらえるのか

本来であれば、義両親の遺産は、配偶者の特有財産となってしまうため、財産分与の対象とならず、受け取ることはできません。しかし、介護した義両親の遺産は、離婚時に受け取れる可能性があります。ただし、遺産の相続権があるわけではないので、「特別寄与料」として請求することになります。特別寄与料とは、被相続人の介護・看護を無償で行った「相続人以外の親族」が、相続人に対して請求できるお金のことです。
ただし、義両親の介護をしたからといって必ず特別寄与料が認められるわけではなく、介護した期間・同居の有無等を踏まえ、自身の貢献度をしっかり主張する必要があります。また、請求した際に相続人と揉めるおそれもあるため、まずは弁護士に相談されることをおすすめします。

義両親の介護をしなければならないのは誰?

本来、両親の介護は、実の子供である夫やその兄弟姉妹の責任です。そのため、そもそも妻には義両親を介護する義務はありません。しかし、「義両親の介護は長男の嫁の仕事だ」という風潮が未だに根強いのが現実です。
というのも、昔は「長男は家を継ぐため両親と同居する」というのが一般的でした。また、以前は「夫は外で仕事、妻は家で家事」と役割分担がはっきりしていたため、妻が介護を担うのは当然と考えられていました。義両親や夫の世代はまだこれらの考えを持っている人が多いため、妻1人に介護の責任を押し付けてしまうのでしょう。

実親の介護を理由に離婚するケース

実の親の介護でさえ、介護離婚のきっかけとなります。
両親が高齢になると、妻や夫は介護のため実家に通うことが増えます。また、実家が遠ければ、介護に専念するため別居する夫婦もいます。
そこで夫や妻から、「家事をおろそかにしている」「交通費が無駄だ」等と心無い言葉をかけられ、不満が募り離婚を決意する方が多いです。
家事と介護を1人で両立するのは困難です。夫婦で協力する姿勢がなによりも重要でしょう。

夫(妻)の介護を理由に離婚するケース

「介護=両親の介護」がイメージしやすいですが、夫や妻の介護が原因で離婚するケースもあります。近年、若年性アルツハイマー型認知症や生活習慣病により、若くして介護が必要になる方が増えているからです。
介護の負担は「夫婦の愛情」だけで乗り越えられるものではありません。「これからの人生を介護に縛られたくない」と感じ、離婚に踏み切る方は多いです。
また、そもそも夫婦関係が良好ではなかった場合、「夫や妻の介護に尽くしたくない」と考え、早々に離婚する方もいらっしゃいます。

介護を放棄した場合の財産分与はどうなる?

介護疲れが溜まると、夫や妻の介護を放棄してしまう方がいます。例えば、「食事を与えない」「おむつを換えない」「施設にも入れず放置する」等です。
介護を放棄しても、基本的に離婚時の財産分与には影響しません。よって、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産(預貯金・車・不動産・保険等)は、離婚時に1/2ずつ受け取ることができます。
とはいえ、夫や妻の介護を放棄すると、「保護責任者遺棄」として罪に問われる可能性があるため注意が必要です。

夫(妻)が認知症の場合

認知症の夫や妻と離婚する場合、「判断能力があるか」によって手続きが異なります。
夫や妻に判断能力があれば、通常と同じ流れで離婚できます。夫婦の話し合いで合意できればすぐに離婚できますし(協議離婚)、合意できなければ調停や裁判といった手続きを利用します。
一方、判断能力がない場合、初めから裁判を申し立てる必要があります。本人の合意によって成立する協議離婚や調停は利用できないからです。
また、判断能力がない夫や妻は自力で裁判を進めることができないため、まず家庭裁判所に「成年後見人の選定」を申し立てなければならないことに注意が必要です。なお、成年後見人とは、判断能力がない人の代わりに法律行為等をする人のことで、ここでは弁護士や司法書士が選定される可能性が高いでしょう。

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障害児の介護を理由に離婚するケース

障害児の介護も、離婚の原因となります。
障害児をもつ夫婦は、妻は子どもに付きっきりだったり、子どもが周囲になじめなかったりしてストレスが溜まりやすいです。
一方、夫は仕事で子どもと過ごす時間が少ないため、子どもが障害児だということを受け入れられず、妻に「子どもの教育がなっていない」等と文句を言ってしまう方もいます。
このように夫婦それぞれに不満が募り、どちらかが離婚を切り出すのが一般的です。
なお、障害児がいる夫婦の離婚では親権や養育費で揉めることが多いため、早めに弁護士に相談されても良いでしょう。

養育費は増額される?

子どもに障害があるだけで、養育費が相場より高くなることは基本的にありません。養育費は、両親の年収・子どもの人数や年齢によって金額が決まるものだからです。
しかし、障害児は高額な医療費・教育費・交通費等がかかり、相場の養育費では足りないこともあるでしょう。その場合、それらの証拠(医療費明細書・学費の書面・公共交通機関の領収書等)をもって主張すれば、相場より高額な養育費を受け取れることがあります。

親権はどちらになる?

親権者を決めるときは、「子どもの幸せ」がポイントになります。具体的には、父母のそれまでの監護実績・監護意欲・離婚後の生活環境や、子どもの年齢・性別・意思等を考慮して、「どちらが親権者となる方が子どもの幸せにつながるか」を判断します。
また、障害児はつきっきりの介護や送り迎えが必要となるため、離婚後に実家の両親といった周囲のサポートが受けられることも、親権を得るために有効でしょう。

介護離婚のときに慰謝料はもらえるのか

介護離婚で慰謝料がもらえるのは、夫や妻・その親族からモラハラを受けた場合です。例えば、一方的に介護を押し付けられたり、介護のやり方を強く批判されたりした場合です。また、それらの言動によってうつ病を発症した場合、より高額な慰謝料を請求できる可能性があります。
また、介護と直接関係がなくても、夫や妻が浮気・DV等をしていた場合、慰謝料を請求できます。
単に「介護がしんどい」「積極的に介護をした」というだけでは、慰謝料はほぼ認められないことに注意しましょう。

介護離婚を考えたら弁護士にご相談ください

介護離婚をお考えの方は、日々の介護疲れやストレスを抱えていることでしょう。そんな状況で夫や妻と話し合ったり、離婚の手続きを進めたりしては、ますます負担がかかってしまいます。
そこで弁護士に相談・依頼すれば、心強いサポートを受けることができます。特に離婚問題に詳しい弁護士であれば、介護離婚を進めるうえでの注意点や離婚前に準備すべきことを熟知しているため、安心です。また、煩わしい手続きを弁護士に任せれば精神的な負担も減るため、離婚後の介護やご自身の将来について冷静に考えることができるでしょう。
介護離婚をお考えの方はおひとりで悩まず、お気軽に弁護士法人ALG&Associatesへご相談ください。

多くの場合において、遺産分割協議をするために財産目録(遺産目録)は必須のものとなります。
財産目録を作ることで、遺産分割協議から財産が漏れてしまうことを防ぐことができますし、遺産分割の対象となる財産についての各相続人の認識を統一することができます。
財産目録を作らずに遺産分割をしてしまうと、特に道路部分の土地や既に耕作をしていない畑、普段使われていなかった預金口座などが遺産分割の対象から漏れてしまうことがあります。
その場合、漏れた財産のためだけに遺産分割協議や相続手続きをしなければならなくなります。

財産目録とは

財産目録(遺産目録)とは、遺産分割の対象となる財産を一覧としたものです。
不動産、預貯金、有価証券・・・などの財産の種類ごとに遺産を整理し、一覧表の形にします。
各相続人はこの財産目録を確認し、遺産分割の対象とすべき相続財産についての認識を共通のものとします。その上で遺産分割協議を行うことにより、スムーズな遺産分割協議等を行うことができます。

財産目録を作成できるのは誰?

財産目録は、ほとんどの場合、被相続人が亡くなり、相続が開始されてから、相続人が作ることになります。多くの場合、一人ないし一部の相続人が中心となって財産目録が作成されることが多いようです。
他にも、生前に被相続人自身が作成するケースもあります。この場合は被相続人が相続税対策や遺言書を作成していることが多いですが、遺言書がない場合でも、遺産分割がスムーズにいくように作成するケースもあります。
また、遺言書があるケースで、遺言書に遺言執行者が指定されている場合、遺言書に書かれている相続の手続きは基本的に遺言執行者が行うこととなります。この場合、財産目録の作成も遺言執行者が行うこととなります。

財産目録を作成するメリット

今度は、ご本人が生前に財産目録を作成することについてのメリットについてお話しします。
生前に本人が財産目録を作ることで、必要な相続税対策を行うことができたり、遺言書作成をスムーズに行うこともできます。また相続開始後にスムーズな遺産分割が行われることが期待できます。

生前贈与等の相続税対策ができる

ご本人が生前に財産目録を作成することで、相続税対策の必要性の有無や、必要となる相続税対策の内容を判断することができます。
例えば、財産目録を作成し、現在の財産の評価額が明らかになると、現時点でどれくらい相続税がかかりそうであるのかの見込みを知ることができます。
相続税がかかる場合には、かかる相続税の金額や税率、贈与した場合の贈与税率などに照らしながら、適切に生前贈与をしていくことで、相続税を減免させる効果も期待できます。

相続税申告の際に便利

先ほど述べたように、ご本人が財産目録を作成することによって、相続開始時にかかる相続税の見込みを知ることができます。
ご本人や相続人らは、あらかじめ納める必要のある相続税の金額を知ることができ、あらかじめ準備しておくことができます。
また、実際に相続税申告書を作成する際の参考とすることもでき、スムーズな手続きを期待できます。

遺産分割協議がスムーズになる

また、あらかじめご本人が財産目録を作成しておけば、相続開始後、すぐに、相続人らが遺産の全容を知ることができ、遺産調査が容易になります。
そのため、早い段階から内容のある遺産分割協議を行うことが期待できます。
特に、相続開始後10か月以内に相続税申告が必要である場合などには、余裕をもって遺産分割協議を行うことができる点で非常に有効です。

相続トラブルを防げる

財産目録を作成しておくことによって、遺産分割から一部の財産が漏れてしまうことを防ぐことができます。
特に、家の敷地と建物は遺産分割の対象となっているのに、隣地の所有者と共有になっている道路部分が抜けてしまっていたり、普段使っていなかったり、相続人に知られていない預金口座が抜けてしまったりすることなどが多いです。
このような事態が生じると、改めて遺産分割協議を行ったり、登記を依頼したり、銀行についての相続手続きを行う必要があり、余計な負担が生じてしまいます。
相続放棄は、相続開始後3か月以内に行う必要があり、非常にタイトなスケジュールで判断を行う必要があります。
あらかじめ、ご本人が財産目録を作成しておけば、相続開始後すぐに相続人が財産を把握することができますから、相続放棄の是非の判断をスムーズに行うことができます。

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財産目録の作成方法

財産目録の書き方

相続税対策や財産整理、遺産分割協議の資料とする財産目録については決まった書式はありません。手書きでもパソコンでも問題ありません。もっとも編集や加筆の容易さからパソコンで作られる方が多いようです。

記載する内容

預貯金

預貯金については、一般的に、金融機関名、支店名、口座番号、残高を記載することが必要であるといえます。

不動産

不動産については、登記を取り寄せて、登記に記載されている情報を記載します。多くの場合、所在、地番(家屋番号)、地目(種類構造)、地積(床面積)、持分、評価額等を記載することが必要といえます。
なお、登記がない場合は、固定資産税納税通知書の不動産一覧が記載されている欄をもとに記載するか、固定資産税評価証明書を取り寄せたうえでその内容をもとに記載することがよいでしょう。

有価証券

株式等については、銘柄、証券番号、単価基準日、単価、数量×単価(評価額)等を記載していくことが必要であるといえます。

自動車等の動産

動産をどこまで詳しく具体的に記載するのかは悩ましい問題であるのですが、一定以上の価値のあるものを特定して個別に記載し、それ以外については「家庭用財産」などとして一括で数万から数十万(実際の家具等の価値にもよります)等で評価することも多いようです。
一般によく動産の中でも特定されて記載されるものの例としては、自動車があります。
自動車がある場合、車検証を元に、登録番号、車体番号、登録年式、評価額等を記載するのがよいといえます。

借金やローン等の負債

負債がある場合、相続税の金額や、相続人が相続放棄するか否かにも影響をするため、きちんと記載をしておく必要があります。
具体的には、借入先名(金融機関名および支店名等)、借入金額(残高)等は少なくとも記載しておく必要があります。

財産目録はいつまでに作成すればいい?

相続税対策の資料や遺産分割協議の資料とするための財産目録自体には、いつまでに作成しなければならないとの期限はありません。
しかしながら、相続放棄や相続税申告はそれぞれ3か月と10か月の期限となっており、スケジュールが非常にタイトになります。加えて、相続開始から3年以内の相続人への贈与は、相続税申告上は相続財産に持ち戻されてしまいますから、相続税対策は早期に対策し、十分な準備期間をとる必要があります。
基本的に、財産目録を早く作ることにはデメリットはないことからしても、早期の作成をお勧めします。

財産目録が信用できない・不安がある場合

次に相続開始後の問題ですが、ご自身で財産目録を作成していない場合、相続開始後、他の相続人から遺産目録を受け取ったが信用できないという問題が生じることがあります。
この場合には、自ら財産調査をし、財産目録を作成しなおしたり、家庭裁判所での遺産分割調停を利用することが必要となることが考えられます。

円滑な相続は財産目録の作成が大切です。弁護士へご相談ください

ご本人が財産目録を作成する場合でも、相続開始後相続人の方が財産目録を作成する場合でも、どこから手を付けてよいかわからないという方もたくさんいらっしゃると思います。
また、他の相続人が作成した財産目録が信用できず、改めて財産調査をする場合は、その後相続が紛争化する可能性が高いものといえます。
このような場合には、一度弁護士にご相談いただき、財産目録の作成から弁護士に任せていただくのも良い選択肢であるといえます。
そのような場合には一度ぜひご相談ください。

交通事故に遭った場合に、どのような手続きが必要なのか、わからなくてお困りの方が多くいらっしゃいます。そこで、以下では、事故に遭ってから示談までの大まかな流れについてご説明します。

交通事故後から示談までの流れ

・交通事故発生
⇒(怪我があれば)治療開始
⇒治療終了(完治or症状固定)
⇒(怪我が完治しなかった場合)後遺障害の等級認定申請
⇒示談交渉
⇒示談成立・示談金受領

交通事故発生直後にすべきことは?

交通事故に遭った直後には、警察に事故の発生を報告し、加害者の氏名・住所・連絡先、加害者の加入している保険会社等を確認し、自分が契約している保険会社にも事故の発生を連絡することになります。
その上で、身体に異常があれば、病院で診察を受け、警察に人身事故の届出をする必要があります。警察に人身事故の届出をする際には、診断書の提出を求められますので、病院で診察を受けた際に作成をしてもらう必要があります。

治療、通院(入院)開始 ~ 加害者側の保険会社とのやりとり

交通事故に遭った場合に、身体に違和感がある、痛みがあるといった場合には、整形外科又は外科で診察を受けることをお勧めします。事故後の予定等は、あるかと思いますが、可能であれば、事故当日、遅くとも翌日には診察を受けた方がいいでしょう。
事故当日には痛みがなかったのに、事故から数日経過してから痛みが出てくることも珍しくありません。その場合には、痛みが出たらすぐ受診するようにしてください。

保険会社とのやりとりの流れ

交通事故に遭った場合、加害者が任意保険に加入していた場合には、保険会社が治療費を負担してくれるのが一般的な対応です(「一括対応」等と言われます。)。この場合に、被害者は、治療費の負担をすることなく、治療をすることができます。もっとも、保険会社は、必ずしも怪我が完治するまで治療費を負担してくれるというわけではなく、一定期間で、治療費の支払いを打ち切ってしまうことが多くあります。

一方、加害者が任意保険に加入していない場合には、一括対応をされることがないのが一般的です。そのため、被害者は、自費で治療費を負担するか、ご自身が加入している自動車保険に人身傷害保険特約を付帯している場合には、特約で対応することになります。なお、自費で治療費を負担した場合には、加害者が加入している自賠責保険に治療費等を請求することは可能です。

症状固定

症状固定とは、これ以上適切な治療を加えても症状の改善が見込まれないと思われる状態又は時期をいいます。そのため、治療を継続しても、症状が一進一退の場合等は、保険会社から「症状固定」であるとして、治療費の打ち切りを申し入れられる可能性があります。
なお、傷害慰謝料は、治療期間に応じて算定されます。怪我が完治すれば、完治までの期間で算定されますが、怪我が完治に至らなかった場合には、症状固定までとなります。

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後遺障害等級認定

後遺障害等級が認められた場合には、等級に応じた慰謝料の賠償を受けることができます。そのため、後遺障害等級が認定されるか否かは、示談の際に受け取る示談金の総額に大きな影響を及ぼします。
後遺障害の等級認定申請にあたっては、医師に後遺障害診断書の作成をしてもらう必要があります。診断書には、残存した症状に応じて検査を受け、その結果を診断書に記載してもらう必要があります。この診断書に適切な傷病名、自覚症状、他覚所見を記載してもらえないと、適切な後遺障害等級の認定を受けることが困難となります。そのため、後遺障害等級認定申請前には、一度診断書を弁護士に確認してもらうことをお勧めします。
なお、等級の認定内容に応じて請求できる賠償額に影響がある場合もありますので、申請書類、等級の認定通知書等は、保管しておくことをお勧めします。

後遺障害の等級が認定されなかったら?

後遺障害等級が認定されなかった場合、等級が認定されたものの認定された等級に納得がいかない場合には、この結果について異議申し立てをすることができます。ただし、最初の申請時に提出した資料と同じものを提出するだけでは、同じ結果になってしまいますので、新たに等級の認定に有利になるような資料を提出する必要があります。
異議申立をした場合には、結果が戻ってくるまでに最初に申請したのと同程度の期間がかかることが一般的です。

示談交渉開始

すでに説明したとおり、慰謝料は治療期間や認定された後遺障害の等級によって変動します。そのため、治療中や後遺障害認定前ではなく、治療が終了し、後遺障害の認定を受けてから示談交渉を開始することをお勧めします。

示談の期間はどれぐらいかかる?

示談交渉はケースバイケースですが、数週間から1か月程度で合意が成立することが多いと思われます。しかし、過失割合、損害の項目、治療期間等について争いがある場合には、それ以上に時間がかかる場合もあります。

示談書が届くまでの期間

賠償額について合意ができ、示談が成立した場合には、保険会社から示談書が送付されてきます。一般的には、数日から1週間程度で手元に届きます。

交通事故の示談交渉で何が請求できるか?

交通事故に遭った場合の示談金としては、一般的に治療費、通院交通費、休業損害、慰謝料が請求することができます。後遺障害等級が認定された場合には、後遺障害が残存したことに対する慰謝料と逸失利益の請求が可能となります。
事案によっては、上記以外の項目についても賠償請求をすることが可能となる場合もあります。
なお、主婦の場合には、仕事を休むということはありませんが、怪我により家事労働をすることができなくなる場合もありますので、休業損害の請求ができる場合があります。

死亡事故の示談交渉について

ご家族の方が事故で亡くなってしまった場合、お葬式費用等も賠償の対象となるため、お葬式や49日の法要が落ち着いた段階で交渉を開始すれば十分です。もっとも、亡くなった方の交通事故の損害賠償請求は、相続の対象となりますので、相続人同士で意見が対立する場合には、相続人間で、どのように交渉をするか決まってからにするのがいいでしょう。

示談交渉を自分で(被害者が)行う場合の注意点

示談交渉を自分で行う場合には、請求できるにもかかわらず、請求していない損害がないかどうか、示談金額が適正かどうか、確認が必要となります。とはいえ、金額が適正なのか、わからないことも多いかと思います。その点で、ご自身で示談交渉をすることは難しいかと思います。
後述しますが、一度示談をしてしまうと、追加で示談金を請求することはできません。そのため、示談金額に不満がある場合には、合意してはいけません。

示談交渉成立

示談金額に納得できるようであれば、示談を成立させることになります。合意が成立したら、保険会社から示談書(免責証書)が送られてきます。示談書には、「この示談金を受け取ったら、これ以上のお金の請求はしません。」という内容が記載されています。そのため、そのことを理解した上で、示談書に署名をするようにしてください。

示談から支払いまでの期間

保険会社との示談が成立した場合には、保険会社から送られてきた示談書(免責証書)に署名押印して返送して初めて示談金が支払われます。一般的に示談金は、示談書返送後数日から2週間程度で支払われます。

休業損害とは

休業損害とは、交通事故を原因として、仕事を休んだことによって収入が減少したことによる損害です。
一方で、似た用語としまして、休業補償というのがあります。休業補償は、勤務中または通勤中に遭った交通事故が原因で怪我などを負い、仕事を休むことになった労働者に対して支払われる補償です。休業補償は、労災保険から支払われるのに対し、休業損害は、自賠責、任意の保険会社又は加害者から支払いを受けるという点で異なります。
以下では、休業損害について、述べていきます。

休業損害の計算方法

休業損害の計算方法は、自賠責保険による自賠責基準、加害者が加入する保険会社が定める任意保険基準、過去の裁判例をもとにした弁護士基準があります。任意保険基準は、自賠責保険よりも若干高めとなることがありますが、独自で定めた基準であるうえ、内容が公表されていません。そこで、自賠責基準、弁護士基準での休業損害の計算方法について述べていきます。

なお、自賠責基準の場合には、1日6100円(令和2年3月31日以前の事故の場合には5700円)として計算しますが、弁護士基準の場合、1日当たりの休業損害額については手取り額ではなく、給与合計額をもとに計算します。

自賠責基準での計算

自賠責基準の休業損害は
6100円×休業日数
です。

収入の減少が6100円を超えることの立証ができる場合には、日額最大1万9000円を限度として支払いがされます。休業により収入の減少があった場合に限らず、有給休暇を取得して休業した場合も休業日数に含まれます。
なお、自賠責から支払われる金額は、傷害部分の損害として120万円までという制約がありますので、上記計算式で算出される金額の満額が支払われるとは限りません。

弁護士(裁判)基準での計算

弁護士基準の休業損害は、
日額基礎収入額×休業日数
です。

自賠責基準では、日額6100円となりますが、弁護士基準では被害者の職業や収入に応じた基礎収入額をもとに休業損害を算出します。また、自賠責基準と異なり、支給額の上限も定められていません。

基礎収入について

休業損害の請求をする際、弁護士基準では、上記のとおり、基礎収入額をもとに損害額の計算をします。つまり、基礎収入額の算定が重要となってきます。
勤務先に、休業損害証明書という書類の記載をしてもらい、当該書類に記載の過去3か月分の給与をもとに、1日当たりの基礎収入額を計算します。一方で、休業損害証明書の取得ができないような職種、例えば、自営業者の方や主婦の方などの場合には、別の計算方法によります。
以下では、基礎収入の算定の仕方について説明していきます。

給与所得者

給与所得者の場合には、休業損害証明書をもとに基礎収入を算出します。
事故前3か月の収入が75万円だった場合、
75万円÷90日=日額8333円
が基礎収入となります。

弁護士基準として算出する場合、90日ではなく、実際に稼働した日数をもとに日額の基礎収入を計算します。この場合、上記計算よりも請求額が高くなります。
なお、給与の変動が大きい場合、過去3か月の平均価格をもとに算定しますし、変動して増額するのであれば、就労時の契約書等などの根拠資料をもとに増額することを立証していく必要があります。

自営業者

自営業者の場合、給与所得者のように休業損害証明書が作成されません。そのため、自営業者の方が休業損害を請求する場合、別途資料を要します。事故前年の所得税確定申告所得によって、収入を認定し、日額を計算します。固定費については、控除せずに基礎収入を計算します。

事故前年の所得が合計500万円だった場合、
500万円÷365日=日額1万3699万円
となります。

なお、申告所得額が過少となり、事故前に相当上回る収入を得ているものの、実所得額を確定する証拠が不十分な場合には、賃金センサスを用いて基礎収入を認定することもあります。

専業主婦(夫)と兼業主婦

専業主婦の場合、家事労働を経済的に評価し、
事故前年の女子の平均賃金÷365日
で算出された金額が基礎収入となります。ただし、事故時から日数が経過していくにつれて症状が回復していき、家事労働への支障も徐々に緩和していくことも考えられますので、家事労働への影響を、事故時から最初の3か月を100%、次の60日を50%、残りの90日を30%と計算する方法もあります。

兼業主婦の場合、主婦としての休業損害又は実収入をもとに計算することが出来ます。平均賃金で計算した場合よりもパート収入で得た実年収の方が高額である場合には、パート収入で得た実年収を基礎収入として計算します。
実年収が算定できない場合には、賃金センサスをもとの基礎収入を算定します。これは、下記のURLに掲載のように、年齢、性別、学歴などにより、平均的賃金を掲載した表をもとに算出します。

学歴、性別の平均賃金:厚生労働省

会社役員

会社役員の場合、役員報酬は、労務提供の対価部分と利益配当の実質をもつ部分とに分けられますが、休業損害の基礎収入は、労務提供の対価部分をもとに算出します。利益配当部分については、休業損害の算出に当たって考慮されません。

無職(失業中)

休業損害は、交通事故を原因として休業して損害が生じた場合に認められる項目です。そのため、無職・失業中の場合には、交通事故を原因として損害が生じたと言えませんので、休業損害は認められません。もっとも、事故前に就職先が決定している場合、被害者の就労の能力・就労の意思・就労の蓋然性が認められる場合には、賃金センサスや失業前の収入額を基礎収入として休業損害を請求できる可能性があります。

休業損害の計算時に用いる稼働日数とは?

稼働日数は、実際に労働した日数のことです。
休業損害は、基礎収入額と休業日数をもとに算出しますが、弁護士基準では、基礎収入額を事故前3か月の給与合計額を当該期間の実稼働日数で算出します。
有給休暇を取得した場合、実際に仕事をしているのでありませんが、稼働日数は、給与が発生する対象となる日ですので、基礎収入額の計算のうえでも、実稼働日数に、有給取得日も含めて計算します。
遅刻・早退した日がある場合、遅刻・早退した日の勤務時間の合計時間を1日あたりの勤務時間で割って出た日数を稼働日数として計算に加えます。

休業日数の算定

休業日数とは、事故による傷病のために仕事を休む必要があると認められる日数です。ただし、休んだ時期、傷病の内容、治療経過などから、総合的に判断されます。そのため、実際に休んだ日数全てが休業日数として認められるとは限りません。

休業日数を証明するためには

給与所得者の場合、休業損害証明書に、休んだ日付や早退・遅刻した日付及び時間を記載してもらうことで、具体的な休業日数を明らかにしていきます。

土日に通院した場合

土日に通院した場合、基本的には、土日を休業損害算定のための休業期間に入れて計算しません。
もっとも、任意保険基準では、休業初日から連続して休業している場合、土日も通院しているなら、土日も含めて休業日数として扱われます。

有給を使用した場合

有給を使用した場合でも、本来なら自分のために自由に使用できる日を事故による傷害のために欠勤せざるを得ない日に充てたことになりますので、有給休暇を取得して休業した日数も休業損害算定のための休業日数に入れて計算します。

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休業損害の計算例

休業損害の計算方法は、自賠責基準の場合か弁護士基準の場合かという、どの基準を用いて計算するかで、金額が異なってきますし、給与所得者、自営業者、主婦などの職種によって算定方法や必要となる資料も異なってきます。そこで、以下では、それぞれの場合での計算方法を見ていきます。

給与所得者

①給料の変動がない場合・事故前3ヶ月の給料 120万円・休業日数 30日

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×30日=18万3000円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
1日当たりの基礎収入は、
120万円÷90日=1万3333円
となります。なお、稼働日数が90日よりも短いのであれば、90日ではなく、稼働日数をもとに1日当たりの基礎収入を計算します。
この場合の休業損害は
1万3333円×30日=39万9990円
となります。

②給料の変動がある場合・1ヶ月前の給料 25万円・2ヶ月前の給料 20万円・3ヶ月前の給料 23万5000円・休業日数 45日

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×45日=27万4500円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
1日当たりの基礎収入は、
(25万円+20万円+23万5000円)÷90日=7611円
です。なお、稼働日数が90日よりも短いのであれば、稼働日数をもとに1日当たりの基礎収入を計算します。
この場合の休業損害は
7611円×45日=34万2495円
となります。

自営業者の休業損害の計算例

① 前年度所得400万円・固定費15万円・休業日数50日

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×50日=30万5000円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
年間固定費15万円として、1日あたりの基礎収入を計算すると
(400万円+15万円)÷365日=1万1370円
上記1日あたりの基礎収入をもとに休業損害を計算すると
休業損害=1万1370円×50日=56万8500円
となります。

② 前年度所得(固定費込み)1500万円・休業日数90日・税金対策のため1000万円で申告していた

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×90日=54万9000円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
実際の収入が確定申告よりも少なかった場合、売上表、金銭出納帳、銀行口座の通帳などをもとに、申告額よりも所得が高かったことを主張する必要があります。しかし、確定申告という公的書類を重視する傾向にありますので、実所得額が申告額を上回っている場合、申告額で計算される傾向にあります。実所得額と申告額のそれぞれの場合での休業損害の計算をします。

ア 所得額1500万円で計算する場合
1日あたりの基礎収入=1500万円÷365日=4万1096円
休業損害=4万1096円×90日=369万8640円

イ 申告額1000万円で計算する場合
1日あたりの基礎収入=2万7397円
休業損害=2万7397円×90日=246万5730円
となります。

申告額と実際の所得額が一致しない場合には、上記のように受け取れる休業損害の金額に差が出てきますので、請求する際には注意が必要です。

主婦の休業損害の計算例

①兼業主婦・パート収入月8万・週4日勤務・通院日数50日

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×50日=30万5000円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
パート収入をもとに基礎収入を計算する場合ですが、月8万円、週4日勤務、月16日勤務として計算すると
1日あたりの基礎収入は
8万円÷16日=5000円
となります。
上記の1日あたりの基礎収入をもとに計算しますと
休業損害=5000円×50日=25万円
となります。
この場合、以下に述べるような、専業主婦としての基礎収入をもとに計算した方が有利となりますので、弁護士基準で損害額請求する場合には、専業主婦として計算します。

②専業主婦・通院日数60日

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×60日=36万6000円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
女性、大学卒、年齢35歳、令和元年の賃金センサスをもとにしますと、平均賃金は、488万8100円となります。これをもとに1日あたりの基礎収入を計算しますと
488万8100円÷365日=1万3392円
となります。
上記1日あたりの基礎収入をもとに、休業損害を計算しますと
休業損害=1万3392円×60日=80万3520円
となります。

アルバイトの休業損害の計算例

①事故前3か月分の収入36万円・休業日数20日

⑴ 自賠責基準の場合
休業損害=6100円×20日=12万2000円
となります。

⑵ 弁護士基準の場合
1日あたりの基礎収入は
36万円÷90日=4000円 となります。なお、実際の稼働日数が90日よりも短いということであれば、稼働日数をもとに1日あたりの基礎収入を計算します。
上記基礎収入をもとに休業損害を計算しますと
休業損害=4000円×20日=8万円
となります。

なお、自賠責の場合、治療費、慰謝料、休業損害を含めて120万円の限度額の範囲内での支払いとなりますので、自賠責に請求した場合に、上記のような自賠責基準の休業損害の支払いを受けられるとは限りません。

休業損害の計算についてわからないことがあれば弁護士にご相談ください

これまで、休業損害の計算方法について説明してきましたが、交通事故に遭われた方の事情によっては、上記の枠内で説明することが困難となることが多数あります。また、給与所得者の場合には、休業損害証明書や源泉徴収票の提出で足りることもありますが、他の場合には、別途収入を示す資料が必要となることもあります。その場合に、どういった資料の提出が必要となるか迷われることもあると思います。
休業損害の請求で損をしないように、少しでも迷われた方は遠慮なくご相談ください。

離婚後に、養育費が支払われなくなるケースは残念ながら多くあります。また、一度取り決めた養育費の金額について、再度、揉めるというケースもあります。
そのような問題は、当事者同士で話し合ってもなかなか合意できないことがあります。そのような場合、「養育費調停」という方法があります。養育費調停は調停委員という第三者を挟んで行われるため、当事者同士で話し合いよりも、スムーズにかつ適切な養育費を決めやすく、有効な方法です。
本記事では、そんな養育費調停の流れや注意点を解説します。「相手と養育費で揉めている・・・」とお困りの方は、ぜひご覧ください。

養育費調停でできること

養育費調停では、適切な養育費を支払うよう相手に請求することができます。
また、「離婚後に環境が変わったため、一度決めた養育費を変更したい」という場合も、調停で養育費の増額・減額を求めることができます。

養育費は子供の生活にかかわる重要なお金です。そのため、基本的に子供を監護しない親(義務者)は、たとえ自身の生活が苦しくても、子供を監護する親(権利者)に養育費を支払わなければなりません。子供の生活に関わることですので、養育費の揉め事はうやむやにせず、きちんと調停で話し合いましょう。

養育費の請求

「相手と養育費で揉めている」「取り決めた養育費を相手が支払わない」といった際に、調停で養育費の金額・支払い方法・支払い期間等を取り決め、相手に請求することができます。

なお、養育費の金額は、両親の年収や雇用形態・子供の人数や年齢をもとに、「養育費算定表」を用いて決めるのが一般的です。ただし、養育費算定表は目安に過ぎないため、そのほかの個別事情(子供が私立学校に通っている、子供の習い事が多い、子供の病気等)があれば、話し合いで金額を調整することが可能です。

養育費の増額

「離婚後に環境が変わり、取り決めた養育費では足りなくなった」「権利者・義務者の収入の変化から、取り決めた養育費では不相当になった」という場合、権利者は、相手に養育費の増額を請求できます。例えば、子供の大学進学が決まった、権利者が病気で働けず減収した、子供に高額な医療費がかかるといった場合です。

どれほど増額できるかは個別事情をもとに判断されるため、増額を請求する際は、自身の減収等がわかる資料(源泉徴収票・医療費の明細書等)を提出し、生活が苦しいと主張することなどが重要です。

養育費の減額

義務者は、やむを得ない事情(会社の倒産、病気等)で自身の収入が減ったり、権利者の収入が増えたりした場合、養育費の減額を請求することができます。また、義務者が再婚して扶養家族が増えた場合も、減額できる可能性があります。

一方、権利者が再婚するケースもあるでしょう。その場合、「子供と再婚相手が養子縁組をした」のであれば、養育費を減額してもらえることが多いです。なぜなら、養子縁組をすると再婚相手が子供の法律上の親となり、また、義務者よりも優先して、子供を扶養すべき立場となるためです。

養育費調停の申立てに必要な書類

養育費調停の申立てに必要な書類は、以下のとおりです。

  • 申立書※とそのコピー・・・各1通(コピーは相手方に送付されます。)
  • 事情説明書※・・・1通
  • 連絡先等の届出書※・・・1通
  • 進行に関する照会回答書※・・・1通
  • 子供の戸籍謄本(全部事項履歴証明書)・・・1通
  • 申立人の収入がわかる資料(源泉徴収票のコピー・確定申告書のコピー等)
  • 非開示の希望に関する申出書※・・・1通(必要な場合のみ)

※裁判所のホームページから入手できます。

養育費調停にかかる費用

養育費調停の申立てには、以下の費用がかかります。

  • 収入印紙・・・子供1人につき1200円分
  • 連絡用郵便切手・・・約1000円前後

連絡用郵便切手の金額は、裁判所によって異なります。あらかじめ管轄の裁判所のホームページやお電話でご確認ください。

調停の流れ

ここから、養育費調停の具体的な流れをみていきます。
「養育費調停をしようか迷っている」「どれくらいの期間がかかるか不安」といった方は、ぜひ参考になさってください。

家庭裁判所へ調停を申し立てる

まず、家庭裁判所に調停を申し立てます。「相手の住所地の家庭裁判所」または「当事者が合意して決めた家庭裁判所」に、必要書類を提出すれば完了です。
その後、家庭裁判所が調停の日時を決め、申立てから約2週間で当事者双方に「呼出状」が届きます。なお、1回目の調停は申立てから1~2ヶ月後になるのが一般的です。

第1回目養育費調停に出席

呼出状の日時になったら、当事者双方が家庭裁判所へ行き、第1回目の養育費調停を行います。
調停では、裁判官1名と調停委員2名(男女1名ずつのケースが多いです)が、当事者それぞれの意見を聞きながら話し合いを進行していきます。なお、基本的には、調停委員のみによって進められ、裁判官は重要な説明を行うときや、調停の成立のときに同席することが一般的です。
また、調停の所要時間は約2時間とお考えください。

第2回目以降の調停

第1回目の調停で当事者が合意できなかった場合、約1ヶ月後に第2回目の調停期日が設定されます。それでも合意できなければ、その後は1ヶ月に1回のペースで第3回目、第4回目・・・と調停が続きます。

調停の成立

当事者が合意すれば、「調停成立」で調停が終了します。調停が成立すると取り決めた内容で調停調書が作成され、読み上げと内容確認が行われます。口頭での読み上げとなりますので、しっかりと聞き、内容をチェックしましょう。
一方、何度調停を行っても当事者間で合意できない場合や、調停委員が「これ以上話し合っても合意できないだろう」と判断したりした場合は、「調停不成立」となり審判へ移行します(詳しくは後述します)。
なお、申立人が途中で調停を取り下げることも可能です。その場合、「調停取り下げ」で終了します。

不成立になった時はどうなる?

調停不成立となった場合、そのまま「審判」に移ります。審判では、調停で話し合った内容や提出された証拠、その他すべての事情を考慮し、裁判官が養育費の判断を下します。、そのため、調停や審理期間中に、必要な主張をし、有利な証拠を提出できたかがカギといえるでしょう。

審判が下されると審判書が作成され、当事者からの異議申立てがなければ審判が確定します。なお、審判書には強い効力があるため、守らない相手には強制執行(財産の差し押さえ)をすることができます。

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養育費調停を有利に進めるポイント

養育費調停を有利に進め、できるだけ納得のいく結果を得るには、いくつかのポイントがあります。以下で5つのポイントを確認しておきましょう。

養育費の相場

養育費調停を行う前に、養育費の相場を知っておくことが重要です。具体的な金額をイメージできるだけでなく、妥当な金額で請求すれば相手も納得しやすくなるからです。

養育費の相場は、調停や裁判でも使われる「養育費算定表」から求めることができます。例として、【権利者の年収150万円、義務者の年収500万円、どちらも会社員、子供1人(0~14歳)】のケースで養育費の相場をみてみましょう。
「子1人表(子0~14歳)」の表にそれぞれの雇用形態と年収をあてはめ、交わる枠をみると、「4~6万円」が相場だとわかります。

養育費算定表

調停委員を味方につける

調停委員は、調停を進行したり、時には解決策を提案したりするキーパーソンです。そのため、調停委員を味方につけることは、調停を有利に進めるための重要なポイントです。
味方につけるにはどうすべきか悩まれるかもしれませんが、重要なのは「調停委員の心に訴えること」です。根拠をもって自身の主張を伝えたり、しっかりコミュニケーションをとったりすれば、調停委員も納得し味方につけやすくなるでしょう。

養育費の請求が正当であることの証明

養育費の請求が正当だと調停委員に認めてもらうには、「なぜその金額の養育費が必要なのか」「なぜ養育費を増額すべきなのか」の根拠を揃えることが重要です。例えば、相手の収入がわかる資料(源泉徴収票・確定申告書・課税証明書など)や、お金が必要な事情がわかる資料(医療費の明細書・子供の学費など)を揃える必要があります。
なお、相手の収入が把握できない場合、調停で調停委員から相手に資料を提出するよう頼んでもらいましょう。
また、「養育費を減額してほしい」と主張する場合、自身の減収がわかる資料、自身の生活にお金が必要なことが分かる資料等を準備しておきましょう。

審判を申し立てることを検討しておく

養育費の請求では、調停を踏まずいきなり審判を申し立てることができます。「相手が調停に応じないのが明らかである」「話し合ったがまったく合意できそうにない」等の場合、はじめから審判を申し立てた方が早く解決することもあります。

なお、審判を申し立てても、まずは調停をするよう家庭裁判所から促されることがあり、場合によっては、裁判所の職権で調停に付されることがあります。その場合、調停をしても解決しそうにないことをしっかり主張しましょう。

弁護士に依頼する

慣れない調停では、プロである弁護士に依頼するのが有効です。弁護士は、養育費調停での効果的な主張の仕方等を熟知している上、何を主張すべきか、どのような証拠を提出すべきかを理解して調停を進行させます。そのため、適切な話し合いを行いやすくなり、ご自身で対応するよりも有利に進められる可能性が高くなります。また、弁護士は養育費の算定方法にも詳しいため、適切な養育費をしっかり請求することができます。
さらに、弁護士をつけることで、調停委員にこちらの本気度が伝わり好印象を与えることができるでしょう。

よくある質問

養育費調停に相手が来ない場合はどうなりますか?

相手が裁判所からの呼出に応じず調停に来なかった場合、「調停不成立」となり審判に移ります。もはや相手に話し合う意思はないとみなされるからです。
審判では、当事者双方の収入やその他の事情をもとに裁判所が養育費の判断を下すため、相手が来なくても問題ありません。ただし、相手が収入に関する資料を提出してくれない可能性も十分あります。その際は、相手方の勤務先が分かっていれば、裁判所から収入資料の開示を求めるなどして相手の収入を調べられることもあります。また、相手の収入が不明な場合は、「賃金センサス(年齢や学歴別の平均賃金)」を相手の収入とみなしたり、相手の従前の収入から相手の収入を推定するなどして、養育費の金額を決めることがあります。主張や証拠によっては自身に有利な判断をしてもらえる可能性もあるため、弁護士に依頼してしっかり対策することが重要です。

養育費調停で決めた金額を支払わない場合はなにか罰則などはありますか?

調停で取り決めた内容(調停調書)には強い効力が認められています。まず、家庭裁判所から、「履行勧告」や「履行命令」といった支払いの催促をされることがあります。なお、「履行命令」に従わないと10万円以下の過料が科せられる可能性があるため注意が必要です。
また、調停で決まった養育費を支払わずにいると、相手から「強制執行」をされるおそれもあります。強制執行されると、預貯金・不動産などの財産が差し押さえられ、強制的に養育費が回収されます。注意点は、未払い分だけでなく、将来分の養育費も差し押さえられることがあることです。つまり、給与等の差押えの場合、養育費の支払い期間が終わるまでの間、差押えを受け続けることができます。

養育費調停については弁護士にご相談ください

養育費は子供のための重要なお金ですから、相手と話し合っても折り合いがつかないときは、速やかに調停を申し立てるべきです。しかし、いざ調停を申し立てても、証拠の集め方や主張の仕方に悩まれるのが現実でしょう。そこで、ぜひ弁護士に相談されることをおすすめします。養育費に詳しい弁護士であれば、養育費の相場・揃えるべき証拠・効果的な主張方法等を知っているため、おひとりで臨まれるより有利に進めやすくなります。また、専門家がサポートしてくれることで、精神的にも楽になるでしょう。

養育費の悩みをスッキリと晴らすためにも、養育費調停をお考えの方は、まずはお気軽に弁護士法人ALG&Associatesへご相談ください。

長い結婚生活にピリオドを打ち、離婚する夫婦が増えています。このように、長年(約20年以上)連れ添った夫婦が離婚することを「熟年離婚」といいます。
近年の統計によると、離婚件数そのものが減っているなか、熟年離婚の件数が増えています。また、同居期間が長い夫婦ほど離婚しやすくなっていることが明らかになっています。
では、熟年離婚を決意するきっかけは何なのでしょうか。また、いざ熟年離婚するときは何に注意すべきでしょうか。本記事で詳しく解説していきます。

熟年離婚の原因

熟年離婚の主な原因として、「長年のストレス」といわれることがあります。また、高齢の夫婦であれば、生活環境が変わったタイミングで新たな問題が生まれ離婚するケースもあります。以下でいくつか具体例をみてみましょう。

相手の顔を見ることがストレス

長年の結婚生活でストレスが溜まると、相手の顔さえ見たくないと思うようになるでしょう。そんななか、定年退職等で一緒に過ごす時間が急に増え、ストレスに耐えきれなくなり熟年離婚したいと言われることがあります。生活習慣のズレや相手の気に入らない言動が新たに見つかり、熟年離婚のきっかけとなることもあるでしょう。また、1人の時間がなくなったことがストレスという方も少なくありません。

価値観の違い、性格の不一致

価値観の違いや性格の不一致は、常に離婚原因の上位となっています。夫婦といえど他人ですから、性格のズレがあるのは仕方ありません。
熟年離婚では、結婚当初から些細な出来事が積み重なったり、一緒にいる時間が増えたりして、性格のズレに耐えきれなくなったということもあります。
また、若い頃は周囲の視線・将来の不安から離婚を踏みとどまったものの、高齢になるにつれて抵抗が減り、熟年離婚する夫婦もいます。

夫婦の会話がない

婚姻期間の短い夫婦でもそうですが、関係性が悪くなっていると会話が少なくなっていきます。これは、熟年離婚でも同様であり、夫婦の会話が減っている場合、関係性が悪くなっている可能性があります。
かなり関係性が悪くなっていると、挨拶さえしないという熟年夫婦もいます。

また、日々のコミュニケーションが減って孤独感にさいなまれたり、「一緒にいても楽しくない」とネガティブな気持ちになったりすることが、熟年離婚のきっかけとなり得ます。
会話がなくなるから関係性が悪くなることも、関係性が悪いから会話がなくなることもあると思いますが、どちらにせよ夫婦の会話がない場合、関係性がかなり悪化しているかもしれません。

子供の自立

子供の自立も、熟年離婚のきっかけになります。むしろ「子供が自立したら離婚しよう」と早くから決意している夫婦もいるほどです。
このような夫婦は、離婚によって子供が受ける悪影響や親権で揉めるリスクから、子供が小さいうちは離婚を踏みとどまっていますが、子供が自立して気掛かりがなくなったことをきっかけに、離婚に踏み切るということがあります。

借金、浪費癖

熟年夫婦にとって借金や浪費癖は深刻な問題であり、離婚の大きなきっかけとなります。なぜなら、定年退職により安定した収入が得られなくなり、老後のお金を貯めておく必要があったりするためです。また、「金銭感覚のズレに長年うんざりしている」という感情もあるでしょう。

婚姻期間が短い離婚に関しても、借金、浪費等は離婚のきっかけとなりますが、熟年離婚においても、借金、浪費等は重要なきっかけとなります。

介護問題

熟年夫婦となると、親の介護問題が出ていることもあります。この介護問題が原因で、妻から離婚を切り出すケースもあります。介護問題で夫婦関係が悪くなるのか、それとも、夫婦関係が悪くなっているから介護問題が生じるのかは分かりませんが、義両親の介護を行うことが負担で「離婚して解放されたい」と言われることもあります。

熟年離婚に必要な準備

熟年離婚する前に、その後の生活に向け計画的な準備する必要があります。若い世代よりも仕事が見つけにくかったり、家計の収入が急に減ったりする可能性があるため、生活基盤を整えておくことが重要です。具体的にどんな準備が必要か、以下でみていきます。

就職活動を行う

離婚後に安定した生活を送るため、収入源の確保は最重要といえます。できるだけ離婚前に就職先を決めておくと安心です。とはいえ、専業主婦やパート勤務だった方は、十分な生活費が稼げるかご不安でしょう。

離婚したいと思ったら早めに就職サイトや情報誌を調べ、自身に合う仕事を探しておくことが重要です。また、資格やスキルを身に付けておいても有効でしょう。ただし、専門的な資格や国家資格は実務経験が問われるものもあるため、注意が必要です。

味方を作る

離婚前に、ご自身の味方となってくれる人を見つけておくことも重要です。子供・親戚・友人等と幅広く交流しておくと良いでしょう。
熟年離婚した後は、思わぬ孤独を抱えたり、不安になったりすることもあります。また、1人で生活していく方は、体調面で助けが必要なときもあるでしょう。そんな「もしも」のため、味方を作っておくと安心です。 また、離婚で相手と揉めて裁判に発展した場合、味方が証人になってくれる可能性もあります。

住居を確保する

離婚後の住居として、元々住んでいた家を出ていく場合、実家に帰ったり、賃貸住宅を借りたりすることになります。いずれにしても、費用(引っ越し代金、家賃等)・職場からの距離・周辺環境等を考慮し、最適なものを選びましょう。また、賃貸住宅の場合、公営住宅などで費用を抑えることも考えられます。

なお、財産分与によって夫婦で住んでいた家を譲り受け、住み続ける方もいます。この場合、ローンが残っていれば住宅ローンを誰が支払うのか、そのほか管理費や維持費はどれほどかかるのかについて、あらかじめ確認しておくことが重要です。

財産分与について調べる

財産分与は、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産(共有財産)を、離婚時に1/2ずつ分け合うのが基本です。熟年離婚では、結婚生活が長いため共有財産が多いケースがよくあります。
適切な財産を受け取るには、まず共有財産を洗い出す必要があります。代表的なのは預貯金・不動産・車・保険等ですが、熟年離婚の場合、「退職金」も財産分与できる場合があります。

また、相手の隠し財産やへそくりも財産分与が可能です。ただ、相手の隠し口座を特定するのは難しいため、専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。

専業主婦(専業主夫)の場合は年金分割制度について調べておく

熟年離婚される専業主婦(主夫)の方は、年金分割によって年金の受給額を増やせる可能性があります。年金分割とは、婚姻中に納めた厚生年金の記録を、多い側から少ない側に分け与えることです。専業主婦(主夫)であれば「3号分割」にあてはまり、相手の同意なく1/2まで年金分割することができます(ただし、婚姻の時期によっては、相手の同意を必要とします。)。

専業主婦(主夫)にとって、老後の収入である年金が増えるのは重要です。実際に年金分割した際にもらえる金額は年金事務所に確認できるため、離婚前に調べておくと良いでしょう。

退職金について把握しておく

退職金は、すでに支払われていたり、支払われるのがほぼ確実だったりすれば、財産分与できます。また、熟年離婚は定年退職の年齢に近いこともあり、財産分与できるケースが多いです。
高額な退職金を分け合うことができれば離婚後の貴重な資金となるため、支払われる金額や時期を調べておき、漏れなく対応することが重要です。

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熟年離婚の手続き

熟年離婚の流れは、通常の離婚と同じです。
まずは夫婦の話し合いで解決する「協議離婚」を試みます。話し合いで揉めたり、一方が話し合いに応じなかったりする場合、家庭裁判所に「離婚調停」を申し立て、調停委員を挟んで話し合います。調停でも夫婦が合意できなければ「離婚裁判」を起こし、裁判所に、離婚の可否や離婚条件の判断を委ねることになります。
ただし、熟年離婚は財産分与が複雑だったり、取り決めた内容の書面化が重要だったりと注意点も多いため、早めに弁護士に相談されることをおすすめします。

熟年離婚で慰謝料はもらえるのか

離婚の原因が相手にある場合、慰謝料を請求することができます。例えば、相手が浮気・DVをした場合です。
なお、慰謝料の金額は相手の行為の程度や、その行為の期間などに応じて決まるため、熟年離婚では高額になることがあります。証拠を揃えたうえで相手の悪質さを主張できれば、高額な慰謝料が請求できるでしょう。

退職金は必ず財産分与できるわけではない

退職金は給与の一部のため、財産分与することができます。
ただし、全額ではなく「婚姻期間に相当する金額」のみが対象となるため注意が必要です。具体的な金額は、婚姻期間の長さと勤続年数などを踏まえて算出します。
また、退職金が既に支払われている場合・まだ支払われていない場合ではポイントが異なるため、以下でそれぞれご説明します。

退職金が既に支払われている場合

既に支払われた退職金は、財産分与の対象となります。退職金全額のうち「婚姻期間に相当する金額」を算出し、分け合うのが一般的です。
ただし、退職金をすべて使ってしまい手元に残っていない場合、分け合うものがないため、財産分与の対象外になることに注意が必要です。特に、退職金でローンを返済した方などは残金を確認しておきましょう。
とはいえ、相手の浪費のせいで退職金がなくなった場合、ほかの財産を分与する際に多めにもらえるといった考慮がなされることがあります。

退職金がまだ支払われていない場合

退職金がまだ支払われていない場合、「将来的な支給がほぼ確実」であれば、財産分与することができます。この「確実性」は、以下の要素を踏まえて判断します。

  • 退職までの年数(一般的に10年以内かどうか)
  • 勤続年数
  • 就業規則の定め
  • 支払いの実績
  • 会社の経営状況

この場合、財産分与で受け取る金額は、別居時や離婚時を退職日とみなして計算したり、定年退職時に支払われる退職金を前倒しで分け合い、利息を控除して計算したりします。ただし、計算方法は複雑なため、弁護士などに相談するのが安心でしょう。

熟年離婚したいと思ったら弁護士にご相談ください

熟年離婚では、相手がなかなか離婚に応じてくれなかったり、財産分与で揉めたりして話し合いが難航することが多々あります。そこで、お早めに弁護士にご相談ください。弁護士は熟年離婚の注意点や相場について知識が豊富なため、スムーズに話し合いを進めることができます。また、調停や裁判に発展しても、証拠集めのアドバイスをしたり、ご依頼者様の代わりに有効な主張ができたりと多くのメリットがあります。

きちんと離婚を成立させて新たな一歩を踏み出すためにも、熟年離婚を決意されたら、ぜひ弁護士法人ALG&Associatesへご相談ください。

人が亡くなると相続が発生します。遺言書があれば、原則、遺言書に従うことになりますが、遺言書がない場合、法律で定められた者が被相続人の遺産を相続していくこととなります。ここで問題となるのは、誰が相続人になるのかということです。例えば、亡くなった方(以下、「被相続人」といいます。)に配偶者、子、親、兄弟姉妹などがいた場合、誰が被相続人の遺産を相続するのでしょうか。これが決まらないと、遺産を引き継ぐ者が分かりませんので、相続を進めることができません。
ここでは、法律上、誰が相続人となるのかについて、記載していきます。

法定相続人とは

被相続人の遺産を引き継ぐ者については、法律上、定められています。このように法律が定めた被相続人の遺産を相続する者を法定相続人といいます。

法定相続人には、配偶者と被相続人と一定の血縁関係がある者です(なお、具体的に誰が法定相続人に当たるのかは後述します。)。上記のとおり、誰が相続するのか決まらなければ、相続を進めていくことはできません。そのため、誰が法定相続人なのかを調べる必要がありますが、配偶者か一定の血縁関係がある者が法定相続人ですので、戸籍を確認することで調査することができます。

法定相続人の範囲

法定相続人となり得る者は、原則として、被相続人の配偶者と被相続人と一定の血縁関係がある者です。具体的には、被相続人の配偶者、子、直系尊属(両親、祖父母等)、兄弟姉妹が法定相続人となります。

ただし、全員で等しく相続をするわけではなく、法定相続人の順位や相続分などが異なっています。以下において、それぞれの法定相続人について、説明をしていきます。

配偶者は必ず相続人になる

まず配偶者は、法定相続人に当たります。配偶者は、ほかの法定相続人とはやや異なり、常に相続人となります。つまり、法定相続人には順位があり、先の順位の法定相続人がいる場合は、後順位の法定相続人は相続できないところ、配偶者は、被相続人に子、両親、兄弟姉妹の誰がいても、その最も順位が高い者と一緒に、相続することができます。
なお、配偶者の相続分は、ほかの誰と一緒に相続するかによって異なります。

子供がいる場合

被相続人の子は、第1順位の法定相続人になります。そのため、被相続人に子がいる場合は、子が相続人となり、両親、兄弟姉妹は相続することができません。ただし、配偶者は、常に相続人となるため、子とともに相続することとなります。

この場合における、配偶者と子の相続分は、それぞれ2分の1ずつです。なお、子が、何人いても、子全員で全体の2分の1を相続します。そのため、子が2人いる場合は、配偶者が全体の2分の1を、子は、それぞれ全体の4分の1を相続します。

子供がいない場合

被相続人に子がいない場合、第2順位の直系尊属(両親や祖父母等)が被相続人の遺産を相続することになります。また、直系尊属もいない場合は、兄弟姉妹が第3順位の法定相続人として相続します。なお、配偶者がいる場合、配偶者は、最も順位が高い法定相続人とともに、被相続人の遺産を相続します。

この相続分について、配偶者と直系尊属の場合は、配偶者が全体の3分の2、直系尊属が全体の3分の1の割合、配偶者と兄弟姉妹の場合は、配偶者が全体の4分の3、兄弟姉妹が全体の4分の1の割合とされています。

結婚をすることで両親とは別の世帯になるというイメージがありますが、相続の場合、子がいないと、被相続人の両親や兄弟姉妹と一緒に相続することになるという点に注意が必要です。

子供がいるが離婚している場合の法定相続人は?

例えば、被相続人が離婚をしており、前の配偶者との間に子がいるとします。この場合、被相続人が親権者になっているか否かに関わらず、被相続人とその子が親子であることに違いはありません。そのため、離婚をして、親権を失っている子がいる場合であっても、その子は、法定相続人となります。
このように離婚と法定相続人となるか否かは関係がなく、親子関係があるか否かが重要な点になります。

死別などで配偶者がいない場合の法定相続人は誰か

死別、離婚等により配偶者がいない場合、法定相続人として配偶者がいませんので、被相続人の子、直系尊属(親、祖父母等)、兄弟姉妹が法定相続人となります。上記のとおり、子が第1順位、直系尊属が第2順位、兄弟姉妹が第3順位となります。そのため、子がいる場合は子が、子がいない場合は直系尊属が、子も直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が、すべての遺産を相続します。

独身の場合の法定相続人は誰か

独身の場合においても、子、直系尊属(親、祖父母等)、兄弟姉妹が法定相続人となります。結婚歴がない場合、子がいないことが多いと思われますが、未婚で産んだ子や、認知した子がいるなど、被相続人に子がいる場合もあります。この場合、子が相続人となります。
このような事情がなく、子がいない場合は直系尊属が、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。

兄弟・姉妹は法定相続人になるか

既に記載していますが、兄弟姉妹も法定相続人となります。ただし、兄弟姉妹は、第3順位の法定相続人となりますので、兄弟姉妹が財産を相続するのは、被相続人に子、直系尊属のいずれもいない場合や、子、直系尊属が相続放棄をしたような場合に限られます。

甥・姪は法定相続人になるか

原則としては、甥、姪は法定相続人とはなりません。ただし、兄弟姉妹が被相続人よりも先に死亡している場合、兄弟姉妹に代わってその子(被相続人から見ると甥、姪)が法定相続人となります(これを代襲相続といいます。)。

甥、姪は、兄弟姉妹に代わって法定相続人になるため、被相続人の遺産を相続する場合は、被相続人に、子、直系尊属がおらず、かつ、兄弟姉妹(甥、姪の両親)が被相続人よりも先に死亡しているような場合に限られます。

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孫は法定相続人になるか

孫についても、原則として法定相続人とはなりません。ただし、甥、姪の場合と同様、子が、被相続人よりも先に死亡している場合、その子の子(被相続人から見ると孫)が法定相続人となります(甥、姪の場合と同様に、代襲相続によって、法定相続人となります。)。

甥、姪の場合と異なるのは、孫も先に死亡している場合、その子(被相続人から見るとひ孫)が法定相続人となることです。つまり、兄弟姉妹、甥、姪が被相続人よりも先に死亡しているとしても、甥、姪の子は、法定相続人とはなりません。一方、被相続人の子、孫が被相続人よりも先に死亡している場合、ひ孫が法定相続人となります。

養子は法定相続人になるか

養子縁組は、法律上の親子関係を形成する行為です。そのため、血縁的な親子関係の場合と同様、養子も被相続人の法定相続人となります。なお、養子と実子との間に、取り扱いの差はありません。したがって、実子がおらず、養子のみがいる場合でも、配偶者と養子が相続人となり、親、兄弟姉妹は相続人とはなりません。また、実子と養子とがいる場合は、実子と養子には、同じ割合の法定相続分が与えられています。

相続には順位があり、全員が相続できるわけではない

既に、述べましたが、法定相続人には順位があり、先順位の法定相続人がいる場合、後順位の法定相続人は相続できません。つまり、被相続人に子、親、兄弟姉妹がいる場合、子のみが相続し、親、兄弟姉妹は、相続できません。

ここで、順位をまとまると、子が第1順位、直系尊属(両親や祖父母等)が第2順位、兄弟姉妹が第3順位となります。
ただし、配偶者は、常に相続人となりますので、子、直系尊属、兄弟姉妹の誰がいる場合であっても、最も順位の高いものと一緒に相続することになります。

法定相続人がいない場合

法定相続人がいない場合、被相続人の遺産を相続する者がいないため、最終的には、その遺産は国庫に帰属します。
ただし、家庭裁判所が相当と認めた場合、被相続人と生計を同じくしていた者、被相続人の療養看護に努めた者、その他被相続人と特別の縁故があった者に対して、遺産の全部または一部を与えることができるとされています。

そのため、法定相続人がいない場合、原則として、遺産は国庫に帰属しますが、被相続人と密接な関係がある者(特別縁故者)がいれば、その者が遺産の全部または一部を取得していくこともあります。

法定相続人についてお困りなら弁護士にご相談ください

本ページでは、法定相続人について、記載をしてきました。上記のとおり、法定相続人は、配偶者、子、直系尊属(両親や祖父母等)、兄弟姉妹であり、場合によっては、孫、ひ孫や甥、姪といった者も法定相続人になります。この法定相続人の確定のためには、被相続人の戸籍で調査をしていく必要があります。もっとも、被相続人の生まれてから亡くなるまでの戸籍をすべて集めないと、法定相続人のすべてを把握することはできません。

このように法定相続人の調査には、戸籍の取得という手間に加えて、戸籍を読み解くという手間も必要となります。しかし、日常生活を営みながら、このようなことをするのは大変なことかと思います。弁護士は、相続の案件も数多く行っており、相続人調査の知識、経験も有しています。法定相続人に関して、お困りのことがあれば、一度、ご相談していただければと思います。

名古屋法律事務所 所長 弁護士 井本 敬善
監修:弁護士 井本 敬善弁護士法人ALG&Associates 名古屋法律事務所 所長
保有資格弁護士(愛知県弁護士会所属・登録番号:45721)
愛知県弁護士会所属。弁護士法人ALG&Associatesでは高品質の法的サービスを提供し、顧客満足のみならず、「顧客感動」を目指し、新しい法的サービスの提供に努めています。